メディアグランプリ

だから今日も、本屋さんを徘徊する


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:庄司 あきこ(ライティング・ゼミ夏期集中コース)
 
 
私は、本屋さんが好きだ。
 
本屋さんによって、配置や、置いてある本に特徴があるところも好きだ。
世の中の流行り廃りも、本屋さんに行くとわかりやすい。
 
仕事に行き詰まったとき。なんだかモヤモヤする気持ちの時。本屋さんに行くことが多い。
本屋さんをハシゴすることもけっこうある。
 
今は、ネットで本が買える。
私は、山形に暮らしているので、残念なことに、大型の本屋さんがない。
探していた本がなかったときや、関連本を調べるときにはネットで探して購入もするけど、やっぱりリアルな本屋さんが好きなのだ。
 
なぜ今時ネットではなく本屋さんなのか。
2つの理由が思い浮かんだ。
 
1つは、思いがけない出会いがあるから。
 
例えば、仕事で使えるネタを探しに本屋さんへ行く。人間関係についての話題を探していたのだけど、ふと目にした経済の本からひらめきを得たりする。
 
全くの異ジャンルからヒントをもらうことはとても多い。
 
「ふと目にとまる」出会いや、ひらめいた時の感動が気持ちよい。
 
2つ目の理由は、インターネットが怖いから。
 
正確に言うと、買い物に限らず、ウェブで検索をすると、関連するものが次々と出てくるのが怖いから。
 
「○○を購入した人は、こんなものも購入しています」
「○○を検索した人は、こちらも興味があると言っています」
みたいな感じだ。
 
以前、仕事で「生活保護」について検索したら、広告が「自己破産」とか「借金があるなら……」みたいなものばかりになって、ちょっと辛くなった。
 
それはさておき、お薦めされたものを追いかけていくと、自分がものすごく偏っていくのではないかと不安になるのだ。
 
自分が興味を持ったこと。
自分が不安に思ったこと。
 
関連するものばかりを吸収することが怖いのだ。
 
わたしは弱いので、自分が不安に思ったことは調べずにはいられない。そして人は、自分の考え方を補強する情報を、無意識に選んでしまうと思うのだ。特に、ネガティブな情報の時ほど、よりネガティブな情報を集めてしまう。
 
東日本大震災の時もそうだった。
 
本当は、放射能汚染がヤバいらしい。
国は、国民がパニックになるといけないから、隠している。
 
実は、こんな健康被害が出ているらしい。
 
はたまた、
 
健康被害なんてあり得ない。
 
原発事故に関してだけでも情報があふれていて、それぞれの人が、自分の信じたい情報ばかりを集めていた。
 
健康被害が心配な人は、悪い情報ばかりを。
地元で生活したい人は、安心できる情報を。
 
どちらが良いとか、どちらが悪いとかではない。
その当時は、まだ「わからない」ことが多すぎた時期だった。わからないことなのに、二極化していくことが怖かった。
 
いつの間にか、対立構造ができあがっていく。
 
正義と悪。
真実と隠蔽。
良いと悪い。
 
完全に分けることができないものを、強引に引き裂いていく。
 
もちろん、みんながみんなそうではないことはわかっている。
 
だけど、怖かったのだ。
 
自分が知りたい情報だけを選び取り、反対の情報を遮断していく様が。
インターネットはそれを雪だるま式に加速していく。
 
今、コロナに関しても、似たような空気感を感じている。
 
もちろん、本屋さんでだって、自分の興味のある本しか手にとらないのかもしれない。
でも、意識に残っていなくても、様々な本のタイトルが目に入っているのだ。脳みその片隅に、そのタイトルがひっそりと保存されていたりする。
 
インターネットは、確かに便利だ。
関連記事や、関連動画を見るのは好きだし、気がつくと時間が過ぎていることだってある。
 
そして我に返ったときに、ちょっぴり怖くなる。
 
わたしの価値観や、考え方は、AIに作り上げられていくのではないのかと。
流されやすいわたしは、自分で選択し、考えることを放棄する日が来てしまうのではないのかと。
 
例えるならば、本屋さんは、わたしにとってカウンセラーだ。
 
様々な本が並んでいるから、そのなかで目にとまるものが、「今、自分が気になっていること」だったりする。様々なタイトルを眺める内に、自分の課題を俯瞰できるようになっていく。自分でも把握し切れていない問題を、明確にし、たくさんの選択肢をさりげなく提示してくれる。
そこから、自分で選び取って、試して、前に進んでいく。
そんな密かな相談場所が本屋さんなのだ。
 
それに対して、インターネットは人生相談。実は、欲しい答えは自分の中で決まっている。そして、インターネットは欲しい答えをくれる。欲しい答えが見つかるまで探す。
 
時には人生相談をしたくもなるし、自分の考えを強化し、後押しして欲しい時もある。
 
カウンセリングと、人生相談のどちらが良いとか、悪いとかではない。
 
今、こうしてライティング・ゼミに出会えたのはインターネットがお薦めしてくれたおかげだ。
地元では売ってない本を、すぐに購入できるのも、インターネットのおかげ。
 
あくまでも、選択して、決断するのは自分自身だということさえ忘れなければ良いのだと思う。
 
とは言いつつ、私は今日も、本屋さんを徘徊するのだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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