メディアグランプリ

子どもは焼き立てパンのにおいがする


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Sakko(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「はやくしなさーーい!」
1日に何度この言葉を叫ぶのか。
マーキングマザーの毎日は分刻みだ。
1年ほど前から、夫は単身赴任。週末は帰ってくるが、平日は完全にワンオペレーションで2児を育てながら、仕事をしている。
 
平日のスケジュールを書いてみた。
 
5:30 起床、メイク、家事
6:00 朝食準備
6:30 朝食、夫とテレビ電話
7:15 子どもたちの歯磨き、着替え
7:45 自分の着替え、出社準備
8:00 保育園登園、その後電車に乗る
9:00 出社
16:00 退社
17:00 お迎え
17:20 帰宅、夕飯準備(一汁二菜と決めている)
18:00 お風呂
19:00 夕飯、片付け
20:00 寝かしつけ、絵本タイム(絵本だけは必ず毎日読むようにしている)
20:30 就寝(夜は2,3時間おきに起こされる)
 
ざっと書いてみたが、0歳と4歳のお世話をしながらだと、この予定通りに進めるのも大変だ。
子どもが早く起きてきちゃうと、自分の用意が出来なくなるし、子どもが「着替えたくない」と駄々をこねると、保育園に行くのも遅くなる。ご飯を食べるのも、お風呂に入るのも、スムーズにはいかないし、すっごい時間がかかる。
私は10分で食べ終わるのに、なんでこの子は1時間もかかるのだろうか?
 
それでも、子どもの睡眠時間だけは死守したいと思うと、なかなかのんびりと一緒に遊んであげる時間も取ってあげられず、また「はやくしなさーーーい!」と叫びながらも、申し訳ない気分になる。
 
現在は時間短縮勤務制度を利用して、6時間勤務で働いているものの、家事育児や仕事から完全に開放される時間は、ほとんどない。
フルタイム(8時間)で働いているママさんはどうしているのだろうか?
 
子どもが寝た後だって、いつ起きてくるかわからないから、常に「待機時間」だ。
待機時間というのは、労働基準法でいうところの「何かあったらすぐに対応しなくちゃいけないから、それってつまり労働時間としてカウントしていいですよね?」っていう時間のこと。
つまり、子育て中の親は、24時間365日労働時間というわけだ。
親が2人いれば、どちらかが息抜きすることもできるけど、1人だと、自分の親や外部サービスに頼むなどしないと、そうそう時間も作れない。
 
平日は、本当に追われるように過ぎていき、私も疲れ切って、たいてい一緒に寝てしまう。
 
休日は休日で、夫に子どもを見てもらっている間に、気になる部分の掃除をしたり、平日手抜きな分、少しだけちゃんと料理をしたりしていると、あっという間に1日が終わってしまうのだ。
 
子どもが生まれる前までは、自分ひとりの時間なんてたくさんあった。
爆睡する夫の横で、徹夜でモンハンしてても全然問題なかった。
 
子どもが1人生まれても、なんとか時間を作っていた。
毎晩、資格試験の勉強をしていた記憶もある。それは、落ちちゃったけど。
 
でも、子どもが2人になった時、「私時間」は相当努力しないと作れないものになっていた。
0歳と4歳では、親に求めるものが違いすぎて、私1人で対応するにも限界がある。どちらかの欲求を満たしている間は、たいていもう一方の欲求を満たせてあげられない。
それが分かるから、休日は、夫と私の2人体制で、子ども2人の欲求を満たしてあげている状況だ。だから、「私時間」のために、長時間夫に育児を丸投げするのも申し訳ない。
 
たぶん、下の子がもう少し大きくなったら、少しは「私時間」を作りやすくなるんじゃないかなと、上の子の成長を見て思う。
それまでは、いまのまま頑張るしかない。
 
ちょっと辛いけど、でも、先が見えるのは幸福だ。
そして、その辛さは、子どもたちの可愛さとセットでもある。
今しか味わえない、幸せな苦痛なのかもしれない。
 
年の初めに、ベッドを買った。
上の子が生まれたときに、ベッドは危ないだろうと布団生活をしていたのだが、布団の上げ下げや、干すのが大変で、結局ベッドに戻ったのだった。
ルンバが下を掃除できるよう長めの足で、4人一緒に寝られる大きなベッドだ。
0歳児が落ちないよう転落防止のクッションもつけた。
 
寝るときは、私の右側に0歳の息子。左側に4歳の娘が寝ている。
川の字になると、両脇から寝息が聞こえてくる。
 
二人が寝静まると、一日の終わりを感じ、ほっとする。
「今日のミッションクリア!」な瞬間だ。
子どもたちの寝かしつけに成功したこの時間は、ほんの束の間の私の時間。
 
昼間は忙しさでなかなか幸福を感じられない。
 
疲れて先に寝ちゃうこともあるけど、できれば少しだけ起きていたい。
寝息を聞きながら、それぞれの頭に顔を近づけて。
体温を感じる。
においを感じる。
 
子どものにおいは、焼き立てのパンの香りをかいだときのような幸せなにおいがする。
 
娘はバターロール。
息子はクロワッサン。
 
ほっとするような、ふんわりとしたいいにおい。
 
そのにおいに包まれて、私は眠りにつく。
 
子育ては大変だ。
大変な時間と幸せな時間、どちらが長いかと言ったら大変な時間なのではないかと思う。
でも、幸せな時間の質や深さが半端ない!
 
子どもは焼き立てパンのにおいがする。
また明日も頑張れる。
そんな気持ちになって、私は眠りにつく。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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