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お金がなくても豊かになれるかもしれない話


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記事:藤井佑香(ライティング・ゼミ 通信限定コース)
 
 
宝くじ当たらないかなぁ……。大富豪でない限り、誰もが1度は思ったことがあると思う。私は今、切実に思っている。お金が欲しい。お金がもっとあって、豊かになれれば良いのに。これが最近の悩み事である。
 
とは言っても有難いことに、つい最近までお金が心配事になることはなかった。社会人になってから数年は苦しかったものの、現在社会人7年目。生活費に加えて外食や習い事への費用を払えるほどの収入はあった。それに、大きな買い物でなければ、欲しいと思ったものは我慢せずに買えていて、そこそこ満足していた。
 
しかし、最近になって給料が一切入って来なくなった。
 
理由は休職である。今年の秋より海外に留学することになったためだ。休職期間は無給になるため留学に備えて貯金はしていた。しかし、いざ留学準備を始めてみると、想定外の出費が多くあることが判明した。やばい、こんなに予想していなかった費用が掛かるのに、貯金だけで本当に足りるのだろうか。ちょっとシュミレーションしてみたがちょっと危なそうである。やばい、ここまでのお金ないかも……。自分の無知さと計画性の無さを呪いたいところだが、呪ったところでお金は増えない。そこで、出来る限りの節約を始めることにした。
 
いざ節約を始めてみると結構しんどい。我慢の連続だからである。今までは当たり前の様に毎日買っていた大好きなアイスも買わないことにした。電車に乗るときも、時間が掛かっても良いから交通費が安いルートを選ぶようになった。どうすれば普段の生活の費用を下げられるのだろう。一生懸命考えるようになった。コンビニのコピー機を使うときでさえ、10円の白黒コピーにするのか、50円のカラーコピーにするのかで悩んだ。収入があった時の私は、自炊が面倒な時には当たり前の様にUber Eatsで2000円払っていたのに。今や数十円の使い道について頭を抱えていると思うと、少し滑稽に思えてきた。もっと多く貯金しておけばこんなことにならなかったのに。もっと私が豊かであれば、こんなことにエネルギーを使わなくて良かったかもしれないのに。考えれば考えるほど、切なくなってきた。
 
そんな時読み始めた漫画がある。『凪のお暇(いとま)』である。昨年ドラマにもなったので、聞いたことがある人は多いのではないだろうか。28歳OLだった凪という女性が、仕事や人間関係をリセットし、なけなしの貯金で再スタートするという物語だ。今の自分の状況に少し重なる部分があると思い、読んでみることにしたのだ。実際読み始めてみると、思った以上に恋愛要素も強かったのだが、私が注目したのはそこではなく、登場人物たちの「豊かさ」だった。家も全て引き払ってしまった凪は、身ひとつで安いボロボロのアパートで生活を始める。モノもお金もないのだが、ないなら無いなりに楽しめばいい! と拾ってきた扇風機をDIYで自分好みの色に変えたり、小麦粉だけでご飯のメニューを複数考えてみたり。凪だけでなく、このボロアパートの住人たちは、限られた食材でもひと手間加えて美味しいものを作ったり、頑張って節約して、自分の趣味にしっかりお金を使ったりする。お金持ちでなくても、彼らの心は十分に豊かそうに思えた。確かに、私も節約しなきゃ! と思い始めてから色々工夫するようになった。本を読みたい! と思ったら、今まではすぐにAmazonでポチっと新品を買っていた。だが、今は節約である。出来るだけ安く本を読む方法は無いのかを考えた結果、近所の図書館に行くようになった。地域の図書館とはいえ、思った以上に蔵書があり、色々な本と出会えて得をした気分になった。ご飯も簡単に外食ができなくなったので、冷蔵庫にある食材だけで何が作れるか考えるようになった。少ない材料で数品作れた時はとっても嬉しい。ある程度お金で解決出来ていた頃と比べると今は不便だが、それを補うために方法を考えてそれが上手く行った時に小さな幸せを感じるのも事実だ。お金があることも豊かさの1つだ。しかし、お金がないなら無いなりに、今の状況を工夫しながら楽しむことも、十分豊かと言えるのではないか。この漫画を読んで、そう思うようになった。
 
我慢の連続の節約生活はしんどいし、もっとお金があれば良いのに……と切なくなってしまうこともある。だけど、今はこの状況を楽しめるようにもなった。お金が無くても、工夫次第で、心は十分豊かになれることを知ったからだ。ちょっと足りないかもしれない貯金での留学生活は、もうすぐ始まろうとしている。さて、どこまで豊かになって帰ってこられるだろうか。

<<終わり>>
 
 
 
 
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2020-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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