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良い奥さんになるにはサボればいい


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良い奥さんになるにはサボればいい
 
記事:川西彩(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
突然だけど、『良い奥さん』を思い浮かべてみてほしい。
 
料理ができる、お金の管理が上手、いつも部屋を綺麗にしている、朝一番からナチュラルでもきちんとメイクをして身綺麗にしている、やりがいを持って仕事をしている、お子さんがいる家庭だったら子どもに寄り添う優しい雰囲気、だろうか。
 
今挙げた例は、これまでわたしがイメージしていた良い奥さん像だ。
家事育児仕事、そして自分自身が綺麗でいることも楽しんでいる女性。
 
素晴らしいし、憧れる。
ていねいな暮らし、をしていそうだ。
わたしも結婚している身なので、出来ることなら夫から『良い奥さん』だと思われたい。
 
しかしながら、わたしは自分自身のイメージする良い奥さん像からはだいぶ遠い。
 
わたしは小さい頃、両親が共働きだったので、小学校低学年の頃から当たり前に家事をしながら妹弟の面倒をみてきたこともあって、一通りの家事はできるが掃除は苦手。菌にはうるさいので水回りの掃除は一生懸命やるけれど、多少の埃や整頓されていない部屋でも気にならないし、使ったものを所定の位置に戻すのもすこぶる苦手。たぶん、綺麗好きではない。
それに、お金に執着しないので家計はどんぶり勘定だし、常に優しい雰囲気は……まとっていない。
 
そんなわたしが唯一、自分の中でかろうじて良い奥さん像を保てていたもの、それが『料理』だった。
 
もともと食べることが好きだし、外国の変わった料理にチャレンジしたり、塩とか油に拘ってみたり、レストランで食べて美味しかった味を家で真似して作ってみるのも楽しいし、普段から栄養バランスを考えながらも家族が美味しいと思ってくれるような料理を作ることを心がけていた。自分は料理が好きだ、と思っていたし、パン教室にも通っているし、実際に趣味は料理です、とも言っていたくらいだ。
 
が、コロナの影響で夫婦共にテレワークとなってからはや5ヶ月、日に日に料理をしなくなった。つい先週においては、昼ごはんはコンビニかUberEats、夜ご飯はデリバリーか外食だった。一度も炊飯器は使わなかったし、使ったキッチン家電は電子レンジとポットのみ。
 
栄養バランスはどこへ?
料理好きだったはずのわたしはどこへ?
 
夫婦テレワーク前の我が家では、朝は別々に起きて、夫は出勤がてらカフェに入って朝食をとり、わたしはコーヒーのみ、昼は各々で自由にしていた。
だから、わたしが料理するのは平日の夕食とちょっと特別な料理を休日に作る程度だったから、今日は何を作ろうかな〜と楽しみに感じる余白があった。
 
しかし、夫婦テレワークになってからは、STAY HOMEで外出出来ないし、夫婦でずっと家にいるわけなので、食事についても3食家でとることになる。当然、朝・昼・夜の3食について考えなければならなくなった。
 
朝食を作ったら、仕事をしながら昼食何にしよう? 料理するのにどれくらいの時間かかるかな? と考え、昼食を終えると、また仕事に戻りながらも夕食を作るのに足りない食材は何だろう? と考える。仕事をしながら、常に数時間後の食事について考え続ける日々が続き、ついにある日爆発した。
 
わたしは飯炊き女ではない !
 
と心の中で叫んだ。
 
夫の名誉のために言うが、夫は普段からわたしには全く家事を強要することはない。
結婚前でこそ、料理のできる女性がタイプ、とは言っていたものの、毎日料理をすることをわたしに求めているわけでもない。
 
だけど、わたし自身が自分の中の良い奥さん像に縛られていて、掃除とかお金の管理とか全然できないから、せめて料理をすることで奥さんであることの体裁を保ちたかったのだ。
 
常に次のごはんのことを考えながら、イライラオーラを出しながら料理をしているわたしに、
 
「ごはんはコンビニで買ってくるよー」
「UberEats頼もうよー」
 
と声をかけてくれていた夫。
 
それでも最初は、まるでわたしが料理苦手な奥さんみたいじゃないか! とせっかく気遣って声をかけてくれた夫にもムカついていた。ひどい奥さんである。
 
しかし、ある日、
 
「ごはんは何でもいいよ。大変だったら作らなくていいし。一緒に楽しく食べられたほうがいい。」
 
という夫の一言を聞いて、ハッとした。
 
ああ、そうだよな、料理しないと良い奥さんじゃないって勝手に思っていたのは自分自身。それでイライラして不穏な空気を撒き散らしていたのはわたしだ。料理以前に、今のわたしこそ全然良い奥さんじゃない、と。
 
この日を境にわたしの中の良い奥さん像は大きく変わった。
 
ごはんを作るのが面倒だな、という時はあえて作らないことを徹底した。
それによってイライラも減ったし、コンビニでもインスタント食品でも家族と一緒に会話しながら食べられるほうが大事だということがわかった。
 
今は、良い奥さん=いつも機嫌の良い状態を自分で作れる女性、だと思っている。
 
わたしがいつも機嫌の良い状態でいるには、家事は適度にサボること、唯一得意だと思っていた料理は自分の作りたい時だけ作ること、だった。
 
明日からも良い奥さんを目指していこうと思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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