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グラデーションを認めよ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:綾崎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
冬になると、悩まされることがある。
冷えだ。手足が酷く冷たくなる。特に足先。
対策は色々としてみたのだ。毎朝白湯を飲んだり、ぬるめの湯船に浸かってみたり、筋トレをしてみたり。
筋肉量は増えたけれど、冷え性が改善する気配は未だない。
一番辛いのは、寝る時だ。キンキンに冷えた足のままだと寝付けない。
仕方ないので、小さな電子カーペットを導入した。寝る前にベッドの中に入れておいて温めておく。
これで、ようやくぐっすり—というわけにはいかなかった。今度は、別の問題が出てきた。
冷えた足をホカホカの布団に入れてしばらくすると、確かに温まってくる。最初は気持ちよくて良い感じだ。だが、足の温度はそのまま上がり続け、最後には火照り出す。ポカポカして気持ち良いという域を超え、カッカと火照るのだ。
これは「戻り冷え性」と呼ばれるものらしい。
症状は冷えと真逆だけれど、原因は同じだそうだ。血流が悪いことで起こるらしい。
冬になると私の足首から下は、キンキンに冷えているか、燃えるように火照っているかのどちらかだ。振り子が左右に大きく揺れるみたいに、冷えたり火照ったりを繰り返す。
足して2で割れたら良いけれど、どうもそういう訳にはいかないようだ。
 
極端な冷えと火照りは自分の性格を象徴しているようだなと思う。
0か100か。白か黒か。
つい、両極端で判断してしまう。
 
100点満点じゃないからと、受け入れられなかったことが結構ある。少しの失敗で、諦めて投げやりになったことは一度や二度ではない。
毎回100点を叩き出せれば良いけれど、それは無理な話だ。どんな達人でも100点を出し続けることは難しい。
完璧を求めているのに、満点を出せない。そんなことが続くとどうなるか。
自分が自分を攻撃するようになるのだ。
 
私は、自分の中に小さな上司がいることに気づいたことがある。
自分がした仕事に対して、手厳しいダメ出しが聞こえてくるのだ。もちろん実際に聞こえるわけではない。心の中で聞こえる声だ。その声は、以前勤めていた職場にいた厳しい上司の口調と似ていたので、「ああ、心の中に上司がいるなあ」と思った。
ミニ上司は、いつも私の仕事に厳しく目を光らせ、ダメ出しをする。
「そんないい加減な仕事の仕方でいいの?」
「やらない方がマシじゃないの」
「なんでそんなに時間がかかるの?」
一番傷つく言葉で的確に抉ってくる。これには参った。
けれども、完成した仕事をビクビクしながら提出すると、大概問題はない。当たり前だ、ダメ出ししているのは私の妄想なのだから。
0点のか100点かどちらの結果を出すかわからない人より、60点、70点のものを安定して提出してくれる人の方がいい。断然良い。
70点くらいを安定して出せれば、文句なしの合格だ。
いや、これもちょっと高望みかな。
20点や30点の結果だったとしても、認めて受け入れられるようになれば、生きることはもっと楽になりそうだ。
 
白か黒かという極端な考え方だってそうだ。
はっきりとしたわかりやすい物事ってあるのだろうか。大概がグレーだ。
頭ではわかっている。でも何かあると、単純な判断を下しがちだ。その方が楽だからだ。グレーをグレーのままで決断を下すのは難しい。白黒はっきりさせたくなる。
ドラマや映画みたいにわかりやすい悪人はなかなかいない。優しい人だけど欠点があるとか、怖い人だけど親切なところがあるとか。良い、悪いをスパッと割り切ることとは難しい。
現実は、いつだってグラデーション状になっている。
これを無理やり白か黒かに分けようとするから不都合が出てくるのだ。
 
極端な考え方は、歪みを生む。
歪みはストレスに形を変え、自分自身に戻ってくる。
ああ、それで自律神経がおかしくなって冷え性になるのかな。
私は布団の中で合点した。
小さな上司の声は、きっと自分の考えを見直すサインだ。
極端な、振り子のような性格を直せば、もしかしたらこの冷え性も改善するかもしれない。
 
冷たかった足は、すっかり火照っていた。
枕元に置いているスマホで確認すると、ベッドに入ってからすでに一時間以上が経とうとしている。
冷え性って、病院で診てもらえるのだろうか。漢方が効くって聞いたことあるけど、処方してもらえるのかなあ。でも、性格までは変えられないよなあ。
そんなことを思いながら、何度目かの寝返りをうった。
 
 
 
 
***

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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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