サプリメントは、おまじないだ!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田岡一宏(ライティング・ゼミ日曜コース)
今でも苦い思い出として心に残っていることがある。
小学校のとき野球クラブに入っていた。巨人軍の王選手がホームランの世界記録を打ち立てていた時代で、スポーツをすると言えば野球一択だった。5年生の夏の大会の時のことだ。開会式の途中、チームの中で1人だけ日射病で倒れてしまったのだ。コーチに付き添われ日陰で寝かされてボーっと開会式を眺めていた。確かに、その日は朝からうだるような暑さで湿度もむしむしとしていたが、なんで自分だけと情けない気持ちでいっぱいだった。
「丈夫になるにはどうしたらよいのか?」子供の頃から健康には人一倍関心があり、雑誌や新聞の健康情報がよく目につくようになっていた。高校生の時、自分の人生の方向性を決める言葉に出会った。
「薬食同源」
体によい食材を日常的に食べて健康を保てば、特に薬など必要としないという意味だ(デジタル大辞林)。
大学の進路を決める過程で、病気を治すための「薬」をつくる仕事は社会的意義が強くすごく惹かれる仕事だったが、「薬食同源」の通り病気を未然に防げるなら、その方が医療費の削減にもなるしすごく魅力的だと思った。将来は「体によい食品をつくって、病気を未然に防ぐ仕事がしたい」と思うようになった。
食品は種類が豊富だ。調味料、乳製品、飲料、菓子、冷凍食品などがあるが、中でもより健康に効果が高いものはないかと調べているうちに、当時はまだまだマイナーだったサプリメントにたどりついた。大学卒業後、縁あってサプリメント開発の仕事に従事することが出来た。
希望通りの仕事につけてすごく楽しかった。商品を使ったお客様から「すごく体調がよくなって本当に助かっている。ありがとう」という声を頂いたときは、人の役に立てたことを実感できて、嬉しくてたまらなかったことを今でも覚えている。
しかし、次第にサプリメントの怖さを感じるようにもなった。「調子が悪くなった」というお客様からの声がかなりの数寄せられていたのだ。
サプリメントは、特定の成分を濃縮して作られる。例をあげると、飲み会の味方で有名な「ウコン」、商品によっては100倍に濃縮されているものもあるのだ。商品の中身は医薬品に近いと良いっても過言ではない。だから、サプリメントは一般の食品より効果が強いのだ。その効果が良いほうに働けば「効果があった」と感じるし、悪い方に働けば「副作用」と感じる。どのように働くかはユーザーの体質との相性で、相性は実際に摂取してみないと分からないのが現在の状況だ。
ユーザー側の誤解から生じる問題も2つある。
・サプリメントの法律上の区分は食品だ。薬じゃないから安全と思っている人もいて、効果を早く実感したいので目安量を守らず、過剰摂取する人も少なからずいる。商品の中身は医薬品的なので非常に危険だ。
・サプリメントを飲んでいるからという安心感から正しい食・生活習慣を送らず、その結果もっと健康状態が悪くする場合もある。例えば、ウコンを飲んでいる人はウコンを飲んでいるから安心感から酒量をセーブしない人もいる。明らかにリスクの高い行為と言える。
サプリメントの別名は栄養補助食品。その言葉通り補助なのだ。一番大切にして欲しいのは、正しい食・生活習慣だ。特に、食習慣に関して肝に銘じている言葉がある。
「食卓には交通信号をそろえるように」
大学で栄養学を研究していた大叔父から耳にタコができるほど聞かされていた言葉で、食卓には赤色、黄色、緑色の食材をそろえるということ考え方のことだ。
・赤色:肉、魚などのタンパク質。食べると体内で血や筋肉になる。確かに肉や魚に切り身は赤いのでイメージしやすい。
・黄色:米、麺類、パンなどの炭水化物。食べると体内で動くエネルギーになる。白米、小麦粉は一見、白色じゃないか思われるが、精製前の玄米(茶色)をイメージすると分かりやすい。
・緑色:野菜、特にブロッコリー、ピーマンなどの緑黄色野菜。食べると体内で体の調子を整える。
長年、サプリメントを安全で効果的な開発してきたし、サプリメントアドバイザー(日本臨床栄養協会)しても勉強を重ねてきた。サプリメントで病気予防の役に立ちたいと思ってきたが、今思っていることは、やっぱり食・生活習慣を整えることの方が健康へ近道だと言うことだ。
だからと言って、サプリメントが不要かと言うとそうでもない。
トップアスリートにはプロティンサプリメントは必要だし、若年女性には鉄分補給が必要な人が多くいると思う。高齢になって食が細くなってきたときにも適切な栄養補給は効果的だ。
また、「摂取していると何となく調子が良い・安心する」というサプリメントがあれば、ペースメーカーやお守りの位置づけとして活用するのもよいと思う。
いずれにせよ、サプリメントの効果を過信せずに「おまじない」的に使うことをオススメしている。是非、サプリメントと上手に付き合ってほしい。
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