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6歳のテンは30歳になった僕にとってもお兄ちゃんだった ~「ドラゴンクエスト 天空物語を読んで」~


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記事:村人F(リーディング倶楽部)
 
 
先日、「ドラゴンクエスト 天空物語」という漫画を読み返していた。 
ドラゴンクエストⅤ、ドラクエで最も有名なお父さんが目の前で殺される作品を原作とした漫画で、僕が小学校の頃に読んだ記憶のある数少ない漫画の1つだ。 

大人になってから読み返すと、色々と印象が変わるって言葉を試したくて、30歳になった今あらためて読み返してみたけれど、確かに当時に比べるといろんなことがわかるようになったと思う。 
ただ、同じだと思うこともあった。 

漫画の主人公である6歳のテンは、小学生だった僕にとっても、30歳になった僕にとってもお兄ちゃんだったということである。 

「ドラゴンクエスト 天空物語」はドラゴンクエストⅤの中で描かれていなかった、主人公の子どもたちの成長物語を描いた作品だ。 
なぜゲーム内で描かれていなかったと言うと、その間主人公は石像にされて動けなくなっていたからだ。 
そしてその石化は7年後、立派に成長した子どもたちによって解かれることになる。 

そういう事情があってゲーム内でこの双子の子ども達の成長が描かれることはなかった。 
この漫画は、その双子の兄妹、テンとソラがお父さんの呪いを解くまでの旅路を描いた作品だ。 

テンはこの漫画の主人公で、いわゆる勇者と呼ばれる存在だ。 
行方不明になったお父さんが残した、勇者にしか使えない天空の剣に選ばれたことから、わずか6歳にして周囲の期待を背負っていた。 

でも他作品に出てくるような勇者と比べ、テンはとても弱い。 
魔物を一撃で倒す必殺技もないし、天空の剣を使いこなせるほどの力もない。 
ゲーム的に仲間になる前のストーリーを書いた事情もあるけれど、圧倒的な力で世界を救うって感じの勇者じゃない。 

でもそれなのに小学生の時も、30歳になった僕も、年下のテンがお兄ちゃんに見えたのだ。 

それはテンが弱いからこそ、勇者の本質的な部分を表現できたからじゃないかと思っている。 

他作品の勇者たちは必ず武力がある。 
敵集団をまとめて倒す強力な呪文とか、伝説の剣とか、そういう武力の力によって世界を救うというようなストーリーの流れになりやすい。 
だから勇者の心の中にある迷いや葛藤みたいなことは簡単に書かれがちになってしまう。 

それと比べると本作のテンは武力で世界を救うタイプじゃない。 
まだ6歳だから魔法もおぼつかないし、剣を持つこともままならない。 
まさしくレベル1の勇者だ。 
そんな状況で、お父さんを探すための旅にテンは向かったのだ。 

だからこそ、テンの心の強さというのを強く感じられるストーリーになっていた。 

テンはとっても明るい。産まれたお城では超元気いっぱいで走り回っている人気者だ。 
でもそれは、周りの大人たちを心配させないようにするため。 
本当はお父さんとお母さんが産まれてすぐに行方不明になってしまい寂しくて仕方がない。 
だけどそれを見せて周りに心配させたくない。そういう心遣いがわずか6歳にしてできることがテンのすごいところだ。 

それは妹のソラに対しても同じだ。彼女には勇者としての素質はない。 
そのことを深く悩んでいた。 
だけどテンは言う。ソラにも立派な魔法の才能があると。だから僕と一緒にお父さんとお母さんと探そうと。 

大人たち、妹、いろんな人たちの悩みを受け止め、子どもらしい純粋な心で道を示してくれる。そういうところが、小学生だった時の僕にとっても、そして30歳になった僕にとってもお兄ちゃんだなと思わせた理由なんだと思う。 

テンを見て、新たに気付いたことがある。 
それは、勇者の強さは決してモンスターを倒せるかどうかだけで決まるって話じゃないということだ。 

テンには確かに勇者の素質を感じさせる戦闘センスはあるけれど、他を圧倒するような力はない。 

でもテンは勇者なのだ。 

旅路の先で大人、子ども問わず、いろんな人たちの悩みに真剣に向き合い、一緒に答えを出していく。 
それもテン自身の持つ強い正義感と眼差しによって。 
そうやって迷える人たちに、勇気を与えてくれる。前に進ませてくれる。 
こういう人々を良い方向に導いてあげることも、勇者の大事な力なんだなと思った。 
こういうことに気づけるのが、大人になった証なのかと思った。 

本作を読み返したあと30歳の僕は、テンのお父さんの年齢をすでに超えていたことに気付いた。 
時が経つのはあっという間だな、なんて思いながらもう1つやらなきゃいけないことに気付いた。 

テンの周りには立派な大人たちもいた。 
両親がいなくても寂しくないように、愛情をもって育てくれた大人たちだ。 
いつの間にか僕自身もそういう大人たちと同じ立場になっていた。 

はたして今の僕にそういうことができるだろうか。 
少し挫けそうになる。 
でもそういうときこそ、テンの姿を見習うべきなんだと思った。 

お父さんを探して、みんなと悩み、成長しながら旅をして成長していく。 
その姿勢は30歳になった僕も同じようにするべきことなんだ。 

その思いを握りしめて、これからもテンのように一生懸命生きていきたい。 
 
 
本記事で紹介した作品 
タイトル:ドラゴンクエスト 天空物語 
作者: 幸宮チノ 
出版社:スクウェア・エニックス 
 
 
 
 
***
 
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2021-01-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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