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パクリが本物を超えることもある


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記事:廣江悠輔(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
中国に対して「パクリ大国」というイメージを持っている方も少なくないだろう。
 
2007年には、北京のとある遊園地の被り物のマスコットキャラクターがミッキーやドラえもんといった世界的なキャラクターを堂々とパクっていると日本のニュースでも大々的に報道されていた。あのパクリのクオリティーの酷さは本当に酷いものだった……。今でも記憶にある方もいるのではないだろうか?
 
2018年、僕は仕事の都合で1年弱、中国の天津に住んでいた。天津は北京から新幹線で30分ほど南東に位置し、中国第5位の経済都市である。天津と聞くと「天津飯」を思い浮かべる人も多いだろうが、「天津飯」は日本で生まれた日本式中華料理で天津とは関係ない。
 
今回は、その天津でのパクリ体験を紹介しようと思う。まさかあんな感情を抱く事になるとは……。
 
自宅から徒歩5分の商業施設の一画のテナントの内装を隠すようにでかでかと横断幕が張られていた。赤茶色が基調の横断幕に深緑色の文字で「天然豚骨ラーメン、オープン準備中」と書かれている。その横に店名「蘭池」のロゴが描かれている。すぐに「一蘭」のロゴと全く同じであるという事に気がついた。
 
「まさか天津に一蘭が進出したのか!?」
 
最初に思い浮かんだのは、一蘭が中国に進出したのではないかという事。ロゴや横断幕のデザインは、一蘭のお店にいった事がある人であるならば誰もが一蘭を連想するであろう完成度の高いものだった。
 
ただ、「蘭」という字が入っているものの、一蘭とは店名が異なる。僕の目の前にある横断幕には「蘭池」と書いてある。
さらに、立地も疑問だった。ここは天津の中心から車で30分程離れた郊外であり、日本人居住者はいなくはないが特別多いという事はない。一蘭が進出するのであれば、もっと天津の中心地に店舗を構えるべきではないか。もっと言ってしまえば、天津なんかに進出する前に北京や上海に進出するべきであろう。それなのに北京や上海に一蘭が進出したという話を聞いたことはない。
 
今考えれば、どう考えても一蘭が天津に進出なんてあり得ないと思うけれど、日本食、特に日本のラーメンに飢えていた僕は、完成度の高い横断幕も相まって、「一蘭天津店」がオープンするのを今か今かと楽しみに待っていた。
 
ある日の休日、昼ごはんを食べに、商業施設をブラブラしていると、あの「一蘭天津店」がオープンしていた。外観の雰囲気はどこからどう見ても一蘭だった。でも外観に書かれた日本語を見てここは「一蘭天津店」ではなくパクリ店であると確信した。
 
「美味しそがぁる」「喜ばれるさよ」
 
外観に書かれた日本語が微妙に間違っているのである。ちなみに本家一蘭的に書くと「美味しさがある」「喜ばれるとよ」が正解。一蘭から訴えられるのを恐れてあえて間違えた日本語を使ったのか、単純に間違えてしまったのかは定かではないが、この日本語の間違いは致命的だ。
 
「そりゃパクリ店だよな……天津に一蘭が進出する訳ないよな……」
 
心の中でそう思いながらも、内心もしかしたら一蘭を食べれるかもと期待していた自分がいた。
正直結構ショックだった。「日本のラーメンはしばらく食べられないな」と。
 
それでも、外観の雰囲気のクオリティの高さから一瞬「一蘭天津店」を夢見させてくれたこの店の内装はどうなっているのか? ラーメンは美味しいだろうか? 気になって仕方がなくなり、店内に吸い込まれた。
 
店内に入って、驚いた。
 
店内はまさに一蘭そのものだった。店の入り口にある券売機、味に集中する為に各席に設置された仕切りとすだれ、席左上にあるコップ置き場、席後方にあるティッシュと上着を掛けるハンガー。注文する際に、オーダー用紙に味の濃さや麺の硬さなど自分の好みを記入するスタイルも全く同じだ。
あまりの完成度高さに感心し、思わず店内をパシャパシャと撮影しまくってしまった。後から来た日本人と思われる方も僕と同じように、周りを見渡して、写真撮影していた。
そりゃこのクオリティは驚くよな。
 
オーダー用紙を記入し、店員に用紙を渡すと、ほどなくしてラーメンが運ばれてきた。
ラーメンは、もちろん豚骨ラーメンで、具材は青ネギ・チャーシュー、中央に赤い薬味が乗っていて一蘭と全く一緒だ。スープの色が一蘭より白色が強いが当時の僕には一蘭のラーメンと瓜二つに思えた。ラーメンどんぶりも一蘭と全く同じ。ラーメンの味にもがぜん期待が高まる。
 
まずはレンゲでスープを一口飲む。その後、麺を勢いよくすする。
 
美味しい。ちゃんとした豚骨ラーメンだ。スープはこってりでクリーミー。麺はしっかり細麺で茹で加減も丁度良い。チャーシューも普通に美味しい。一蘭の味を再現出来ているかは正直分からない。多分、日本で食べるラーメンと比べると美味しくないのではないかと思う。
 
それでも、日本のラーメンに飢えていた自分にとっては最高のごちそうだった。
替え玉もしたし、スープも全部飲んだ。どんぶりの底には、一蘭と同じく「この一滴が最高の喜びです」と書かれていた。最後まで一蘭をパクりきっていて何だか感動した。
 
天津の一蘭はパクリ店であったが、店を出た時の充実感と感動は、日本で本家一蘭を食べた時以上のものだった。
外観と内装の完成度に驚かされ、久々に食べる日本式のラーメンは最高だった。確かに、パクリというと本物の劣化版というイメージだけど、完成度の高いパクリは所変われば本物を超えることもあるんだなと思った。
 
それから何回か通ったけど、いつ行っても店内はガラガラだった。一蘭を知らない中国人にとってはただの値段が高い日本式のラーメンという位置づけだろうし、日本人も少ないエリアだから経営はかなり苦しいんじゃないかなあ……。
あれから2年がたった。まだ、天津の一蘭は元気に営業しているだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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