メディアグランプリ

20年間同じドラマを繰り返し見続けた話


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記事:藤井佑香(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
「人生の相棒」と聞くと、あなたは何を思い浮かべるだろうか? 家族、友人、ペット……人によって様々な答えがあるだろう。どの様な形であっても、人生の相棒は自分の側に居て、支えてくれたり、勇気づけてくれたりする。私にとっての「人生の相棒」は家族であり友人であるが、もう1つ忘れてはいけないものがある。
 
それは、『FRIENDS』というアメリカのTVドラマだ。1994年から10年間、日本を含む世界中で放映された作品だ。NYのマンハッタンで暮らす、6人の若者の20代~30代の日常をコメディタッチで描いているだけのシンプルな内容なのだが、世界的に大ヒットしたドラマだ。完結してから10年以上が経過しているが、今でも熱狂的なファンが絶えないらしい。というか、私がその熱狂的なファンの1人である。小学校3年生から29歳になる今まで、20年間繰り返し見続けている。ちょっと自分でもキモいと思うくらいオタクだ。そんなに繰り返し見て飽きないのか……と思われるかもしれない。不思議なことに飽きない。20年もの間見続けたとしても、自分の年齢や置かれた状況によってストーリーの感じ方が変わるからだ。
 
私がこのドラマを見始めたのは、母がきっかけだった。英語の勉強をしていた母が、英語でドラマを見てみたいとレンタルビデオ屋で借りて来たのが『FRIENDS』だった。当時9歳だった私は、たまに出てくるエッチな話にドキドキしながらも、コメディ要素の部分が面白いと感じ、家族と一緒に見ていた。
 
10代になると、『FRIENDS』は英語の教材になった。日常生活を描いた作品なので、難しい英語の表現はそこまで出て来なかったため、リスニングの教材に最適だったからだ。自分のお気に入りのエピソードを選んで繰り返し見ながら英語学習に活用していた。ここまでは、ただの面白いドラマという存在でしかなかった。
 
しかし、20代になると、私にとってこのドラマの持つ意味が一気に変わった。「大人たちの話」でしかなかったこの作品。気づくと自分がその「大人」になっていた。登場人物達はドラマの中では永遠の20~30代。そのため、つい時が流れたことを忘れがちになるのだが、私は着実に成長してキャラクター達と同じ20代の社会人になっていたのだ。私の20代前半は、経済的に自立したばかりで生活が不安定だった。薄給なのに、東京の都心に家を借りてしまって、給料の殆どが家賃に持っていかれた。残りのお金で食費や電気代、水道代なんかを賄えるのか。毎月ドキドキしながら生活していた。そんな時にいつもの様に『FRIENDS』を見ていると、実はドラマのキャラクター達も同じ設定で描かれていたことに気づいた。この人がここで嘆いていたのは、やっと貰えた初任給の額面と、手取りの金額が全然違うと知ったからだったのか。自分より稼いでいる友達とご飯に行くと、お会計の時ちょっと(自分が)気まずくなるよね……分かる、分かる! あれ、このドラマってただ面白いだけのコメディじゃなかったのか。面白くもリアルに若者の人生を描いていたドラマだったんだ。今まで何十回も見ていたエピソードのはずなのに、20代になって初めて理解できる話がたくさんあったことに、改めて気づいた。そこから、このドラマで描かれる若者の日常が、どんどん自分事になっていった。20代前半から後半にかけて、私は転職や結婚などのライフイベントも経験した。それらは既にドラマの中でも描かれており、リアルに感じられるエピソードがまた増えてゆく。結婚した後、パートナーとの関係はどう変わるのだろう。仕事と家庭の両立は? 自分のキャリア形成と家族や友人との関係は? 30代を迎えることって何故かちょっと怖いなぁ……。色々と考える度にやっぱりこのドラマを見る。そうすると、ドラマの中でもだいたい誰かが同じ悩みを抱えて、何かしらの教訓を私に提示してくれる。20年間ずっと私の側にあったドラマなのに、自分の年齢や経験してきたことに応じて、見方が変わる。だからこそ、繰り返し見ても飽きないのだ。ドラマの中では、妊娠や出産、子育てなど、私が経験していない色々なことも描かれている。これから自分がそれらを経験したら、私はまたこのドラマを見るのだろう。そして、また違った感じ方をするのだろう。そしてその後も引き続き私の側にあり続けるドラマなのだろうと思う。だから、『FRIENDS』は私の「人生の相棒」と言えるのだ。
 
「人生の相棒」は必ずしも家族や友人だけではないと思う。ドラマや本、もしかしたらアニメや漫画だって、いつも側にある作品はないだろうか。もしすぐ思いつかなくても、昔はまっていた作品や、影響を受けたものに再度触れてみると、当時とは全く違う感じ方をするかもしれない。そうやって、「相棒」とともに、これからも歳を重ねていこう。
 
 
 
 
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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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