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日本を飛び出し宇宙人に会う


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:おひさ(ライティング・ゼミ日曜日コース)
 
 
初めての一人での海外はカナダ。入国審査で何を聞かれるか事前に調べ、スムーズに言えるようになるまで練習した。必死に覚えたカタコトの英語を入国審査の時に言った。
 
「トゥースタディーイングリッシュ」
 
そう、私は英語を勉強しにきたのだった。当時ツアーコンダクターになって世界を飛び回りたいという夢があった私は「英語は話せんといけんやろ」と大学を休学し一年間、語学留学をした。この海外生活の経験が私の今後の人生を変えることになる。
 
初登校日。慣れない電車を乗り継ぎ登校しなければならない。降りる駅を見逃さないように電車内の電子掲示板をじっとみてまだかまだかとそわそわしていた。無事到着出来きてホッと思いきや、受付へ行くとクラス分けのテストがあるという。文法、リスニング、記述などのテストを終えると真ん中より、ちょい上のクラスに振り分けられた。
 
「もしかして、自分が思ってるより、英語出来るってことかな?」
 
と、浮かれてしまった。そして初めての授業。東洋系の顔から南米、ヨーロッパ系など今まで映画でしか見たことないような顔の人ばかり。そのクラスの日本人は私ただ一人だった。
先生:「◎$♪×△¥●&?#$!」
生徒:「○!※□◇#△!」
私:「?!」
大学のテストなどで英語は聞き慣れているはずなのに、全く理解出来なかった。「え?
みんな英語話してるの?」というぐらい先生と同期生は順にスムーズに会話をしていく。私の番になったとき、何も答えることが出来なかった……
日本人特有の愛想笑いをしてみるが通用しない。先生も「何を笑っているのか?」という反応である。私は何を言っているのか、何を言えばいいのかわからなくて、半ベソ状態であった。
 
「アイドントアンダースタンド」
 
やっと言えた言葉をを聞き取ってくれた先生は理解してくれ、私の番飛ばしてくれた。すごく惨めで悔しくて来て早々、日本に帰りたい。 と思った。自分が理解出来る英語を話してくれる人はいない。カタコトで話してみても「何言ってるんだコイツ?」と薄ら笑いされる。まるで自分が異世界にきたよう。同じ青い星の上にいるのかわからなくなった。
 
それでも、授業には出続けた。授業を受けては、落ち込みを繰り返している内に先生が私と同じくらい苦戦している生徒がいることに気づく。その子はブラジル人の10代の男の子で英語をペラペラ話していると思っていた。しかしいつも先生と会話が噛み合っておらず、先生は終始困り顔だった。それでも「自分は英語を話せてる」とポルトガル語まじりの英語を堂々と話している姿はとてもカッコよかった。「私もこんな風になりたい」と強く思った。
 
どうも日本の教育上、「間違えたら恥ずかしい」ということが幼い頃から刷り込まれている気がする。だが、他の国ではどうなのか?「間違えて当たり前」という考えからかみんな文法や発音を間違えても、「それが何か?」とツンとしている人が多かった。それがわかると、間違える度に落ち込む自分が馬鹿らしくなった。自分のちっぽけなプライドは捨て、わからないことはわかるまで質問し、英語が母国語じゃない生徒同士でカタコトの英語やボディランゲージを使いながら、楽しくコミュニケーションをとった。通じないことが逆に面白く感じた。
 
そして入国して3ヶ月を過ぎた頃には、授業は英語で問題なくついていけるようになり、逆に日本語が出てこず芸能人のルー大柴さんみたいな話し方で日本の家族と連絡をとっていた。この時には色んな国の友達ができており、文化や言葉、価値観の違いに驚かされ徐々に感化されていった。「今まで自分が信じてきたものはなんだったんだろう?」と思わされることばかりだった。
 
その中の一つがプライドパレードである。通称「ゲイパレード」と呼ばれるそのパレードはLGBTのためのイベントである。虹色旗を掲げ歩行者天国となった大通りを仮装して練り歩く。当時まだLGBTに対してあまり理解がなかった私とって、衝撃だった。
 
今はルールが変わっているのかもしれないが、この年のパレードは地面触れる部分が衣類で隠されていれば、どんな格好をしてもいいというルールだった。それを意味するものはそう、靴下さえ履いていれば全裸でも良いということだ。日本だったら考えられない。道端を全裸で歩く人を見た時はどこに目をやっていいのやらわからなかった。それでもちゃっかり目に焼きついたのは上も下も付いている人が多くいたことだ。この人はどっちなのだろう? と思う人が多かった。しかしLGBTのイベントではそこがまたいいのだ。男、女、どこ出身とか区別することなくみんなが楽しめるイベントなのだと思った。
 
帰国後、私はガラッと変わった。今まで言葉が通じて当たり前、男女分かれてて当たり前と思っていたことが、ひっくり返ってしまった。それは日本でだけ通じる共通概念であって、世界では通用しなかった。新しいことを理解するには、始めは戸惑い苦しみ嫌になる。しかし少しづつ自分の中で認めれれるようになれば、自分の世界を一気に広げることができる。自分と違うことを拒否せず、認めれるようになればきっと人生もっと楽しくなるはずだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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