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男は母性、という時代が来る

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記事:にじの青(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
おかあさん的な男性チームリーダーが増えているなと、本当に思う。
男は父性じゃないか? けしからん! とお怒りになる前に、ちょっと読んでみてはいただけないだろうか? 時代が求めるヒーロー像が、父性から母性へと、今まさに、変化しているのだ。
 
母性と聞くと、「おかあさん」が連想されると思う。
では、あなたにとって「おかあさん」とはどんな存在だろうか?
ご自分のご母堂を思い描いても良いし、テレビに出てくる一般的な「おかあさん」像でも良い。
 
いつも家族の事を考えている。
世話焼き。
心配性。
小言が多い。
自分の事は後回し。
家庭内権力者。
 
いろんな「おかあさん」像があると思う。そして、母性という言葉に対するイメージも人それぞれであると思う。その上で、敢えて言う。
 
世の中は、母性的な男性ヒーローを求めている、と。
 
その一つの例が、漫画「鬼滅の刃」ブームだ。今年5月に週刊少年ジャンプでの連載が終了したが、社会現象を引き起こした異例作だ。何が異例作かと言えば、「ジャンプ史上、最もジャンプらしくない主人公がヒーローとして成長する作品」だったからだ。
 
週刊少年ジャンプには、3大テーマがある。「努力・友情・勝利」だ。これまでの大人気作品のほとんどは、「強さの才能を持つ」主人公が戦いのなかで成長し続ける、というシンプルな骨組みだ。そこには、主人公本人の「絶対的な強さ」に対する強い憧れがある。話の行きがかり上、地球を救ったり、苦しめられていた人を助けたりはするが、当の主人公本人には「誰かを救う」と言うことは、勝った後の結果であって、正直、眼中に無いのだ。
 
でも、「鬼滅の刃」はちょっと違う。
それは、主人公が鬼と戦う理由に全て表れている。
 
「妹を救うため」
 
これが、主人公の戦う理由だ。強くなって、他人に認められたいとか、力でのし上がりたい、という自己顕示欲は1ミリもない。ここが、「ジャンプ史上最もジャンプらしくない主人公」と書く理由だ。それを証拠に、第1話から、一歩間違えば危うく殺されかけるシーンがある。あのシーンで、誰もがこう感じただろう。
 
「え、こんなヘタレ主人公で大丈夫? この先どうなるんだ?」と。
 
でも、そのヘタレは努力を重ね、秘められた能力も開花し、仲間と共に、勝利の朝日を浴びたのだ。そして、最後の最後まで「自分の為」ではなく「誰かの為」に自分の命を賭して、戦い抜いたのだ。誰に対しても、心で寄り添おうとする主人公のもつ母性的なところに、「そういうヒーロー、待ってた!」と無意識に共感した人たちの数が、「鬼滅の刃」のコミックス販売実績に比例しているとしたら、どうだろう?
 
世の中は、確実に、母性あふれるヒーロー像を待ち望み、歓迎しているのだ。
 
女性は、本来、強い生き物だ。子どもを宿し、お腹を痛めて産み、育てることで、自分史上最強形態へと進化する。身近にシングルマザーの人がいらっしゃれば、彼女の行動をじっくり観察していただきたい。自分よりも、子どもが健やかに育つこと。そこに、全てのエネルギーを注いでいるはずだ。それが「より良い子孫を産み、育てたい」という母性本能だからだ。自分の出来ることを惜しみなく、見返りを求めず子どもに与え続ける。それが、母性の持つ無条件の愛だ。
 
自分の持つ知恵を惜しみなく与える。そんな男性リーダーが最近目立つなと思う。
弟子入りという言葉があるように、これまでの時代は、師匠に認めてもらえないと師事することすら叶わず、技術や情報を身に付けることが出来なかった。
しかし、インターネットのおかげで、国境を越え、世代も越え、無料で様々な情報を手に入れられるようになった。そして、ネット上には「選ばれしもの」にだけ道が開かれるのではなく、やる気を持って飛び込めば、自分に何が出来るか挑戦できる体験学習の場が、ここ数年、増えた。オンラインサロンや有料メールマガジンを運営する有名人をよくよく観察し、活動や発言を掘り下げてみると、結構、皆、面倒見が良く、予想以上に慕われている様子が見えてくる。
 
つまり「世の中を良くしよう」と本気で思って、教育や雇用について新しいシステムを提供している時点で、弱者への思いやりを持つ母性的な行動なのだ。
「俺様神様、一番偉い」という人は、常に自分が優位であろうとする。弱い者には利用する以外、興味が無い
しかし、教育にしろ、お金のことにしろ、「これくらい知っとかないと」とばかりに無料動画を公開したり、ブログにまとめたり、本を書いたり、講演したりする人たちは、いい意味で「おせっかいの世話焼き」だと思わないだろうか?
だって、みんなが知らないことを、わざわざ、貴重な時間を割いて親切に教えてくれるのである。いくら、サービスとしての対価を受け取るにしても、大事な知恵はコッソリ自分だけの胸にしまっておけば、強者勝ち組のままで居られるのに。
でも、男でも母性を発揮できる人たちは、そこが違う。
「みんなが良くなれば、世の中が良くなる」と確信しているから、手も口も知恵も惜しみなく出すのだ。
 
これを「おかあさん的リーダーシップ」と言わずして、何と言うのだ。
 
ナンバーワンを目指す時代も終わったし、オンリーワンになろうと自分探しする時代も終わった。ヒーローには、絶対的な強さでは無く、どんな時も他人に寄り添うことができる母性が求められる時代が始まる。ここについて来れない人は、早々に頭を丸めて「鬼滅の刃」を読んで、ご自分の内にある母性と一度、向き合ってみるべきだ。
 
大丈夫。どんなひとにも、母性は必ず内蔵されている。目の前の相手に、ただ寄り添うだけで良い。そうすれば、もっと世界は、優しい場所へと進化していけるのだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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