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幼稚園児がモテモテになるために実践したこと


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記事: 大毛 順子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
これは、あまり明かしたくない内緒の話であったのだが…。
 
姪が、四歳で、幼稚園児だった頃のこと。
彼女は、「幼稚園でモテモテの人気者になりたい」と本気で考えていた。
 
そんな姪が、ある時、風邪をこじらせて、幼稚園に行けない日が続いた。
 
しかし、どうしても早く済ませなければならない用事ができて、姪の母親であるわたしの妹が、幼稚園の事務窓口に行った。
 
そこで、姪の「お母さん」が来ているとわかると、明らかに同じクラスではない、知らない子ども達が、かわるがわる妹のところにやってきて、「早くよくなってね」「また一緒に遊びたい」「さみしいから、早く幼稚園に来て欲しい」などと、口ぐちに言って行ったので、妹は、ちょっと不思議な、申し訳ない、いたたまれない気持ちになって帰ってきたそうだ。
それ以来、自分単独で幼稚園に行くのは、できるだけ避けるようにしたという。
 
初めてそれを聞いたわたしは驚いた。
「へぇー。そんなにモテモテなの?」
妹が言うには、姪は、幼稚園で人気者になりたいと、口に出して言っていたのだそうだ。
 
それだけではない。
 
この四歳児は、四歳児なりに、「どうしたら幼稚園で人気者になれるか」を真剣に考えて、日頃から実践していた。
 
「えっ、その話、もっとよく聞かせてよ」
 
妹によると、姪が自分で考えて実践したことは、
 
「お友達をちゃんと名前で呼ぶ(名前を正しく覚える必要がある)」
「みんなにやさしくして、誰かひとりだけを特別扱いしない(不公平はいけない、順番を守るということも含むようだ)」
「その日見かけたお友達に、まんべんなく声をかける」
 
というものだった。
 
特に最後の「見かけたら、まんべんなく声をかける」ということが、伯母のわたしにとっては、つい、「それ、ウザい」という発想になってしまうのだが、実は、人気者になるために、どれほど効果があったことか。
 
それを認めざるを得ない場面に遭遇してしまった。
 
姪と妹とわたしの三人が、夕方、妹の家の前で立ち話をしていたとき、ちょうど近所の子ども達の集団、六~七人が通りかかった。小学生もいたと思う。みんなそれぞれ、何かしら姪に、親しげに声をかけていく。
わたしが「幼稚園のお友達?」と聞くと、妹さえも、全員を把握していなかった。おそらく、姪は、お迎えのバスで一緒とか、園庭で見かけるので知っているとか、誰かの兄妹だから知っているとか、そんなことで彼らを知っているらしかった。
 
子どもの世界は、こういうものだっただろうか。
 
姪が言うには、「まんべんなく、みんなに声をかける」ことをしていると、向こうからもこちらに、親しく声をかけてくれるようになる、それだけだという。
 
姪が考えた「モテモテの人気者」の定義は、こうして、みんながいつも存在を認めてくれて、気軽に声をかけられる人のことのようだ。
 
姪よ、成功おめでとう。確かにそれを、「モテモテ」というよ……。
 
その後、残念ながら、成長して年ごろのお嬢さんになった姪は、大人の常識が芽生えて、この方針をある程度で止めてしまったようだ。
 
もったいない。が、普通のことだろう。
果たして、普通がベストなのかは、伯母さんにはわからないが。
 
さて、その後、伯母さんはお勤め先で、人間関係とかリーダーシップなんていう研修に、たくさん出なければならなくなったので、姪ちゃんの考えたことが一体何だったのか、大人の言葉に置き換えられるようになったよ。
 
姪が考えたことは、正に「返報性の原理」というものだった。こんな用語を持ち出すと、途端に、夢が消えて、陳腐で残念な雰囲気になってしまうのだが……。
 
返報性というのは、人は、親切にしてもらったら親切で返さなくてはいけないと考える、悪いことをされたら悪い扱いで返していいと考える、という原理だ。
 
姪は自分から、一貫性を持って、みんなにやさしく、同じように接することで、周囲の信頼を得ていた。
 
もうひとつ、姪が気をつけたことは「ザイオンス効果」と呼ばれるものだ。これは単純接触効果とも呼ばれる。人は接触する回数が増えるほど、印象が深くなる、親近感や好感度が高くなっていく、というものだ。テレビコマーシャルの繰り返しなどは正にこれだ。
 
「まんべんなく、声をかける」のが功を奏したのは、接触回数を最大にしている点だ。見かけたら、たった一言二言を交わすだけで、子ども達の、姪への親近感とうれしさは、ハンパなかったのだろうな。
 
わずか四歳で、モテるために、周りの反応をよく観察して、どうしたらいいかを考え出したのには驚嘆した。が、もっと驚くのは、四歳の子どもが、自分のスタンスに一貫性を持って、
毎日過ごしたということではないだろうか。
 
一貫性は大事だ。
 
要点を押さえ、変わらぬ実践力で信頼関係を築けるまでになれたら、「返報性」とか「ザイオンス効果」なんて、何も知らなくていい。
 
四歳の幼稚園児が、自分自身で観察し、考えて、有形無形の「自分が欲しいもの」を手にしていた。
 
これが一番重要なことだと思うが、いかがだろう。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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