お客様は神様ではない
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記事:秋田智子(ライティング・ゼミ集中コース)
カスタマーハラスメントと言う言葉がネットやニュースで語られるようになって久しい。
お店の店員や従業員、コールセンターなどに無理難題を突きつけて困らせる行動だ。
コロナウィルスの騒ぎでマスクが不足した際、マスクが品切れになった薬局で、店員用に確保しているマスクを出せ、と何時間も粘った客がいた話は有名だ。事故などで列車が遅延した際、電車を遅らせるなと駅員に詰め寄ったりする光景はよく見かけるし、子ども成績が上がらないのは家庭教師の責任なので、毎日通えといった保護者の話にはびっくりだ。あなたの子どもの成績が悪いのはあなたの責任でしょ? と言いたくなってしまう。
こうした行為をとる方がよく言う言葉がある。
「お客様は神様でしょ?」
お客様=お金を払う方が偉い、と言う意味合いかと思うのだが、いつからこんな文化が日本に定着したか?
おそらく語源は、故三波春夫さんの名言
「お客様は神様です」
からきているのだとは思う。
しかし、この言葉の本来の意味は、
「舞台に立つ時に敬虔な心で神に手をあわせたと同様に心を昇華させなければ真実の芸はできない」
と言う意味合いだそうで、
「お客様は神様なのだから、言いなりになりなさい」
との意味ではないはずなのだ。
私自身、意味を誤解していたので、いつからどうしてそうなったのか、調べるのは難しい。だが、日本人の「思いやり(=サービス)」精神が積み重なり、それを当たり前に感じるようになってしまったのではないかと考えている。
高校の時、「お客様は神様です」とは真逆の扱いを受けたことがある。
その日、ノートが必要だった私は購買でノートを買おうとした。商売人の娘で、「物を買うときはまず価格交渉を」と言う家庭に育った私は、購買のおばちゃんに何気なく「おまけして」と頼んだのだ。
だが、返ってきた答えは、
「この値段が気に入らないなら売らない。この値段でもあなたには売らない」
だった。
私は二つの間違いを犯していた。
一つは、購買取引は、売る側と買う側で対応であることを忘れていたこと。
一つは、状況によっては買う側の立場が低くなることを意識していなかったこと。
ノートを手に入れることができず、その後、困りに困ったのは言うまでもなく、自分の無知を思い知った経験である。
商品やサービスを提供する側は、いただいたお金と交換に商品やサービスを提供している。いただいた金額に見合う商品やサービスを提供しているのであれば、お客と提供者の間に上下関係はない。
お金を持っている側は、そのお金をどのような商品やサービスに使うか選ぶことができるが、売る側はお客を選びにくい。なので、取引をする上で、お金を持っている側が有利になりがちではあるが、実際に取引が成立するときは完全に平等なのだ。
その理屈を抜きにして過剰なサービスや理不尽なクレームをつける者は、もはやお客ではない。お客でもないのに「お客様は神様だ」と主張するのは論理破綻も甚だしいと言えよう。
しかしながら、
取引は平等です、と言って引き下がるくらいなら、カスタマークレーマーはクレーマーにはなっていない。理屈が理解できないからクレームしているのだ。
ではどうするのか?
まずは、売らないことだろう。過剰なサービスや理不尽なクレームを受け入れて取引をしても商売は成り立たない。そんなお客に商品やサービスを提供するべきではない。もちろん、「嫌なら売りませんよ」などと、露骨な態度を取れば、店の評判を落としかねず、断り方は気をつけないといけないが。
もう一つは自分たちの商品やサービスの市場価値を上げることだ。唯一無二だったり、必要不可欠な商品やサービスであれば、顧客はそれを買わざるをえない。クレームなどして売ってもらわなければ困ってしまう。売る側として目指すはこちらであろう。
なお、「お客様は神様ではない」と言う考え方も一般的になり始めている。注文の仕方によって、生ビールの値段を変えて話題になった居酒屋もある。丁寧なオーダーなら100円、無礼な頼み方の場合1000円と言った感じだ。売る側と買う側、公平な取引ができるよう、こうした強気な商売人が増えていけば良いな、と思う。
商品やサービス提供する側とお客様の間に上下関係はない。
そして、会社員である自分自身、労働力の企業への提供と言う意味で、企業と自分、平等であると考えたい。
雇用される側は弱い立場になりがちだ。働く者を守る法律もあるし労働組合もあるが、昇進昇級を最終的に決めるのは企業側だし、リストラも怖い。どうしても自分の立場が弱い、と思ってしまう。
だが、私は、お給料をもらう代わりに労働力を企業に提供している。お給料に見合う労働力を提供しているならば、立場は平等なはずだ。そのことを忘れずに、自信を持って、自分と言う商品を企業に、社会に提供していきたい。
そして、自分自身のスキルをあげ、市場価値を高め、唯一無二の存在として、企業に必要とされる、強気な働き手になっていければいいな、と思っている。
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