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光らない蛍はいない。ある新卒採用担当のつぶやき


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記事:Sakko(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
久々に新卒採用を担当することになりました採用担当者のお話です。
 
猛暑厳しい夏、8月1日に第2子の育休より復職しました。
もう人事としてのキャリアは10年以上、新卒採用も長らく担当していたのですが、第1子育休後は、給与計算や社会保険手続きなど労務の仕事がメインだったので、新卒採用を担当するのは5年ぶりになります。
 
世界的に珍しいと言われている日本の新卒一括採用という制度。
調べてみると、大正時代から「高等教育を受けた学生を採用し、社内で育成する」システムが少しずつ確立され、今に至るようです。
ここ数年では、新卒採用のルールを記載した経団連の「倫理憲章」が廃止され、政府主導の新ルールが適用されるとのことですが、2022年度卒業生までは大きな変更はなさそうです。
 
そんな中、会社説明会や面接を行っていると、ふと以前との違いを感じます。
学生の1人1人がとても輝いて見えます。以前も今も、良いところを探すスタイルの面接をおこなっているので、良いところを見つけるのは得意なのですが、以前より1人1人が輝いて見える気がします。
それはまるで、夏の夜に光る蛍のようです。
力強く光っていたり、優しく光っていたり、その光も様々です。ただ、みんな美しく光っていると感じます。
年齢を重ねたせいか、それとも子どもを産んだせいでしょうか。その光が以前より強く見えるようになりました。目の前にある純粋な光に真摯に対応しなければと改めて思います。
 
そんなことを考えていたら、有名な童謡が頭に浮かびました。
 
ほう ほう
ほたる こい
あっちの水は にがいぞ
こっちの水は あまいぞ
ほう ほう
ほたる こい
 
自分にとってのあまい水を探す学生と、こっちの水はあまいぞと必死に歌う企業、そんな絵面も浮かびました。
 
もちろん採用活動において「こっちの水はあまいぞ」と必死に歌う側面はあるものの、学生の皆さんには、ぜひ自分にとってのおいしい水を見つけてもらいたいと思います。
 
業務経験のない学生を採用する新卒採用では、スキルよりポテンシャルを重視して採用することになります。そのため、採用基準がわかりにくく、学生の皆さんは、不採用の結果通知である「お見送りメール」を見るたびに、自分のことを否定された気持ちになってしまうこともあると聞きます。私も遠い記憶ですが、何度も悲しい気持ちになりました。
でも、それはまったくの間違いです。
 
企業側の視点に立って、なぜ間違いなのかお話しさせていただきます。
 
まずは「採用枠」というものがあります。
例えば「今年の新卒は営業10名、技術5名採用します」といった感じで、会社の規模や成成長性、予算などを考えたうえで、その年に採用する人数を決めます。
採用枠が埋まってしまったら、どんなによい方でも採用されない可能性が高くなります。
ということは、入りたい会社には早期からアタックするほうが、採用確率が高くなります。
 
つぎに「採用基準」というものがあります。
新卒採用活動に入る前に、採用担当者は、その年に採用する人財の「ペルソナ」(その人の人柄や特徴)を決めます。
その人の「価値観」が社内にマッチするか。また「社内で活躍するイメージが沸くか」といったことを、社内で活躍する社員の情報などをもとに、具体的に落とし込みます。
どんなことに興味を持っていて、どんな活動をしていて、何ができて、何ができないかなど、架空の学生を作り上げます。そして出来上がったペルソナをもとに、採用基準を設けます。
よってペルソナの特徴を多く持つ方が有利になります。
 
つまり、早期にアタックしてペルソナにより近い人が「採用!」となります。
逆に言えば、すでに採用枠に達していたら不採用だし、ペルソナとの乖離が大きければそれも不採用となります。
 
ただ、たった数時間の面接でその人のなにがわかるのかと思う気持ちもあります。
採用した人が活躍する保証も、採用しなかった人が活躍しない保証もありません。作りこんだペルソナが正しかったかどうかわかるのも数年先の話です。
見落としてしまったり、磨き上げられなかったダイヤの原石がたくさんあるのではないかと思います。
 
だから、企業側も必死です。
採用基準と照らし合わせるために、様々な角度から質問し、結果的に根掘り葉掘りお伺いすることもあります。
その人の価値観を感じ取れるように。趣味や学んできたことや、サークル活動からその人のハートの色は、どんな色なのかどんな形なのかと想像するために。
学生の皆さんも一生懸命話してくださいます。ほぼ初対面の相手に、自分を開示することは相当なストレスなはずです。そう考えると、本当に感謝しかありません。
 
「お見送り」の判断をする時は、いつも少し心がちくりとします。
好きになってしまったあの子にごめんなさいと言わなければならない矛盾。
 
魚でも、清流でしか住めない魚、少し濁ったところでしか住めない魚など、生活範囲が分かれています。採用でも同じです。「お見送り」された会社は、あなたが住むに適さない、あなたにとっておいしい水じゃない、そんな会社だったのだと思います。
 
ちなみに私は、できるだけ好きだと思える会社を受けた方がいいと思っています。
会社規模や人気ランキングではなく、興味を持てるサービスを扱っている会社がいいです。
オンラインでの面接も増えましたが、会話の熱量は、インターネットを通してもしっかりと伝わってきます。
 
私のことを振り返ると、入社した会社だけ、熱烈なラブレターのようなエントリーシートを書いた記憶があります。全く知らない会社で、たまたま時間があったから会社説明会に参加しました。その説明会で聞いた話に、本当にワクワクしたのを覚えています。そして、長文ラブレターのようなエントリーシートを書き上げました。
そんな出会いもあるかもしれません。何がやりたいかわからないなら、気になる会社を片っ端から受けてみるものいいと思います。
 
「お見送りメール」に心を痛める必要はありません。
あなたが最大限活躍できる場所を用意できない不甲斐ない会社なだけなのです。
日本全国には350万社以上の会社があるそうです。
その中に必ず、元気に光ることができる会社があるはずだと私は思います。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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