メディアグランプリ

クリスマスを前に読んだらすぐにもう一度読み返したくなる本


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記事:武田かおる(リーディング・ライティング講座)
 
 
この本を読もうとしたきっかけは、極めてミーハー的な理由からだった。ただ、私の好きな俳優、西島秀俊さんが、来月公開される映画「サイレント・トーキョー」に出演されるということを知ったからだ。
 
本来なら、公開初日に映画館まで足を運んで観に行きたいところだが、私はアメリカに住んでいるためそれはかなわない。それなら、まず原作を読んでみよう。そんな気軽な気持ちで読み始めた。
 
だが、私は読み始めてから、軽はずみに読み始めた自分を後悔した。本書を読むには気合とまとまった時間の確保が必要だということにすぐ気がついたからだ。夜1時ごろから読み始め、夜中の3時ごろ一旦読むのを止めて寝ようとしたのだが、続きが気になって眠れなくなり、結局最後まで一気に読んでしまった。それぐらい、読みだしたら続きが気になり、途中でストップすることができないストーリーだったのだ。
 
多くのフィクションには緩急がある事が多い。だが、あえて言うならば、本書は最初に少し緩があり、後は全部急だ。息をつく暇もなく、トイレに行くために本を置くすきさえ与えないくらい、伏線を撒き散らしながら、物語がどんどん展開していく、ノンストップサスペンスだ。
 
私は読むのが非常に遅いのがコンプレックスなのだが、本書はストーリーの展開を知りたいがために、信じられない速さで読み終えたことに自分でも驚いた。通常、ある程度ページを読むと目が疲れて休憩が必要になるのだが、この小説の場合は目が疲れるどころか、一つの伏線も見逃すものかと、目が冴えてくる。読後は、それでも見逃した伏線を拾うために、すぐにもう一度ストーリーを読み直してしまった。
 
(これ以降、ネタバレが含まれるため、注意をしていただいた上で読んでいただきたい)
 
私は、本書を読んだ後、数年前に地元で起こったボストンマラソンでの爆弾テロのことを思い出した。毎年4月に行われるボストンマラソン。その年も予定通りスタートした。スタート後から数時間がたった時、夫からの電話ンマラソンのゴール地点でテロが起こったことを知る。テレビのニュースをつけると、自分も行ったことのある市内のゴール付近で、救急隊員に運ばれる血まみれの選手や観客の映像が流れていた。テレビ越しにテロが引き起こした残虐なシーンが現実に近くで起こっていることが信じられなかった。自分だって応援に行っていれば、ひょっとしたら被害者の一人になっていても全くおかしくない状況だった。
 
その後、テレビでボストンマラソンの爆弾テロのドキュメンタリーを観たり記事を多く読んだ。テロでは、命を失った人を始め手足を失った人々が数多くいた。その方々の中には目に見える傷だけではなく、心にも癒えることのない傷を負ったという人もいるだろう。また、その方々を取り巻く友人や家族にも精神的なショックを与えることになったに違いない。
 
本書で予告される東京での爆撃事件も、無差別に人々を殺害するテロ行為だ。爆弾テロの犯人は、それを戦争と呼ぶ。戦争でも多くの兵士を含め民間の人が犠牲になる。命を落とす兵士もいる。そして、命は助かっても、仲間を失ったことや、戦場での残酷なシーンなどがトラウマとなり精神的に病んでしまうこともある。私の夫も元アメリカ兵であり、アメリカでも多くの戦地に行った兵士達がトラウマで苦しんでいるということを聞いている。そして、そんな兵士たちを支えている家族も大切な人が苦しんでいるのを見て、心を痛め苦しんでいる人がいるということを改めて考えさせられる。
 
また、テロや戦争といっても、戦後に生まれて平和慣れした日本人にとって、他人事としか思えないだろう。
 
「何もせず、三十年という時間を生きてきた。世界に対しても何も、何もしなかった。ただ漠然と、みんなと同じような方向に向いていれば、それなりに安全な人生が過ごせるのだと思っていた。根拠なく、そう思っていた」(1)
 
「戦争だとか、首相がどうしたとか、そういったことは、未来永劫、自分とは無関係だと思っていた」(2)
 
こんな風に思う人が大半だろう。
 
ストーリーの登場自分物は、主婦、バイトの男子大学生、30歳のOL、ユーチューバー、中学生の家出女子など多様だ。その中には自分の立場に近い登場人物がいるかも知れない。そうなると、ますます感情移入し、いつ自分がテロに巻き込まれてもおかしくないと、自分ごととして考えさせられる場面が多くなる。
 
また、テロを起こすの人は悪人という先入観を持つ人も多いだろうが、この物語の中では人間なら誰しもが持つある感情に起因するということを知ると、自分を含め誰が犯人になってもおかしくないと思えてくる。
 
YoutubeのOriconのチャンネルに掲載されていた、映画「サイレント・トーキョー」の製作発表会では
「原作をアレンジしているので、原作を読まれた人にも楽しめる作品」と出演者の一人がコメントしていた。
 
さて、あなたは映画を見てから原作を読むのか、原作を読んでから映画を観るのか。どちらを先に選んでも、今年のクリスマスを前に、今までと違う意味であなたを特別な気分にしてくれることは間違いないだろう。
 
 
 
 
秦建日子(2019)『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』 河出書房新社、キンドル版
 
引用文献
(1)秦建日子(2019)『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』 河出書房新社、キンドル版
位置No.1326/3047,1330/3047
(2)秦建日子(2019)『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』 河出書房新社、キンドル版
位置No.1349/3047
 
***
 
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2020-11-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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