朝の弱い私がガーデニングにはまっているわけ
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記事:鶴崎ゆうこ(ライティングゼミ平日コース)
「緑の手」ってご存じでしょうか。植物を生き生きと育てることのできる人のことを、「緑の手」を持っていると言うそうなのです。私はずっとそんな「緑の手」にあこがれていました。
私が植物に興味を持ったのは、父の影響だと思います。父はガーデニングなんておしゃれな言葉とは無縁でしたが、武骨な庭師にあこがれていました。
おかげで実家の庭は、ツツジやサツキが丸く刈られ、アジサイやサルスベリが季節の花を咲かせている、居心地の良い庭でした。もちろん手入れはすべて父がしていました。
庭に植えられた植物はすべて父の趣味でした。母はどちらかというと洋風で華やかなバラやストック、ガーベラなどが好きで、植木鉢で育てていましたが、父の育てたものと比べると、葉が落ちてしまっていたり、花の付きが悪かったりと、いつもちょっとかわいそうな状態でした。
父はたぶん「緑の手」を持っているのだと思います。やはりそういう人達が世の中には少なからずいるのだなぁと私は感じていました。
私が植物を育て始めたのは、今のマンションに引っ越してきてからでした。
もともと緑豊かな土地で育ったこともあり、お花や木が身近にある生活が欲しくて、観葉植物を買ったのが始まりでした。
しかし仕事をしている私は毎日が忙しく、何度か植物を買って育ててみましたが、うまくいかず、すべて枯らせてしまいました。
やはり私は「緑の手」を持っていないのだな……と半ばあきらめていました。
今から3年ほど前、大きなオリーブの木を買いました。
それまで娘の子育てもあり、5年くらいは植物を育てるのをあきらめていましたが、ネットでオリーブを育てている方のブログを読んで、どうしてもオリーブが欲しくなったのです。
オリーブの木を買ったのは、もう一つ理由がありました。なんとなく乾燥に強そうな気がしたからです。実際はそんなに乾燥に強いわけではなかったのですが、朝の弱い私は、水をあげる回数が少なくて済むものがいいなと思ったのです。
しかしなぜかオリーブの木を皮切りに、どんどん植物を育てるようになり、今では20もの鉢植えが、ベランダに所狭しと並んでいます。
そう、あれだけ植物を枯らす常習犯だった私が、なぜ急に育てられるようになったのでしょう? 突然「緑の手」が手に入ったのでしょうか。
話が少し変わりますが、私は動物を飼ったことがありません。理由はいろいろありますが、猫はアレルギーがあり、犬は子供のころに噛まれた思い出が忘れられず、いまだに苦手なのです。
私は今まで動物を飼うことと、植物を育てることは全く違うことだと思っていました。
動物はエサをやらないと死んでしまいます。それに動物は生き物なので、愛情をこめて育ててあげないとうまく育たないであろうことは、飼ったことのない私でもわかっていました。そして人間同士のように、動物ともコミュニケーションをとることで、お互いに愛情を確認しあう必要があるのであろうと思っていました。
植物も水をあげたり肥料をあげたりしないと、枯れてしまいます。しかし、私の中では、植物は動物のように生き物であるという感覚は持っていませんでした。つまり、定期的に(義務的に?)お水をあげたり、肥料をあげたりすれば育つものだと思っていたのです。
ところがそれは間違いでした。植物も生き物だったのです。
今では、毎日お水をあげるとき、元気にしているかな? 葉っぱが黄色くなっているな、お水が足りないのかな? お日様には当たっているかな? 当たりすぎていないかな? そんな風に植物とコミュニケーションをとっています。
時には綺麗な花を咲かせてベランダを明るくしてくれているお花には、素敵なお花を咲かせてくれてありがとう。綺麗だね。と話しかけたりします。
それに気づかされたのは、やっぱり子育てからでした。
動物を飼ったことがなかった私は、子育てが初めての「育てる」という行為だったのです。
娘を育てることは、様々なことを教えてくれましたが、植物が生き物であり、コミュニケーションをしながら育てていくべきであることまで教えてくれたのです。
思わぬところから「緑の手」を手に入れた私は、毎朝早起きをして、植物たちとのコミュニケーションの時間を作っています。朝のこの時間が、私の中で毎日の潤いと活力になっているからです。
そんなわけで、朝が苦手な私でも頑張って早起きをしているというわけなのです。
オリーブの木は、ベランダでどんどん大きくなり、今では木陰を作るほどの大きさになっています。20ほどある鉢植えも、もちろん生き生きと元気に育ってくれています。
秋のこの気候のよい季節に、ベランダでお花たちに囲まれながらのんびりとコーヒーを飲む休日は、今の私の最高の楽しみとなっているのです。
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