季節外れの手帳は薬の処方せんだった
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:北川 瞳(ライティング・ゼミ日曜コース)
忘れっぽい性分だからか、私は昔からスケジュールの管理が下手だ。病院に行く予定があるのに同じ時間に整体の予約を入れてしまった、なんてことが今でもたまにある。
自分の性分に危機感を覚えた私は、大学に入ってすぐに4月始まりの手帳を買ったのだけど、いかんせん元々書き込む習慣がなかったせいでその存在をすっかり忘れ、次の年度になってからその手帳を学校の忘れ物センターでたまたま見つけたことを今でも覚えている。忘れ物の記録を見ると、半年ほど前――つまり昨年度の秋頃に私の学部の教室に置きっぱなしになっていたらしい。だけど当の私は、手帳をどこかに置き忘れたことすら忘れていたのだった。
それでも私は懲りることなく、毎年度新しい手帳を買っては習慣づけようとしてきた。どれも長く使えなかったことは言うまでもない。
そんな私に転機が訪れたのは、2020年の6月。はじめはネットの記事でチラッと見ただけだった。手帳を持ってもまた無駄にしてしまうかもしれないと思っていたけど、何故か無性に欲しくなってしまい、とうとう我慢できなくなって手帳のシーズンもとうに終わっているというのに店を探し回り、3割引で売っていたその手帳を買ってしまったのだ。
結果としては、2020年は今までで一番よく手帳を使った年になった。そしてこの手帳は私にとってまさに日常生活の「処方せん」だった。
調剤薬局で薬をもらう時とドラッグストアで薬を買う時の違いを少し考えてほしい。利用する側にとって一番違うのは、「処方せん」があるかどうかだ。ドラッグストアで薬を買う時は自分で薬を選ぶが、病院でお医者さんから出される処方せんには薬の名前、一日の服用回数と服用する日数が書いてあって、その処方せんがあるからこそ薬のプロである薬剤師がいて、その人にあった薬であることを確認した上で薬をもらっているから、私達は安心して自分の体質や症状に合わせた薬を使えるのだ。
私が今の手帳を使う習慣ができたのは、手帳のレイアウト、ページ数、判型、紙の書きやすさ、これらがどれも自分にすごく合っていたからだ。今の手帳はB6サイズのマンスリータイプで、薄くて軽い。今まで買っていた文庫サイズより少し大きめなので必要な時に十分書き込める。当たり前のことではあるが自分のライフスタイルにしっかり合ったスケジュールの管理手段が分かると、日常生活がより過ごしやすくなることを実感できたいい一年だったと思う。
でもその前に、この記事を読む人たちには少し考えてみてほしい。ここまで私は手帳について語っているが、手帳はあくまでスケジュール管理の方法の一つでしかない。そもそもスケジュールの管理をするだけなら、そのツールは必ずしも手帳である必要はない。カレンダーのスタンプを押した白紙の安いノートでも、Googleカレンダーでもいいのだから。私もかつてアプリなども試してみたが、すぐに書き留められるのはやっぱり手書きであることを考えた上で、手帳のほうがいいと思ったから使っているだけである。
だから、まず自分に合ったスケジュール管理の方法を色々探した上で、しっかり考えて、どのツールが一番自分と相性がいいのか見極める必要がある。ツールはデジタルかアナログか? 自分はなぜそのツールでスケジュール管理をしたいと思うのか? 持ち歩くのか、どこかに置いておくのか? どのくらいのスパン(一日・一週間・一ヶ月)で予定を立てたいか? 細かく書き込みたいのか、それとも大まかな予定さえ分かればいいのか?
薬は「この薬は何を目的としていて、どれほどの量を使えばいいのか? この薬は患者の体質に合っているのか?」といった点を理解していなければ、相性が分からない。それがどんなに新しい薬でも、どれほど高価な薬だったとしても、害になって症状が良くならないどころか思わぬ副作用を引き起こす。逆に安くても相性のいい薬は、その効果をすぐに理解できる。薬の効果は値段や新しさで決まるものではない。
しかしスケジュール管理の手段ではこういう事態が起きがちである。値段が安くても自分にピッタリのツールがあるかもしれないのに「もういい年齢だからいい手帳を持たないと」とか、そんな理由で自分にあまり合っていないツールを選びがちである。(何かの理由で管理ツールが決まっているわけではないなら)値段が高いからとか、新しいからとか、そんな理由でツールを選ぶと結局効果的に使えなくて、年の終わりに真っ白な手帳を見て後悔することになる。
スケジュール管理には、自分との相性を確認して手帳を処方してくれる人はいない。だけど自分が自分の薬剤師になることはできる。来年の手帳をこれから買う人なんかは、今使っている手帳が本当に自分に合っているのか、考えてみてもいいかもしれない。
スケジュール管理の手段も、薬も、値段や新しさより、自分との相性が全てなのだ。
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