メディアグランプリ

心技体の序列


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ゆーすけ(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
心・技・体。スポーツにおいて大切だと言われている三要素である。心が強く、技(わざ)が優れていて、体が強靭であればどんなスポーツでも活躍することができる。よく聞く言葉だと思う。ではこの中で一番大切なものは何か?
この三つの順序をつけるとなると、普通はその並び通り、一番が心、二番が技術、三番が体だと考える人が多いのではないだろうか。実際よくあるスポコンアニメや漫画とかでも、「一番大切なのは心だ!」ということで、「心」を重要視する風潮が強い。(特に昭和の時代は一にも二にも根性で、特にその傾向が強いと個人的には思っている)
 
私がそうではないと気づかされたのは、高校二年生の部活の試合の帰りのことだった。私は当時テニス部に所属していたのだが、そのテニス部は毎年全国大会に出場するような、県内でも有数の強豪校だった。私は中学からテニスを始めて、全国大会で活躍することを夢見て、その高校に進学した。
 
しかし、現実はそう甘くはなかった。私は試合に出ても良くて三回戦まで進み、シードの選手に当たって負けてしまうくらいの実力であり、はっきり言って、全国大会で戦えるレベルの選手ではなかった。校内のランキングでも下の方で、「自分なりに努力はしている」と思っていたのだが、実力がついて来てくれなかった。練習ではいい球が打てているのだが、試合になると全然だめになってしまうのである。「こんなに練習ではできているのに……」そして私はこう思い続けていた。「自分が弱いのは心が弱いからなんだ。もっとメンタルを強くしないと……」
 
その日も私は試合に負けて帰ってきた。いつもと同じように大会の三回戦までは勝ち進み、そこでシード選手に当たって敗れた。惨敗だった。「またいつもと同じか……」そう思いながら、試合会場を後にしようとした。
たまたま私の試合がその日、会場で行われる最後の試合であり、他の部員は残っておらず、顧問の先生だけが残っていてくれた。私は先生に試合の報告をして、試合会場の付近のバス停からバスに乗って最寄り駅まで帰ろうとしたのだが、車で会場まで来ていた先生が、
「よかったら、駅まで乗ってくか」と誘ってくれたため、お言葉に甘えて送ってもらうことにした。
車の中でいろいろな話をした。試合での技術的な私の弱点、もっとこうした方がいいというアドバイスなど。そういった話をする中で、先生がこんなことを私に聞いた。
「なあ、ゆーすけ。心技体ってあるじゃん? どれが一番大事だと思う?」
私は少し考えてから、こう答えた。
「……やっぱり心でしょうか?」
「違うんだな。俺は三つの中ではまず体が一番大事だと思う。体が強くないと何もできん。どんなに心が強くたって、技術が優れていたって、それを下支えしてくれる体力がなければ、すぐへばってしまうし、実力も出せない。それは試合でもそうだけど、練習の時もそうだ。
体力がないと、どんなに練習を積み重ねても、どこかで疲れてしまい、練習の質が落ちてくる。そういう意味で、体力が一番重要だ」
「それで、次が技術。体力があってこそ、質のいい練習ができてそこで技術が身に着く。それが武器になる。最後がようやく、心。メンタルなんて最後についてくるもんだ。基礎体力があり、良い練習で技術を身につければ、それが自分の自信となって、試合でもいい結果がだせる。ゆーすけを見てると、なんか色々悩んでいるようだけど、俺からしたら、お前はまだまだ体力も足らないし、技術もついてきていない。だから、とにかく今は遮二無二、練習に打ち込んでみな。そうしたら、必ず結果がついてくると思うよ」
そう、顧問の先生は私にアドバイスをくれた。気づいた頃には駅に着いていて、私は先生に送ってくれたお礼を言い、電車に乗って家路についた。
それから私は先生の言った通り練習に励んだ。とにかくもっと自分に厳しいトレーニングを課し、体力をつけ、練習もこれまで以上に質の高いものにしようと自分を追い込んだ。
 
そして、私の実力はメキメキと上がり、全国大会に出場し、大活躍! ……という結果であればとってもいい話なのだが、残念ながらそんなシンデレラストーリーは漫画の話であって、現実的ではない。結局私は全国大会には出場できなかった。しかし、そのアドバイスを聞いて、がむしゃらに努力した後は実力が伸び、部内のランキングも上位に食い込むことができた。対外試合でも準々決勝くらいまでは勝ち進むことができるようになった。
 
もう高校時代となると十数年は前の話だが、いまだに顧問の先生から聞いた教えは私の中で活きている。「体力が一番大事で、それが技術を生み出し、その結果自信がついて心が強くなる」社会人になってから、このことは仕事にも当てはまると思った。体が資本で、体力がなければ質のいいアウトプットも出ないし、アウトプットが出ないと自信を持つことができない。
これからも体を大切にしよう、と私は思う。体こそが土台であり、土台がぐらついては、どんなに良いものをその上に築いたとしても、いつかガラガラと崩れ去ってしまうと思うから。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-10-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事