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刺激的なことはいつも思わぬところから


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:高橋拓希(ライティングゼミ日曜コース)
 
 
「日本を知りたければ海外に行くといいよ」
 
その日初めて出会った佐藤さんの言葉が今の僕を形作り、一つのアイデンティティを形成しました。
 
どれほどこの言葉が私の人生に影響を与えたのか計り知れません。
 
大学一回生の頃、サークルに所属していなかった私は長期休暇を利用してヒッチハイクで日本縦断をする旅に出かけていました。
 
ほんの少し前まで高校生だった私は自分の半径10メートルが現実だと考えていたので、その外の世界をもっと知りたかった。日本人として他の日本の地域をこの目で確かめるためにヒッチハイクの旅をしていました。
 
そして、いろんなバックグラウンドを持つ人に出会うこと。これもヒッチハイクの目的です。
 
地元の京都から出発し、約1ヶ月後、私は北海道にいました。目の前に広がる壮大な景色に温かな心を持った人々。その中の一人が佐藤さんです。
 
北海道千歳市。函館に向かうために、いつものようにスケッチブックに千歳市と函館市の間にある「苫小牧市方面」と大きく書き込みます。
 
20分ほどすると、えんじ色をした一台の軽自動車が私の目の前に停まります。
 
「途中までだけど乗っていく?」
 
年齢は40代半ば、黒縁メガネをかけ、少しふっくらとした体型をしたその男性は物腰柔らかく私に声をかけてくれました。
 
もちろん断る理由は一つもありません。
 
佐藤さんと名乗るその男性はかき氷用の氷などを販売する製氷の仕事をされているようです。青色の作業服を身に纏い、仕事の最中ではあったのですが、私を目的地である苫小牧市付近まで送ってくれるとのことでした。
 
「どこからきたの?」
 
車に乗せてくれる方々が決まって最初に聞く、お決まりのフレーズから始まり、どんどんと会話を繋いでいきます。
 
「なんでヒッチハイクとかしているの?」
 
「日本のいろんな場所とか人を見て、日本についてもっと知りたいんです」
「なるほどね〜、確かにそれも重要だけど、本当に日本を知りたかったら海外に行くといいよ。日本以外の文化や働き方を知ると、日本という国を客観的に見れて、他の国と比較できるからね〜」
 
ビビっときました。
 
ああ自分のやることはこれなんだ。直感的に思いました。
 
不思議な感覚です。まだ出会って20分も経っていないであろう人の言葉になんでこれほどまでに刺激されている自分がいるのだろう。
 
わからないけれど、自分の興味が開かれた。そんな瞬間でした。
 
この言葉を受け、ヒッチハイクで日本縦断の旅を終えたあと、大学を休学し、1年間の海外留学を決めました。その後も世界中を旅行するという習慣は継続しています。
 
やはり佐藤さんが言っていたことは間違いではありませんでした。
 
海外に行って始めて知った、私たちの日常や当たり前の出来事は決して当たり前ではないということ。たとえばカフェでトイレに行くとき、席に荷物を置いていても奪われることなんてほとんどない。ゴミ箱が街になくても、綺麗な街を保っている。テロが急に起こって行きたいところに行けなくなるというのもない。働き方は少し変な感じだけれど。
 
そんな些細なことでさえ、日本がいかに安全で裕福な国なのか、働きすぎなところはあるけれど、やっぱり他の国と見てみることで日本がどんな国なのか知ることができました。
 
たった一人の出会いからこんなにも自分の興味関心が開かれ、影響されるなんて思っても見なかったことです。
 
新たな知見や楽しさをヒッチハイクの経験の中で得られるとは予想していました。しかし、その後の自分の活動の軸になるような体験ができるなんて、自分の次の行動のきっかけの手がかりが見つかることは想像していませんでした。
 
きっかけは思いもよらぬところからやってくる。そして何歳になっても自分のアイデンティティが形成されるということを実感しました。
 
本来、自我というのは幼少期に決まるそうです。自分の身近な存在、特に親の影響が大きく、小さい時の経験がその後の人生においての核をなすそう。
 
しかし、私がヒッチハイクで得た経験により、自分自身の新しい興味を引き起こされ、それからの行動や考え方に大きな影響を与えました。それは親という身近な存在とは正反対の位置にいるような、出会って間もない全くの赤の他人です。それも超がつくほどの資産家や芸能人ではなく、いわゆる一般人のおっちゃん。
でもそんな人の言葉によって動かされたのはなぜなのでしょうか。
 
一つの見解として、私と佐藤さんの関係には「期待」というものがなかったのではないかと思います。
 
親や友人など身近な存在と私との間には「こうしてほしいな」「こんな風になってほしいな」という何かしらの期待が込められたコミュニケーション、関係性があります。
 
しかし、このヒッチハイクの場面では、せいぜい一緒にいても30分ぐらいの短い、束の間の関係性がそこにはあり、「自分が思うようにこうしてほしい」という期待が、いい意味でありません。
 
だからこそ、身近な存在には言わないような本音の部分も伝えられるのではないでしょうか。
 
刺激的なことはいつも思わぬところからやってきます。
 
それはヒッチハイクだけではなく、もっと身近なところからでも。ふとラジオに流れる言葉や音楽に影響を受けたり、呑み屋さんでたまたま出会って話をした人からだったり。
 
どんなところからでも、何歳になっても自分の考え方や行動に影響を与える出来事に出会う可能性があります。
 
これからもずっと好奇心を持りち、いろいろな物事に耳を傾けて行きたいです。
 
***
 
 
 
 
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2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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