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“トップアイドル”に続け! 推しが100均の棚に並ぶ日を夢見る


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小野 直子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「そ、その白い粉は……!!」
「過炭酸ナトリウム」
「これでシミに追い込みかけるんや」
 
ニヤリと笑みを浮かべる主人公。私は目を疑った。まさか、成年向けマンガの中で「過炭酸ナトリウム」なんて単語を目にするとは思わなかったからだ。家事の合間に、私は今期のテレビドラマの原作マンガ「極主夫道」をスマホで読んでいて、そこでいきなり「過炭酸ナトリウム」の吹き出しのセリフが目に飛び込んできた。
 
デキる主夫がシミ取りに過炭酸ナトリウムを使うストーリー設定が、一般的に広く読まれるマンガの中で成り立つ時代になったのだなあと私は感慨深い気もちになった。
 
あなたは、過炭酸ナトリウムを使ったことがあるだろうか。いや、そもそも何なのか、ご存じだろうか。
 
私はこれを「過炭酸塩」と呼んで、洗濯槽のカビ取り剤として使ってきた。これは炭酸ナトリウムと過酸化水素を混合した物質で、種類としては酸素性漂白剤になる。漂白剤、除菌剤、脱臭剤の原料もしくはその一部として市販されている。水に溶けると炭酸ソーダと水、酸素に分解されるので、環境に負荷をかけない安心安全な洗浄剤のうちのひとつに数えられる。
 
このような環境に負荷をかけない洗浄剤は、20年ほど前はまだマイナーな存在だったが、今では“ナチュラルクリーニング”としてすっかり市民権を得た。その流れで、実力派の過炭酸ナトリウムが成年マンガの中に登場するほどまで認知されるようになった。中でもセスキ炭酸ソーダは、テレビの情報番組によく取り上げられ、ホームセンターやスーパーの日用品売り場に置 かれてあるだけでなく、今やどこの100均ショップにも通常扱いがあるほど、メジャーな存在となっている。ナチュラルクリーニング界のトップアイドルだと私は思う。
 
確かにセスキは便利だ。ご存じの方は多いだろう。いや、セスキを知らない主婦なんているのだろうか。いるとしたら、恐らくその人は“家事に全然詳しくない人”のレッテルを貼られてしまうだろう。そう、それはまるで、トップアイドルの“嵐”を知らない人はほとんどいないのと同じようなものだ。セスキがこんなにメジャーになるなんて、昔は思ってもみなかった。
 
ナチュラルクリーニングの世界がそれまではどんなものだったのかというと、私がナチュラルクリーニングの世界を知ってから、もう28年になる。一般的によく使われている合成洗浄剤ではなく、(旧)表示指定成分無添加の石けんを使うようになった。ちなみに、当時全国どこでも手に入れられる固形の無添加石けんは、「フキンソープ」一択だった。法律の決まりで“台所用”と表記されてあるが、顔や体を洗うことができる成分の石けんだ。大規模工場で製造されたものでなければ、“洗顔用”や“浴用”などの、人が使う用途の表記はできないため、“台所用”の表記となっていた。
 
使うと肌の調子がとても良いので、私は当時暮らしていた寮で同学年の友達に勧めた。
 
「世間ではあまり知られてないけど、無添加の石けんは自分の肌にも環境にも良いから、使ってみると良いよ」と勧めると、彼女は私に言った。
「良いものなら何で広まらないの? おかしいよね? 合成洗剤会社の圧力があるって? ほんとに? 直ちゃん、もしかして社会運動に染まってる?」
 
ただ私は、良いものだから勧めただけだった。肌に良くて体調もいい。1ヵ月合成物から離れたら、本来もっている味覚も嗅覚も取り戻せた。
しかし自然派洗浄剤を勧めても相手に伝わらないだけでなく、あらぬ誤解までされかねないことを知ってからは、人に勧めることをやめた。でも、その良さを知る人が増えたらいいな、との思いは密かに持ち続けた。
 
当時も自然派洗浄剤の業者は、商品を広める努力をしていたとは思う。
例えばセスキ炭酸ソーダは20年以上前には既に市販されていて、15年前に有名マンガ家でありナチュラリストの赤星たみこ氏が“とてもよく落ちて肌にも環境にも優しい万能洗剤”として描いたマンガを、商品名「アルカリウォッシュ」の入った袋の裏に印刷したものが販売されていたのを覚えている。有名な人が宣伝すれば世の中に広まるかな、と期待した。
それはちょうど女性の生理用布ナプキンが世に出てきた頃で、セスキはそのつけ置き洗浄にぴったりだった。布ナプユーザーが使用するようになって、少し認知が広まったように感じられた。
それでも、メジャーとは言い難かった。近くの店での取り扱いはなく、基本ネットショップで買うしかなかったからだ。
 
それが今では、堂々と100均に並んでいる。
なぜ、セスキはメジャーなトップアイドルになれたのか。
 
それはおそらく、誰かが打ち出した、人々に広く受け入れられるための戦略がすばらしかったからなのだろう。
つまり、正しいプロデュース力そして戦略があれば、“自然派洗浄剤は良いものだ”と世間に認知させることが可能なのだ。ナチュラルクリーニングの成功のおかげで、自然派洗浄剤を世間一般に広めることは十分可能だということがわかった。
 
では、トップアイドル=セスキ炭酸ソーダの背中を追うにふさわしい、ナチュクリ界の次期ホープになり得るのは、いったい何だろうか。
ここで、私は、ずば抜けた実力をもつ私の推し、粉石けんをあなたにアピールしたい。実は粉石けんが、コロナ禍以前からずっと「除菌も洗浄力も部屋干しのにおいも肌荒れも、全てクリアする実力をもっている」ことはご存じだろうか。
 
“最初にしっかり泡立てる”鉄則を守れば、優れた洗浄力で衣類をしっかり除菌する。きれいに洗った衣類にはほとんど雑菌が存在しないため、繁殖しない。だから部屋干しをしてもにおうことはないのだ。以前干し忘れて半日も洗濯槽に入れっぱなしにしてしまったら、さすがに水の腐ったようなにおいがしたけれども。すぐに干してにおったことはない。
 
そして“粉石けんは扱いが面倒だ”と思い込んでいる人が少なからずいるが、実際は「最初にしっかり泡立ててから洗濯物を洗濯槽に入れる」と、あとは最後まで全自動洗濯機まかせで洗濯ができる。過炭酸ナトリウムを40℃のお湯で溶かすよりも簡単だ。意外だろうか? 過炭酸が扱えるなら、粉石けんは絶対に使いこなせる。
 
セスキ炭酸ソーダが世に出回りすっかり浸透したように、プロデュース次第で、粉石けんはトップアイドルを超えて王様にもなれるはずだ。実力は既にある。
 
あなたは、どんなプロデュースなら粉石けんを使いたくなるだろうか。
 
「部屋干ししてもにおわないのが当たり前!」な実力者・粉石けんが、世間一般に認められる日を私は心待ちにしている。いつか、近所の店で、充実した品ぞろえの中からお気に入りの粉石けんを選んでみたい。
さあ、粉石けんよ、セスキの背中を追って100均の棚に並ぶ日を夢見よう。誰かプロデュースしてくれないかな。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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