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怒った時がスタートライン


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:後藤 修 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あけましておめでとう。コロナが落ち着いたら、上京してこいよ!」
今年は、大学時代の同期のサークルメンバーの1人からこんな年賀状が届いた。
僕は、大学の時に東京に住んでいて、大学のテニスサークルに所属していた。
卒業して20数年経つが、大抵は1年に1度、東京に行って、メンバーと会って食事をする。
そして、近況を話したり、思い出話をする。昨年はコロナウイルスが蔓延したために、会えなかったが、お互いにラインで無事を確認し合って、落ち着いたらみんなで集まろうと決めた。
だから、このメンバー同士はかなり結束していると感じている。
 
しかし、僕が入部した当時はこんなにいい関係ではなかった。
その時は、全くまとまりがないバラバラのテニスサークルだったのだから。
 
大学2年の時に、僕はこのサークルに入部した。
サークルには以前入っていたテニス同好会で知り合い仲が良い
友達がいた。彼にサークルの様子を聞いたら、「真面目に活動しているサークルだよ」
と話してくれた。僕は真剣にテニスをしたかったのでその言葉が決め手となり、入部を決めた。
 
が、入ってしばらくして気づいた。サークルのメンバーは個性が強くて、個々が考えた通りに行動することが多く、全員でまとまって行動をしていなかった。
中でも、テニス同好会で知り合った僕の友達と、メンバーの2人があまり口を利かない状態で
雰囲気はあまりよくなかったのだ。
僕は、テニスが上手になることも大事だが、サークルの雰囲気をもっとよくすることを強く
望み、活動に参加するときは、同期のメンバーにテニスや色々なことについて積極的に話しかけていった。が、どのメンバーもそっけなく、僕との関係が深まることはなかった。
次第に、僕はサークルに参加している時は苦痛を感じるようになっていた。
 
しかし、それから半年が経った大学3年になるに僕は気持ちが変わった。
 
それは春合宿最終日の前日に全学年が集まるミーテイングで次のようなことが決まったからだ。
 
「新入生をたくさん入れてサークルを盛り上げていくぞ!」
 
これが掲げられてから、僕は気持ちを新たに行動した。この目標がサークルの何かを変えてくれるかもしれないと思ったからだ。
 
4月の桜が満開の大学の構内で、僕たちは行動した。僕は1人の部員として部員を勧誘するという慣れないことを必死にこなした。
男子女子問わず、声をかけて、サークルについて説明した。
全メンバーの努力の結果、たくさんの部員が集まった。
そして、その部員がやめないように、イベントや食事会で、僕は苦手なお酒を率先して飲んで、踊って、場を盛り上げ、色々な部員に陽気に話しかけ続けた。
 
そんな行動をしているうちに、僕はサークル活動に没頭していき、打ち解けられなかったメンバーとも少しづつ話をしてお互いを知るようになっていった。
 
それから、2か月後に同期のサークルメンバーと関係が深まる‘事件’が起こった。
 
その場所は大学にある会議室。そこで、緊急のミーテイングが開催されることになった。
それは3年生でサークル活動に参加する部員と参加しない部員が分かれて始めていて
そのことで1年生と2年生の間で、不平不満が出始めているのが理由だった。
 
開催の冒頭に僕の親友がこう言った。
「春にサークルを盛り上げていくと話してから、活動に関わる部員と関わらない部員が出始めている。これについて、みんなどう思っているんだ?」
と言った。
しばらく、間があった後に、女子部員の1人がこう話した。
「だって、私テニスが上手じゃないから。それに、後輩に教えられないし」
それから、男子部員の1人が口を開いた。
「だって、バイトとか授業で出られないことがあるからさあ」
 
そんな2人の話を聞いていた僕は我慢を抑えられずに強く大きい声で言い放った。
 
「みんなで活動すると決めたのに、どうしてこんなことになるんだよ! こんなんじゃ
下級生に示しがつかないだろ! 真剣にテニスをしないならやめたほうがいいんじゃないか!!」
 
人生で初めて、激しく強く人前で怒った時だった。本当に‘事件’だった。
メンバーは全員しばらく黙っていた。
そして、誰かが「みんなそれぞれ都合があるんだから、そこからいろいろ考えていこうよ」
と言った。
30分後に、ミーテイングが終了した。僕は、これほど感情的になった経験がなかったので
罪悪感を感じた。そして、女子部員の1人に「声を荒げて、怒ってごめん」と
詫びた。ところが、彼女は「あれぐらい言ってよかったんじゃない?」と言った。
僕はそれを聞いて、驚きながら嬉しく思った。
 
それから、同期のメンバーとはなんでも話し合える関係になれた。
練習のこと、試合のこと、イベントのこと全てについて。
 
僕は怒ったことでメンバーとより深く、より親密な関係性を作ることができたのである。
同期のメンバーたちとは今も強い絆で結ばれていると感じている。
 
‘怒ること’は大抵の人は避けたいし、ためらうものだ。
しかし、状況によっては、仲良くなるきっかけになったり、かけがえのない関係のスタート
だったりもする。僕はそうした結果から、生涯の‘仲間’という宝を得られた。
時と場合にもよるが、自分が普段から真摯な行動を続けていることを信じられる時は、
真摯な気持ちで思い切り強く伝えよう。
その時から、あなたとその人達と新たな素晴らしい関係が始まるに違いない。
 
 
 
 
***

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2021-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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