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メディアグランプリ

ラジオって、新メディアだ


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記事:鳥井 春菜(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「マスクをしていてよかった」
そう思いながら、道を歩く。マスクがなければ人目をはばかって、こんな風に思い切りニヤニヤすることはできなかっただろう。どうにか笑みをかみ殺そうとしても、きっと口元が不自然にゆがんでしまっていただろう。
私のニヤつきの原因は、イヤフォンから流れ込む『音』のせいだ。お馴染みのオープニング曲、お楽しみのコーナー、繰り返される掛け合い。そう、私はラジオを聴いていた。
 
数年前まで、私の世界にラジオはなかった。車の中で流れているラジオの音楽をなんとなく聴き流しているのがせいぜいで、ラジオは“古き懐かしのメディア”というイメージがあった。自分とは全く関係ないものと思い込んでいたので、「ラジオを聴く」という選択肢をもっていなかった。
ところが、就職してから上司にラジオを勧められた。上司曰く、ラジオは面白いのだと言う。便利な時代で、「ラジコ」というアプリをiPhoneにダウンロードすると、過去一週間分のラジオ番組が無料で聴ける。私は、アプリをダウンロードしてみた。そして、ラジオにまんまとハマったのである。
 
「えー、ラジオのどこがおもしろいの?」という方は多いかもしれない。ラジオ無関心民だった私だから、ラジオの良さを等身大で語りたい。
その魅力の一つは、よく言われることではあるが「ラジオはパーソナリティの内面が見えやすいメディアである」ということだ。テレビや雑誌に出ている芸能人たちが、司会進行しながらトークを繰り広げるラジオ。パーソナリティが長時間話しきるトーク番組はその人の人間性がかなりにじみ出る。
ラジオを聴くようになってから気が付いたことだが、テレビというのは「ショー(Show)」であり、そこに登場する芸能人の皆さんにはそれぞれ役割があるのだ。いじられ役、盛り上げ役、ツッコミ役……でも、ラジオならその人そのまま。何の役割も負わずに、しかも毎週毎週トークのネタを絞りださなければならないのだから、どうしたって自分自身を切り売りすることになる。ラジオを聴くようになってから、テレビで見ていた芸能人の姿はまさに「氷山の一角」だったのだな、と思うようになった。私は「オードリーのオールナイトニッポン」をよく聴いているが、ラジオの若林さんはテレビでMCをしている姿とはまた違って、人間のずるいところや小さなところをつついたり広げたりして話をするので、落語的で面白い。
 
もう一つのラジオの良さも容易に想像できるかも知れないが、「ラジオは『ながら聴き』ができるメディア」である。テレビ・Youtube・書籍、何であっても視覚を必要とするため、一所にとどまってそのメディアと向き合わなければならない。でも、ラジオは違う。家事をしながらでも通勤通学のさなかでも、他のことと同時進行でどこにいても聴くことができる。
これは、実際にラジオに慣れてみるとかなりのメリットであることが分かった。私の場合は、これまでただの作業でしかなかった家事の時間。それが全て「ラジオの時間」という有意義なものへと変換された。掃除や洗濯をしてるとせっかくのお休みなのにもうお昼になってしまった……ということはありがちだが、その時間にラジオを聴いていれば、ラジオを楽しんでいたら家事も終わっていた、となる。これは精神的に、とても健康的だ。
 
私は「ラジオは他のメディアよりも素晴らしい!」と言いたいのではない。私が言いたいのは、「ラジオという選択肢を持たないことの、もったいなさ」についてなのだ。
パーソナリティのことを知るほどに親近感がわき、好きになっていく。内輪ネタが分かることが楽しくなり、リスナーとして「お前らは」などと友達のように呼びかけられることが嬉しくなる。そして「ラジオを聴く」という感覚は次第に「パーソナリティに会いに行く」という感覚に変わっていく。ラジオはハマると、本当にリアルで面白いメディアなのだ。
テレビにSNSに、Youtube、サブスクリプションの動画や音楽。様々なコンテンツを気軽に楽しめる現代で、「ラジオに割いている時間なんてない」という人もいるかもしれない。しかし、そうしたメディアが入り込めない「隙間」にこそ、ラジオはピッタリだ。忙しい現代人が何かに追われているときでも、ラジオはただイヤフォンを耳に突っ込むだけで面白い世界へと連れて行ってくれる。限られた時間の中で何かに詳しくなりたいと思うなら、その題材を取り扱ったラジオ番組を探してみるのもいいだろう。
 
私だって、ラジオにゾッコンLOVEというわけではない。ただ、時々「あ、今ラジオ聴こう」と思って、カバンからイヤフォンを取り出すようになった。そうして、ニヤニヤ笑いながら道を歩いたり、家事をテキパキこなしていたりする。今では、ラジオはもっと評価されるべきだと感じるようになった。
繰り返しになるが「ラジオという選択肢をもたないことは、もったいない」というのが、私の素直な感想だ。好きな芸能人の番組でも、自分の趣味について取り上げた番組でもいいので、ぜひラジオを試してみてほしい。このメディアは、現代人にしっくりくるし、これまで見聞きしていたメディアでは埋めきれなかった空白の時間にフィットしてくれる。
そういう意味で、私にとってラジオはむしろ「新メディア」だ。私と同じように、これまでラジオに触れてこなかった人にとっては、ラジオはまさに「こういうのがほしかった!」 という出会いであり、発見であり、既存のメディアをしのぐ「新メディア」になりうるかもしれない。
 
 
 
 
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2020-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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