メディアグランプリ

笑いの中の温かさ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ワタナベアツコ(ライティング・ゼミ夏期集中コース)
 
 
最近好きな番組は、「アメトーーク」だ。
芸人たちが集まり、テーマに即してトークを繰り広げる人気のバラエティ番組。メインM C二人のうちの一人が不祥事で出られなくなり、M C一人になったことで、番組の存続が危ぶまれていたが、意外にも番組に参加する芸人たちが以前よりも伸び伸びとトークを繰り広げられるようになり、面白さが上がったというのが巷のテレビ評だ。このアメトーーク。腕に覚えのある芸人が集まって自慢の持ちネタを話すのでもちろん腹を抱えて笑えることも多いのだが、最近、芸人たちの陰ながらの努力や優しさ、人間性や気遣いなどについても笑いを交えて明かすことが増えた。そして、私はそれを見るたびに、笑いながら熱いものがこみ上げ涙を拭っている。
 
今日初めて参加したライティング・ゼミの夏季集中コース第1講は、笑えて泣けるアメトーークを観たような気持ちになった。
 
私は、文章を書くのが嫌いだ。人に褒められた記憶もないし、自分でも時折書く自分の文章を見ると、呆れてしまう。これが、四十路を迎えた人の文章? 本を読まないのかしら? なんて稚拙なんだろう……。自分に幻滅してしまう。太宰治にはなれないにしても、もう少し美しい日本語を綴れないものかしら。うまく表現できない自分。的確な言葉が浮かばない自分。構成ができない自分。周りの期待に応えられない自分。書くことで空っぽの自分が表出してきて、私のどうでもいいプライドを傷つける。書くことは面倒くさいし、いいことは一つもない。だから、できるだけ避けてきた。
 
今年に入って、登録しているメルマガでライティング・ゼミのことを知った。なんでも、メルマガの発信者の知人が、何度か優秀者に選ばれたらしい。リンクを開けると、ふむふむ。読みやすくて、優しい気持ちになる文章だった。
「この講座に参加すると私でも書けるようになるかな」
興味が湧いて、講座の案内を確認した。すると出てきた講師は、タコ入道のような、不動明王のような、ガタイのいい男性。ダメだ、怖すぎる。経歴や他のサイトのインタビューもみた。相当デキる人のようだ。自信にも満ち溢れているように見える。そんな人に叱られたら立ち直れないかもしれない。どうしよう。あ、通信講座は違う人が講師みたいだ。あら、若くして美しい。そして、才能ある女性。ダメだ。打ちのめされそう。パソコンを閉じた。
 
でも、なんか、気になった。自信に満ちている案内文のせい? 受講生たちのキラキラした文章のせい? なんだか分からないけど心にフックがかかり、その後、何度も何度もサイトを開けては、閉じた。
 
「2000字を9本なんて無理だよ。書いたことないでしょう」
「仕事はどうするの」
「子供たちの面倒は誰が見るのよ」
やらない理由はいくらでも浮かんできた。でも、別の声も聞こえる。
面白い文章書いてみたくない? 自分が感じたこと、思っていること、うまく表現できるようになってみたくない?
自問自答を繰り返していると、上司から一通のメールが来た。「秋に昇進試験があります」。試験には作文が含まれている。エイッと飛び込む気持ちで、申し込みボタンを押した。
 
ゼミが始まる3日ほど前から憂鬱な気持ちになった。何せ、嫌いな文章。何せ講師は優秀なお姉さん、きっとキツイ人でしょう。なんて言われるのだろう。あぁ、逃げたい。今からやらない理由はないかしら。あぁ、こんな時に限って子供たちは体調を崩しもせず元気に夫と遊びに出掛けた。仕方がない、決めたんだ、やるしかない。8月13日午前9半。意を決して、パソコンを開いた。
 
パソコンの画面の向こうに現れたのは案内で見た若いキレイなお姉さんだった。通信講座では、聞き手の反応も分からず話しづらいだろうに、先生は1時間半、淀みなく講義をした。分かりやすくて、面白かった。ホワイトボードにイラストやキーワードを書きながらメソッドを説明するその姿は、アメトーークでフリップをかかげながら熱く話す芸人さんのようだった。時折、分かりやすくするために例を挙げるのだけど、一人でボケたりツッコミを入れたりする姿は、一人漫談。私は何度も声をあげて笑った。キツそうなお姉さんにドキドキしていた1時間前の緊張が嘘のようだった。
先生は、講義中こう呼びかけた。
「文章を書けない理由、コンプレックスを外してください」
「課題を出すことが大事なんです」
キツそうなお姉さんは優しそうな先生に変わった。講義を聞いているうちに、私はなんだか泣きそうになった。そして、気づいた。ああ、そうか。私は傷ついていたんだ。文章を書くことで、人に否定された。文章を書けないことで、自分を認められなかった。うまく書けない自分から逃げて現実から目を逸らそうとしていた。文章が下手な自分を認めたくなかった。
「みんな最初は書けないんですよ」
「下手でも、ダメでも、とにかく出して」
挑戦することをやめないで―。諦めたら、助けてあげられない。そう言っているように聞こえた。
 
表舞台で輝いて見える人も、見えないところで皆傷ついている。そして、それでも立ち向かい、努力している。最近のアメトーークはたくさんの笑いの中に、そんな人間の強さや優しさ、作り手の熱い思いが見え、泣ける。今日の講義もたくさんの笑いと、優しさ、熱い思いがあった。
書いてみたい、と思った。なんか、文章を書くって、楽しそうじゃない。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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