メディアグランプリ

トウキョウにアキバがあるのではないアキバにトウキョウがある。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:和田尚也(ライティングゼミ集中コース)
 
 
日本のアキバというと東京都千代田区秋葉原駅周辺の電気街を指すと思う。今ではオタクの聖地とされているが、私にとってのアキバは東京には存在しない。
 
私にとってのアキバを見つけたのは今から1年前
「出会いの場」を意味する町の誰にも出会わない広い道路の端の方を
私たちは歩いていた時に出会った。
 
旅とは出会いとはよく言ったものだ。
その日が記念日ということもあり、周りのお店は時短営業をしていて、18時にはほとんどのお店が閉まってしまうそんな街だった。この街には旅仲間と二人でほぼ日帰りの予定で来ていて、何も出会わないまま、深夜バスの時間までだらけるところだった。
そんな時に周りのお店が閉まっているのにも関わらずあたりと違う賑わいを見せるお店があった。
お店の名はアキバ、
 
個々は何を隠そうオーストラリアの首都キャンベラである。
元々首都機能はメルボルンに集中していたが、今から約百年前オーストラリアの首都をめぐってシドニーとけんかしたおかげで
メルボルンとシドニーの中間に都市を作ることでお互い納得したとか
「議論の解決策はお互いの妥協点を見つけるのは大事だね」
と旅行の豆知識としてキャンベラのことを調べていた時は思ったりもしたが、実際に来て思ったことはいい意味でも悪い意味でも何もない場所だった
そして隣で「おなかすいたなー」という声が聞こえた気がしたときに見つけたそのお店は
私たちを吸収する特殊な力を持っていた。
 
実際に店内に入ってみると入り口からは想像できないほど広くておしゃれだった。イメージするなら、渋谷のスポーツバーにありそうな内装をしていて、雰囲気も活気があってすごくいいお店だとすぐに感じた。
 
ドリンク何がいいと? ドリンクメニューを店員が読み上げる。
おすすめメニューから順に「ホワイトワイン、レッドワイン、トウキョウ、レモネード」
と続けようとしていた時、旅仲間は冗談だと思いで、なぜそんな飲み物がここにあるのか店員にツッコミを入れたが、
店員は笑って
「当店のレモネードはお酒が入っているのよ」
私たちが言いたかったのはそれではなかった。
 
こんな一幕があってから私たちはすごく不安になったのは言うまでもない、
そして頼んだドリンクを不安8割楽しみ2割の感覚で食事メニューを眺める。
 
メニューを見て感動した。並んでいたのは、オクトパスヤキ(おそらくたこ焼き)、フライドライス(チャーハン)、ジャパニーズフライドチキン(からあげ)、アキバプレートと名前が適当に並べられているのを感じながら、せっかくなのでおすすめであろう受けから順にオクトパスヤキ、フライドライス、フライドチキンを頼んだ。
数分後、早速唐揚げが届いた。この時はまだ幸せだった。懐かしい醤油ベースのから揚げである。
オーストラリアでは実は醤油は浸透していて、スーパーマーケットでソイソースとして
普通に販売されている。オーストラリア人は醤油の味が分かる。だからこそ適当な味ではなくすごくおいしいのだ。しっかり醤油がにじんだ唐揚げが懐かしく涙をこらえた。
隣では「おいしい!」と旅仲間の大喜びだ。しかしその涙は一瞬引いた。
 
次に出てきたのはオイスターソース風味のごはんの上に目玉焼きが乗っかった代物、
赤い夕暮れに明るい月が出てきたような、なんとも合わなそうなきれいな赤と黄色のコントラストがこの料理の適当さを物語っていた。
チャーハンである。
 
味は見た目通りオイスターソースの味かメインにスパイシーな味わいが口の中を刺激する。
悪くない、けどこれはチャーハンではない、そう二人で感想を言い合いながら次の料理が届いた。
 
オクトパスヤキである。
これは目を疑った。お好み焼きの上に別で焼いたタコが乗っかっていた料理が!
もちろんたこ焼きソースもなければマヨネーズもない、どうやって食べたらいいのかわからずに周りを見てみると上のタコだけを一生懸命食べていた。オーストラリアのオクトパスヤキとはこういう食べ物であると語っていた。
そして一通り食べ終わり、この旅では「何もなかったね」終わるつもりが、が最後にインパクトのある「AKIBA」のおかげでいつの間にか「また来たいね」となっていた。
旅の面白さとは何気ない出会いと面白いネタだと感じながら、AKIBAを自分の心に刻んだ。
 
そして深夜バスの時間までジンと梅酒を合わせたようなさっぱりしているような強いようなよくわからない「トウキョウ」を飲みながら時間はキャンベラの話題ですぐに過ぎていった。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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