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25年先輩のあなたへ。


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記事:ヨシノアヤ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ちゃんと栄養あるもの食べなさい」
 
あなたはいつもそう言ってくれていたのに、ダイエットで頭がいっぱいの高校生だった私は、体重を減らそうとカロリーが低いものばかりを食べていました。
お昼にあなたがお弁当を作ってくれると言っても、作らなくていいよコンビニで買うから、とサンドイッチやサラダばかり選んで。
栄養バランスのある夕食を用意してくれても、極限まで食べる量を減らして、揚げ物の衣は剥がして食べて。
 
その結果、みるみる体重は落ちていったんだけど、逆に痩せすぎて貧血気味になり、高校のマラソン大会は「走らないで」とドクターストップがかかるほどになってしまいました。ガリガリになってしまって、今思えば、よく身体がちゃんと元気に動いていたなあと自分でも思います。
 
だけど当時の私は痩せたことに満足して、栄養や体調のことは気にしていなかったし、あなたがどんな思いで私を見ていたかも、全く考えていませんでした。
 
そうして大学に入って一人暮らしを始め、自分で自分の食事を作らなければならなくなったときに、あなたが毎日作ってくれていた食事がどれだけ愛情が込められたもので、そして有難いものだったのかがよくわかりました。
少しは自炊もしていたけれど、一人暮らしで毎日何品もは作れないし、おまけにお酒と夜更かしを覚えて今度はかなりリバウンドしちゃって、栄養バランスどころか生活バランスも乱れていたと思います。
だけど、毎日楽しいし、元気に生活できているからまあいいか、と思っていました。
 
それから就職して働き始め、自炊することもままならないような生活になり、外食か、買ってきたお惣菜を夜中に家で食べる生活が始まりました。しばらくはそんな生活をしていたんだけど、歳をとるにつれて体型や体調の変化にも敏感になり、野菜をなるべく取ろうとか、おつまみはヘルシーなものにしようとか、ちょっとずつだけど健康面にも気を配るようになりました。あなたの作ってくれた料理のように、彩り豊かな食生活を気にかけるようになったと思います。
 
でもこれは、自分のことだけ考えればいいからできていたんです。
食べたいものを好きなだけ食べても、その分翌日の食事量を調整したりして、自分で自分の体調を感じることができるから、できていたんです。
 
そんな風に、気ままに自分のことだけ考えれば良い生活を送ってきた私ですが、ついに、健康を気遣ってあげたい相手ができました。
 
一緒に暮らし始めてからというもの、私は自炊してお弁当も作っているので、彼にもお弁当作ろうか?と尋ねるのですが、気を遣っているのか持っていくのが恥ずかしいのか、いらないよ、と言うんです。
でも毎日深夜まで働いているし、忙しいから昼も夜もコンビニという日も少なくないようで、彼の健康面が心配でなりません。
 
こう思うようになって初めて、高校生の時の私をあなたがどのように見ていたのか、見守ってくれていたのか、そして、どれだけ私のことを大事に思ってくれていたか、ようやく気づくことができました。
 
一人暮らしを始めて自炊するようになり、次第に自分の健康も気遣うようになり、少しはあなたに近づいたかなと思っていたけど、全然近づいてなんかいなかった。
家族みんなの体調や健康面、好みを気遣って毎日食事を作ることがこんなに大変だなんて、気づいてもいなかった。
 
当時はあなたの気持ちも察せず、せっかく作ってくれたご飯を残したり、お弁当はいらないと言ったりと、健康を気遣ってくれる側からしたら悲しくなるようなことばかりしていたなと反省しています。ごめんね。
それでもあなたは、無理なダイエットをするのも怒らずに、私の好きなようにさせてくれ、同時に近くで見守ってくれました。私の受験ストレスなんかを気遣ってくれてたんだと思うけど、すごく感謝しています。
 
今日は、お母さんの誕生日だね。
離れて暮らしてるから直接お祝いもできないし、恥ずかしくて普段あまりお礼なんかも言えないけど、ちょうどこんなことを思い返していて、この気持ちを伝えたくて筆をとりました。
 
あなたが私くらいの歳のときにはもう弟も産んで二児の子育て真っ最中で、まだ子供がいない私はあなたの気持ちを全ては理解できていないと思うけど、いま自分が健康を気遣う側になったことで、あなたの家族を想う愛情を心から理解できたと思います。
 
25年先輩のあなたへ。
お誕生日おめでとう。そしていつもありがとう。
いつまでたっても追いつけないし追い越せない、偉大な大先輩のままでいてください。
 
 
 
 
***

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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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