メディアグランプリ

出会いという格差


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記事:清水あゆみ(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
格差はどこに現れるのだろう? 家? 車? ブランドバック?
今はもっと見えにくい、でも確実に差があるのは「人との出会い」だと思う。
 
最近とあるコーチングスクールに通った。2日間で12万。フルコースで受けると100万以上する高額なスクールだ。内容はすばらしいものだった。
 
そこで一人の青年と知り合った。Yくん20代後半。きちんとしたYシャツからもびっしりと入ったタトゥーが見える。整った顔にはいくつかの古傷の痕が。さぞかしやんちゃをしていた過去があるのだろうと一目でわかる。
 
しかし、ちょっとしゃべると男も女もみんな彼を好きになる魅力があった。嫌味のない性格、素直さと、明るさや前向きさ。
本当に人間的に「イイやつ!」というのが毛穴から滲み出ているのだ。
タトゥーに傷だらけである彼の「いいやつ」っぷりには脱帽して、すぐに打ち解けた。
 
そして彼はコーチングクラスの最中にこう叫んだ「あー! 楽しい。幸せだ。仲間と学べるって楽しい! 俺、学校行ってなかったから」
 
そうか、学校行ってなかったか。でもコーチングの理解もよく、とても賢い子だと思った。
環境には恵まれなかったのかもしれないが、「地頭のよさ」とか「生まれつきの性格のよさ」ってあるのだなあ。と思える珍しい人だった。
 
よくよく聞くと彼は中卒で、社会に出てからもそれはひどく差別され、けなされ、すっかり自信を失っていたときもあったそうだ。
 
彼はコーチングで使ったアドラー心理学の本を「これ友達に送ってやるんだ」と嬉しそうに言った。
「友達ってどこにいるひと?」と聞くと
「大学だよ」というのと同じようなテンションで彼は言った
 
「刑務所だよ」
 
ま、まじか。
「中卒」「友達は刑務所」「けんかでできただろう古傷」
この3点だけでも彼がどれほど壮絶な人生を歩んできたかが分かる。
でも彼はいま、「仲間と学べて楽しい!」と叫んで生き生きしている。
100万で仲間と学びを買ったのだ。きっとここから彼の人生は変わるだろう。
 
この100万は必死で仕事をして貯めたそうだ。
今までと全く違う人脈、そして承認、学び、そこから生まれる希望。
100万が人生を変える。はたから見てそう確信した。
 
昔は格差というと「車を所有しているかどうか」とか女性だと「おしゃれしているかどうか」とかそういうところに現れていただろう。
 
しかし、電車が3分おきにきて、アプリでタクシー相乗りできる時代だから、高収入でも車を持たないひとが多い。
 
おしゃれもファストファッションと100円のメイクできれいにできてしまう。
昔は身なりで貧困がわかったが、今は貧困が見えず「隠れた貧困」というのが問題になっている。
 
つまり、格差は確実にあるのだが、「パッと見の生活」はほぼ同じレベルにあることが多い。
 
ではその「格差」はどこに現れているのか
それは「出会い」だと思う。
 
大学を出て、それなりの就職先を見つけた人は、「大学での出会い」「同期との出会い」がまずある。就職をして余裕が出たら習いごとなどしてまた人と出会う。
一部の運が悪い人以外は、これらの出会いにすごく悪質なものは少ないだろう。
 
学校にはあまり行っておらず、フリーターで家とバイト先を往復で日々の生活に精いっぱいです、となるとバイト先にとてもいい人がいない限り、交友関係を広げるのは難しいだろう。
 
最近はアプリでの出会いというものもある。
アプリで彼氏、彼女は運によってしまうのだろうが、ここでもやはり、学歴や職歴とうバイアスはあるのだろう。

生活に格差が見えにくい時代でも、出会いは明らかな格差として現れるのではないか。
先ほどの彼は中卒という範疇で人生をぐるぐると回っていていたが、コーチングスクールに通うことで、一緒に学べる友人ができた。
もちろん昔からの友人との友情も素晴らしいものだと思う。しかしそことは明らかに「異質」なもので「異質」は可能性を意味する。
 
唐突だが、商業ビルってビル一棟に同じような店舗が入ることが多い。
たとえばエステ店があるビルは上の階は美容室、その上の階は美容皮膚科など。店のイメージがあるのでオーガニックの食品店と消費者金融が同じビルに入ることはほとんどない。
 
ある程度、生まれた家庭、進学した学校、就職先で「どのビルに入るのか」が決まってしまう。違う階にボタンを押しても同じような店にたどり着く、そんな印象だ。
 
しかし、「隣のビルに行ってみる」これが「新しい出会い」を探すということなのではないだろうか。今までたどり着けなかった店(世界)がある。
 
今はネットがあり、情報があり、学歴職歴問わずいろいろ学ぶ機会がある。
 
昔は社会構造上、「隣のビル」の人間とは決して触れ合わなかったが、今は勇気といくらかの貯蓄でそれが手に入る。Yくんのように勇気をだして「行ってみる」と新しい世界がある。
 
もちろんそこにも職業や学歴とういう見えないバイアスがあるのかもしれないが、来たからには「これやってみたいんです!」とやる気を見せていけばきっと受け入れてもらえる。
 
出会いは格差、でもそこを突き抜けていく方法もある。とYくんから学んだ。
 
もしも、少しの貯金ができたなら、車よりブランド物のバックより、ぜひ新しい世界に行ける出会いの切符がほしい、と思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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