ぼくは本当に「とりあえず生で」が飲みたいのか?
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記事:佐藤 純平 (ライティング・ゼミ通信限定コース)
「とりあえず生で」
暑い夏にはキンキンに冷えたビール。
これが定番。
大学生の頃はこれが当たり前だと思っていた。
「1杯目はビールっしょ!!」
とメニューもよく見ずに頼んでいた。
お酒を飲めるようになってから日が浅く、ミーハーな部分もあったのだと思う。
「とりあえず生で」と言うことで、大人の仲間入りができたように感じていた。
それが当たり前で、それが普通なんだと勝手に思い込んでいた。
はじめはそれで良かったんだと思う。
「ビールうめぇ」って言って、ゴクゴク飲んでいたんだから。
たぶん好きで飲んでいた。
だから他の飲み物にも目もくれず飲んでいた。
周りもだいたいそうだったから、疑問に感じることも少なかった。
でもいろんなお店に行くにつれ、何も考えずにビールを飲むことに疑問を感じるようになっていった。
それぞれのお店にはいろんなお酒があることに気づいたからだ。
当たり前だがお酒はビールだけではない。
メニューも見ずにビールと決めてしまうのはもったいない。
今日は何を飲みたい気分か?
こんなお酒もあるのか?
どんな味なのか?
そう考えるようになって、色々なお酒を飲むようになった。
ビール以外の新しい選択肢が見えるようになった。
日頃からぼくらは、勝手な思い込みで選択肢を狭めてしまうことが多いのかもしれない。
「とりあえず」
そう言って深く考えることもせずに、何かを選んでしまう。
大学4回生の頃。
ぼくはビールと一緒で、就職先を「とりあえず」で決めようとしていた。
働きたい会社もないし、やりたいことも明確にはない。
独立や起業なんてできるわけない。
そう思い込んでいた。
母子家庭で育ったぼくは母からいつも「大学を出て大きな会社で働くのがいいよ」と言われて育ってきた。
そのために勉強を頑張りなさいと言われていたし、それに従って生きてきたと思う。
母は祖父と祖母と一緒に、田舎町にある小さい自動車の修理工場を営んでいた。
お世辞にもうまく言ってるなんて言えないお店だった。
「自分のようにはなって欲しくない」
たぶんそう思ってくれていたんだと思う。
サラリーマンが安定している。大企業に勤めていれば安心。
そうずっとぼくには言ってくれていた。
押しつけてきて、強要するような母ではなかったが、ぼくが会社員を目指すには十分な理由になった。
だから就活の時期になれば、当たり前のように就活をして、大学を卒業すれば当たり前のように会社員として働くのだと思っていた。
そこに多少の違和感を覚えつつも、ビールを流し込むように、ゴクッと飲み込んだ。
それ以外の選択肢を見ることはなかった。
それしかないと思い込んでいた。
いざ会社員として働いてからは、とりあえず入った会社で、とりあえず働いていて、とりあえず過ごす毎日だった。
何かはしてるはずなのに、何もせずダラダラと時間だけが過ぎているような感覚だった。
そんな日々を過ごす中で、次第に仕事についてもんもんと考えるようになった。
本当にこのままでいいんだろうか?
本当にこれしか選択肢はないのか?
本当にやりたいことはなんなのか?
違和感が泡のようにプシューと溢れ出てきた。
このままではダメだと思って、視野を広げるためにいろんな人に会うことにした。
イベントやセミナーに行き、自分とは違う仕事、生き方をしてる人たちと話をした。
そして色々な人々と出会う中で、違和感が違和感ではなくなっていった。
当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなった。
会社員以外の選択肢をたくさん知ることができた。
フリーランス、起業家、フリーター、旅人、ホームレス……
様々な仕事や生き方があることを知った。
自分が狭い世界に生きていたことを知った。
そしてより広い視野を持ちながら生きたいと思うようになった。
それから転職も繰り返したり、時にはフリーターや旅人も経験してみた。
複数の仕事を掛け持ちでやったりもした。
その中で自分には、フリーランスが向いているのでは? と思うようになって、今はフリーランスをやっている。
でもこれもずっと続けるかはわからない。
これから先も仕事や生き方はなるべくたくさんの選択肢を持っていたいと思う。
そして常にどの選択肢が今の自分にとっていいのか? を考え続けたいと思う。
「とりあえず生で」
いまだにそう言って頼むときだってある。
でもそれはなんにも考えず頼んでいた時とは違う。
「とりあえず1杯目は生がいい」
そう思って頼むビールは前よりも少しうまい。
ビールも仕事も生きることも、何も考えず「とりあえず」で決める自分ではなく、色々と考えて、経験して、今は「とりあえず」これがいいと言える自分でありたい。
***
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