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メディアグランプリ

うまく笑えなくなった私が、流産したときの自分に手渡したい一冊


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:内田智子(リーディング・ライティング講座)
 
 
35歳で結婚した私は、結婚式直後から妊活をスタートし、半年で妊娠した。
年齢的には流産のリスクも高くなるけど、今の時代、さほど珍しくない。ここ数年間、風邪もひいたことのない「健康」「元気」を絵に書いたような私は、どこかで「私は大丈夫」と高を括っていた。
しかし、そろそろ出産予定日を決めましょうという頃、流産した。
数日後には、人生初めての手術。簡単な日帰り手術だったが、心も体もボロボロになった。
遠方に住む母は、普段より絵文字多めのLINEを送ってくれた。夫も前向きな言葉で慰めてくれた。
優しい上司が「体調は大丈夫?」と誰にも聞かれないタイミングで気遣ってくれる。
素直に感謝の言葉も伝えられず、強がることで平静を保つことしかできない自分に腹が立った。
何よりも、たった2ヶ月しか新しい命を育むことができなかった自分が情けなかった。
妊娠初期の流産で最も多い原因は、赤ちゃんの染色体異常である。これは避けられるものではない。
私の心の中では、自責の念と自己弁護がぐるぐる回って喧嘩していた。
結局、この喧嘩を仲裁してくれるのは「時間」しかなかった。
何をしていても楽しいと思えない。うまく笑えない。
昼間は無理やり仮面の「笑顔」をつけて過ごし、夜中に目が覚めては泣く。ホルモンバランス乱れまくりの半年間だった。
 
もし、あの滅茶苦茶な日々の私に出会えるとしたら、迷わずこの本を手渡す。きっと時間以外の方法で、私の心中の喧嘩を仲裁してくれたと思う。もっと早く、仮面じゃない「笑顔」に戻れたはずだ。
 
『子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。「胎内記憶」からの88のメッセージ』
 
この長いタイトルの本に出合ったのは、やっと流産のショックから心身ともに立ち直り、夜もちゃんと眠れてホルモンバランスも整い、また妊活を前向きにスタートしようとしたときだった。
「まだ妊娠もしてないけど、ちょっとフライングして読んでみようかな」
軽い気持ちで手にした薄い文庫本。「胎内記憶」とは、生まれる前の子宮の中の記憶だ。
科学的には証明できない不思議な記憶。このまま読み進めていいものだろうかと悩む一方、私にもそんな記憶があったのだろうか、子どもができたら絶対に聞いてみたいとワクワクしている自分がいた。
胎内記憶を研究する産科医が書いた88のメッセージが、次々と私の心に馴染んでいく。
胸に刺さって痛いメッセージもあれば、ジワジワと温かいスープのように胸いっぱいに広がっていくメッセージもある。本は付箋でいっぱいになり、結局1日で読んでしまった。
そして、私が流産した意味を理解できたのだ。
 
胎内記憶よりもっと前の「お母さんのお腹に宿る前」の記憶を持つ子どももいる。
「雲の上から、自分の意思で生まれることを決め、お母さんを選んでこの世にやってきた」
子どもは親を選べないというのは、どうやら違うようだ。
 
じゃあ私のお腹に2ヶ月だけやってきた子は……
 
一瞬、古傷が奥で疼くように、あの笑えなくなった日々の嫌な感覚を思い出す。
本を読み進めて中盤を過ぎたころ、ある男の子の記憶が、答えへ導いてくれた。
 
「前に来た赤ちゃんは、ぼくだったんだよ。あのときどうして帰っちゃったかっていうと、パパとママを選んだんだけど、本当にこのパパとママでいいか、たしかめに来たんだ。それで、だいじょうぶだと思ったので、次は本当に来たんだ」
 
何度も、何度も、読み返した。自然と涙が溢れていた。
悲しみの涙でもなく、悔し涙でもない。感動の涙、いや違う。安堵の涙だ。
その涙はどんどん胸の奥に浸透し、スープのように温かく、シャボン玉のように軽く、太陽のように明るく、心地よくて眠ってしまいそうな気分にしてくれた。
 
私のところに来た赤ちゃんも、きっと下見かな?
もしかしたら、次は友達も一緒に来てくれたりして? 妹か弟も連れてきてくれるかも?
流産した赤ちゃんは、どうにもならないことを乗り越えていく強さと、家族に、他人に頼ってもいいんだよということを教えにきてくれたのではないだろうか。
もう私の中に自責の念はなく、前向きな気持ちしか生まれなかった。
 
この88のメッセージから、私は、流産した意味だけでなく、辛かったつわりの理由も学んだ。
出産の不安もほとんど無くなったし、子育てに向き合う勇気もたっぷりと貰った。
もう怖くない。たとえ、子どもが授からなかったとしても、幸せを見いだせる自信がついた。
でも、私は確信している。きっと近い将来、夫と子どもと共に成長しながら歩んでいけると。
うまく笑えなかった日々も、無駄ではなかったと。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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