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メディアグランプリ

「人生の残り時間」を見つめながら生きているとは、とても言えないから


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:河瀬佳代子(リーディング&ライティング講座)
 
 
ちょうど2年前のことだ。
長年の身体の不調は自覚しながらも、医者で定期健診はしてるから大丈夫大丈夫、ちゃんと働けてるし元気だし。心の片隅に気にはしていたけど、ルーティーンワークはこなせていたので自分は普通だと思っていた。だが暮れでかかりつけ医が閉まっており、その日に開いていた別の医者に行ったのが始まりだった。
 
「あなたこんなになるまでよく我慢してたね。働きに行くだけでやっとなんじゃない?」
「確かに疲れやすいし、時々しんどいことはあるけど、そんなに悪いんですか?」
「この影が嫌な感じするんだよね。とにかく大学病院を紹介するから、精密検査を受けて」
 
以前からのかかりつけ医が、継続診療を面倒がって健診で異常なしと言っていたためにこんなことになっていた。健診に行ったはずなのに気がつけば大学病院に回され、そこから検査を経て手術することになってしまった。もちろん大きな手術なんて初めてだったが、術後の経過がとてもよかった。1週間休暇を取ってどこかへ遊びに行って、そのまま翌週しれっと出勤してきたような感じで職場復帰できたこともあり、あまり自分は病人だという自覚がなかった。
 
今年に入り、コロナ禍の自粛期間中で息をひそめているような街並みの中、なぜか1軒だけ開いていた本屋があった。引き寄せられるようにふらっと入った先に平積みされていた本に目が留まる。それが『もしも一年後、この世にいないとしたら。』(清水研、2020 文響社)だった。
 
タイトルを見て、ドキッとした。
自分があの長時間の手術をしたことすら忘れかけていたからだ。
 
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったもので、すっかり忘れるくらいに活動できているのをいいことに、手術は記憶の彼方に飛んでいた。それはたぶん、非常によろしくないことだろうな。そんな自戒の意味を込めてその本を読んでみることにした。
 
著者の清水氏は、国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科長である。一貫してがん患者及びその家族のケアに携わっている。清水氏は、ご自分が接してきた大勢の患者さんの中から学ばれたことを淡々とまとめている。どの患者さんにも共通していることは、「命の終わりを知ったこと」だが、そこからのそれぞれの生き様には頷かされるものがある。
 
よくドラマや映画で見かける話として、余命を宣告された人が一念発起し、感動的な余生を送る……というものがある。しかしこの本に書かれていることは、美談だけではもちろんない。自分の人生、まだまだ先はあると思っていたはずだけど、もしかしたらそうではないかもしれない。もしもその運命がわかったとしたら、人は何をするのだろう。
 
自分に降りかかった運命を受け止めきれないでいる人
余命を知って自暴自棄になってしまう人
それまでの人生で抑えていた感情を振り返る人
 
ここに登場する患者さんたちの誰もが、自分の生と死に向き合う。そして、自分なりの答えを出している。
 
翻って自分のことを思い出す。あの時、大学病院で確かこう言われた。
 
「今、治療しておかないと、10年後くらいに命に関わることになるかもしれませんね」
 
そこまで言われて初めて、抜き差しならない状況だったということに気がつく。いつかは自分もこの世から消えていく存在ということを改めて思い知らされた。それなのに、そのことが懸念材料ではなくなった途端にすっかり忘れてしまう傲慢さがあった。今のところ経過観察では問題ないが、それも絶対大丈夫という保証なんてどこにもないはずなのに。
 
「今を大事にして生きています」とは、口では何とでも、どうとでも言える。
ではその通りに実行できているのだろうか。とてもじゃないけど、真剣にできていないんじゃないだろうか。もし今の自分が真剣に生きているなどと言ったとしたら、この本に出てくる患者さんに対してとても失礼になる。そのくらい、本書に出てくる方々は「人生の残り時間」を見つめながら生きている。
 
人生の残り時間があとどのくらいかわかった時、人は本当に変わることができるのかもしれない。
「こうあるべき」に縛られてばかりいなかっただろうか。
いつも誰かのことが優先で、自分がしたいことを抑えて生きて来なかっただろうか。
つい辛く当たってしまった誰かの気持ちを思いやれていない自分になってなかっただろうか。
 
残り時間を悟った人は、そんな「人生の後悔」にまともに向き合うことになる。本書に出てくるどの人の体験も、自分に当てはめるとその通りと思うことばかりだ。やると言いながらもできていなかった、もしもそんな繰り返しの人生で終わったら、自分に関わった人たちに申し訳ない気持ちになる。
人は誰しも、明日1日を100%生き抜けるという絶対の保証すらない。だからいつ死んでもいいように、悔いを残さないためにも今を生きなくてはと思うのだ。そのことを日々自覚して生きるために、本書に出会ったのかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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