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星がないのではなく、見えないだけ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:野村美帆(ライティング・ゼミ冬季集中コース)
 
 
もうすぐ3.11から10年が経つ。当時小学5年生だった私は、宮城県仙台市で被災を経験した。当時の記憶はおぼろげだが、震災直後慌ただしく生徒が校庭に集まり、親の迎えを待っていたことは覚えている。しばらく状況把握ができずにいたが、保護者の一人が持ってきたラジオから震災の速報を聞き、これは大変なことが起こったと悟った。
停電したため、家に帰ったころにはすでに部屋中が暗くなっていた。もちろん電気がつかないと、テレビを観ることもできず、ゲームもできなかったので、やることをなくしたその日は早く寝ることにした。半日電気を使えないだけで退屈しかけた私だったが、ふと窓の外を見上げると驚くべき光景が目に飛び込んできた。
―夜空に浮かぶたくさんの星。普段は町中の光で見えない星が、停電により辺り一面が真っ暗になったことでくっきりと見えるようになったのだ。仙台には星がないと思っていた私は、それを見てとても驚いた。平安時代や江戸時代などの電気がなかったころ、人々は月や星をみて楽しんでいた、と古典の授業で習った。しかし、電気が普及するにつれ、次第にその文化は消えていったのだと思うと、今当たり前にできていることが実はそうではないことだと気づかされた。
程なくして電気が復旧するまで、冷蔵庫の食品が腐らないように整理したり、トイレの便器に入れる水を川まで汲みに行ったりと、以前の生活と比べて不便な点も多かったが、あまり苦には感じなかった。おそらく必要に迫られて、不便を嘆く余裕がなかったからだと思う。また、同じように星を眺めていた昔の人々を慮ると、今の状況を憂うべきとは思わなくなったのだ。
日本は自然災害が多い国だ。だからこそ、より一層環境に気を配り、文明の進歩の中で共存を図るべきだと思う。しかし、現実には環境問題への危機感は世界に比べて低いように感じる。というのも、昨年の12月3日、日本はCOP25期間中では初となる化石賞を受賞した。化石賞とは、地球温暖化対策に前向きな取り組みを見せない国に対して、NGOがバッドジョークとして与える不名誉な賞である。受賞理由としては、化石燃料の発電所を残すという方針を経済産業省が発表したことが大きいと言われている。日本の生産される電力の多くは火力発電によって賄われている。火力発電は、燃料の石炭を燃やすことによって動力を得る。その際に、多くの二酸化炭素を排出するため、無駄な消費は地球温暖化に影響を及ぼすと考えられている。過去100年間で、地球の気温は0.6℃上がったと言われているが、このまま何もせずに放っておくと、2100年には地球の平均温度が1.4℃から5.8℃も上がると予想されている。国土交通省の調べによると、気温が2℃上がると、日本の洪水が2倍に増える可能性があるため、直ちに対策を練らなければならないと思う。
私は、震災での停電を経験して以降、日常生活の電気の必需性を実感する一方で、電気がなくても数日間だけは何とか耐えしのげると感じた。だからこそ、今後の生活では消費電力は極力省く必要があると思った。なぜなら、電力の無駄遣いは地球温暖化を促進させ、地球温暖化が進めば、新たな災害が起こるからである。一人の力では解決できる問題ではないが、みんなが協力すれば地球を救うほどの力になると思う。震災を通して一人ひとりが自然の脅威を知り、意識を変える必要がある。
しかし、一人ひとりが解決策を考え行動に移すのは難しい。そのため、あくまで私の空想だが、電力会社が環境への負荷を表した表を各家庭に通知するシステムがあったらいいなと思う。模試判定シートのようなフォーマットで一家の電力・水力・消費量などを計測し、環境負荷のレベルに応じてランク分けした表を作成し配布することで、自分が環境に与える影響を可視化でき行動に移しやすくなると思うのだ。(電力がボーダーを超えていれば、翌月は少なくする努力が必要だとわかる)また、ランクに応じて特典を作ることで、皆が協力的に環境問題に取り組めるようになると思う。
現在は新型コロナウイルスが世界を席巻しているが、環境問題に関してはプラスに作用している面もある。コロナ禍により世界中の二酸化炭素の排出が削減しているという報告が相次いでいるのだ。この1年間で私たちの生活様式が大きく変わったが、その影響が環境にすでに表れていることを注意してみていきたい。今は、人命救助と経済活動のバランスについて取りだたされているが、それと同時に経済活動と環境のバランス、人間生活と環境の関わり合いに目を向け、関心を高めていくべきだと感じた。
この世の中には確かに存在していても、目に見えないものがたくさんある。そういった存在に目を向ける姿勢が今必要になってきている。
 
 
 
 
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2021-01-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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