メディアグランプリ

不惑の猫背とダイヤモンド整体師


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田盛稚佳子(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
吾輩は猫背である。名前はチカコである。
小さい頃から、猫背を親や祖父母や親戚一同に指摘され続けて、大人になってしまった。
基本的にデスクワークが多く、ノートパソコンを使用している私は、肩が自然と内側に入り、呼吸は浅くなり、背中はきれいな猫背カーブを描く。
特に秋から冬になると、その傾向が顕著に表れる。
「しょうがないよね、こういう仕事だもん」
「今さら、気をつけても治らないよね」
そう自分自身に都合のいい理由をつけて、長い間放っておいた。
 
しかし、不惑の年代(40代)を迎えると、そんな私にカラダが「NO」を容赦なく突きつけてきた。
日に日に肩こりがひどくなり、腰痛がじわじわと悪化してきた。
眼がショボショボし始め、首もちょっと動かすだけでグキッと大きな音がする。
大丈夫か? 私のカラダ。
不惑の年代だというのに、にわかに迷走しはじめた。
手当たり次第にマッサージ店や、サロンでのオイルマッサージをしてもらう。
一時的にはスッキリはする。しかし、2週間も経たないうちにまた同じ症状が繰り返される。
うーん、困ったな……。
 
ある時、Zoomのセルフメンテナンスイベントを介して整体師・Sさんと知り合った。
私より10歳年下の、キリリとした印象の女性だった。
Sさんは、画面越しに私たちにキッパリと言った。
「身体がいつまでも丈夫に動くと思うなよ」
衝撃だった。Sさんはその直後に、なーんてねという感じでニコッと笑った。
「うわー! 痛いところを突くなぁ」と思ったと同時に「この人、本気だわ」と心から思ったのもまた事実である。
試しにSさんの言う通りに実践してみようと、教えてもらった呼吸法とストレッチを、仕事の合間にやってみた。2、3日ですぐに変化が表れた。
「あれ? なんだかカラダがきつくない」
 
あとでわかったことだが、1日1人しか予約を取らないSさんは、施術の予約がなかなか取れない大人気の整体師だったのだ。
 
その後、ようやく予約が取れた私は、Sさんの自宅サロンに通い始めた。
初めにしっかりとカウンセリングの時間を取り、どういう仕事でどんなことに困っているか、メモを取りながら細かく聞いてくれた。
そして施術。なんだか心地いい。今までにない感覚であっという間に60分が過ぎた。
施術後、Sさんは日々の生活でのちょっとした見直しが必要だと提案してくれた。
1. オフィスで足を組まない
2. 足の裏をきちんと地面に着けて椅子に座る(なんと、私はつま先立ち状態だった)
3. 前かがみでキーボードを打たない
4. パソコンと椅子の高さのバランスをとる
 
これをご覧になっている方は、「それって基本的なことじゃないの」とお思いかもしれないが、私はその基本すらできていない状態で、痛いだの疲れるだの言っていたのだ。
施術の前後で写真を撮ることになっているのだが、その写真を見て驚いた。
60分前はまっすぐに立っているつもりでも首がヒョイと前に突き出ており、全体的に不安定な感じの写真だった。
それが、施術後は首があるべき位置にスッと戻りカラダの線もバランス良くなっていたのだ。
あまりにも明確な変わり具合に、そりゃカラダもNOと言うはずだと、心底恥ずかしくなってしまった。
施術の帰り道、ふと「ダイヤモンドなのに全然輝けてないやん……」と思った。
4月生まれの私は、実は誕生石がダイヤモンドである。
石の中でも非常に硬いと言われるダイヤは、ダイヤ同士でないと研磨ができない。
私の自分のカラダに対する「治らない」という思い込みは、長い年月を経て磨く前のダイヤモンドのようにガチガチと固まってしまっていたのだ。
 
カラダに対する私の思い込みを崩して磨いてくれるのはSさんだと確信してから3か月、自分が少しずつ変わっていく楽しみを味わいながら通った。
「ダイヤモンド整体師」と私は勝手に名付けていた。
丁寧に作成してくれたオリジナルケアメニューを、自宅でもオフィスでも実践した。
ときにはSさんが一緒に歩いてくれ、「はいチカコさん、もっとリズミカルに!」とポンポンとお尻を叩いて、歩く時の体重移動の仕方まで教えてくれた。
そして3か月後。なんと、肩こりも腰痛もいつの間にか気にならなくなっているではないか。
Sさん、ありがとう! と通勤電車の中からSさん宅の方向へ向かってつぶやいた。
同僚からも、「姿勢良いね、なんかやってるの?」と言われ、心の中で「フフフ。ダイヤモンド整体師Sさんのおかげよ」と思いながら、足取り軽く通勤するようになった。
 
カラダに限ったことではないかもしれないが、私が不惑の年代で改めてわかったことは、人に客観的に見てもらうということは、新しい自分を発見することである。
「ここは大丈夫、ここはもっと努力したら良くなる」ということを、年代関係なく人から教えてもらえると、なんだかスッと頭にも身にも入ってくるのだ。
 
これは、今回受講した「ライティング・ゼミ」にも通じることである。
今までは日々の5行日記のように、書きたいように文章を書いていた私。
しかし、私のことを全く知らない人に読んでいただくためにはどうすればいいのかという、新しい視点で書くということを学んだからだ。
不惑のダイヤモンドが今より輝きを増すのは、人から学ぶ謙虚さと感謝が、付け焼刃でなく、自然とできるようになった時なのだろうと思う。
人生80年と言われる時代、不惑のダイヤモンドはまだまだ折り返し地点である。
だから磨こう、カラダだけでなく私自身を!
 
 
 
 
***
 
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2021-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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