メディアグランプリ

水中に、顔を付けたからこそわかること。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いはみどり(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
コツ、コツ、コツ。
 
足元のヒールの靴が軽快なリズムを奏でている。
 
登りエスカレーターに足を載せ、スーッと進んでいく。
何もしなくても、ぼーっとしていても進んでいく。
 
「あぁ、なんだか人生みたいだな」そんなことを考えながら駅ビルに入っているお気に入りの雑貨屋さんにやって来た。キョロキョロをあたりを見渡し、商品を眺める。
 
センスの良い便箋。
ちょっとしたプレゼントにぴったりなお菓子。
使うのを想像しただけでワクワクするような文房具。
 
いつもならウィンドウショッピングで時間を使ってしまうが、今日のわたしは違う。店内の物色を続けていると、1つの商品がパンっと目に入ってきた。
 
「あ、これに決めた。」
 
白地にかわいらしいキャラクターの絵が描かれた一冊のノート。
見つけた瞬間即決だった。
 
「あの人も好きそうだな」なんて好きな人のことを考えながらノートを手に取る。
 
わたしのお目当てはもう一つ、少しだけアンティークな使っていると背筋が伸びそうなボールペン。紺色にゴールドの装飾が良く似合う。こちらも即決だ。
 
コツ、コツ、コツ。
 
その2つをしっかりと握り締め、わたしはレジへと向かった。
 
昔から、気持ちの整理がつかない時はノートとペンが必須だった。特に法則もなく自分の頭の中にある感情を1つ残らず目の前の紙に書き写していく。まるで水中で息を吐くときのように。
 
思い返せば、学生時代彼氏とうまくいかない時も、部活のクラリネットがうまく吹けなかった時も、仕事の失敗が続いてどうすればいいかわからなかった時も、わたしはノートと向き合っていた。今回もそれが目的だ。
 
どうしても自分の中で感情の整理出来なくなると決まって文字を書きたくなる。
 
家に帰り、一通りのやることを終えたらスタートだ。
 
「ふぅー」っと大きく息を吐く。
 
デスクの上に置いておいたペンを握る。
ぶわっと頭の中に自分の感情が出てくる。
1つ1つ出てくる言葉を形にし、夢中でペンを走らせる。
 
実はこの方法、正式には“エクスプレッシブ・ライティング”という名前がついている。
 
エクスプレッシブ・ライティングとは、1980年代にアメリカの社会心理学者ジェームス・ペネベーカー博士によって生み出された方法だ。「筆記開示」とも呼ばれ、思っていることを筆記により開示して解決するテクニック。
 
思ったことを書くだけという簡単なやり方で、認知行動療法でもよく使われている。このシンプルな方法は数百という研究で効果が立証されているようだ。
 
友達に思いっきりグチをこぼしたり悩みを相談しただけでも気分がスッキリした経験がある人は多いと思うが、仕組みはアレと同じ。しかも、つらい気持ちが楽になるだけでなく、「頭が良くなる」「免疫力が上がる」なんて効果も確認されているからすごすぎる。
 
これはもし悩んでいる人がいたらぜひ伝えてあげたい。
 
気を付けるポイントとしては、本音を書く、些細な感情を表現する、時間を決めて行う、習慣にする、この4つ。本来は毎日20分行うのが良いとされているが、1日8分からスタートをして徐々に時間を延ばしていき、20分まで慣れさせるという方法が推奨されている。
 
わたしは普段、自分の気持ちがもやもやした時しかこの方法を行わなかったが、習慣化するとまた違った効果が得られそうだ。これは十分に試す価値がある。
 
そうは言っても人間は十人十色。この方法が合う人がいれば、合わない人もいるだろう。「まぁまずは試すだけ試してみればいいじゃん」ぐらいのテンションで勧めるのが良さそう。
 
幸いにもわたしは切り替えの速さには昔から定評がある。思いっきり感情を吐き出してしまえば後はすっきりして次の行動に移ることが出来るのでこの“エクスプレッシブ・ライティング”という方法はとても合っていた。
 
「悩みとかなさそうだよね!」
 
なんて友達からは言われるが、人間誰しも1つや2つ悩むことはある。
 
泣きながら震える字でノートをびちゃびちゃにしながら文字を書いたこともあるし、「なんで上手くいかないんだろう」とため息をつきながらノートを書いたこともある。
 
しかし、水中で息を吐き切った後は必ず水から顔をあげて思いっきり息を吸うことが出来るように、気持ちを吐き出したら、新しくて新鮮な気持ちを吸うことができるのだ。
 
その仕組みがわかってからは、意図的に気持ちを吐き出すようにしている。
 
それはこれからも変わらないだろう。
 
「うーん」と悩んでため込んでしまうこともあるけれど、
やっぱり新鮮な空気が美味しいな。
 
 
 
 
***

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2020-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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