だいじょうぶ? のお節介が世界を救う!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:井上 文(ライティング・ゼミ日曜コース)
涙が止まらなかった。
「あやさん大丈夫ですか?」と言われ、大丈夫よ。と答えるつもりだったが、声に出そうとした瞬間涙がどっと溢れてきた。涙が止まらない。まさか職場で、それもプライベートの事で涙を流すとは思ってもいなかった。失恋したわたしの事を心配していた同僚がそっと声をかけてくれたのだ。
人には弱音を見せたくない私は、ポーカーフェイスはできていたはず。でも、事の次第を把握していた同僚の一言に私は救われた。心がふっと軽くなった。そんな自分に驚いた。なぜならば、
「助けてもらわなくても、自分は大丈夫!と思っていたから」
実は、以前にも別の同僚から声をかけられたことがある。その時はたまたま、考え事をしていただけなのだが、その気持ちがとても嬉しく暖かかく感じられた。
人の優しさに触れて初めて、「人には優しくする」という当たり前なことの重大さ、下手をすると日頃から自分は出来ている錯覚さえしてしまっていることに気付かされた。恥ずかしかった。
と、当時は猛省したにも関わらず、時間と共にいつもの自分に戻ってしまっていた今日この頃……ところが、12月、1月とまさに今度は私が声をかけるべき場面に遭遇したのだ。
「大丈夫ですか?」
言えなかった。こんな簡単な一言が出てこなかった。
自分は同僚に助けてもらってあんなに嬉しかったのにできなかった。
ただ、言い訳としては、職場の話ではない。道端ですれ違っただけの見知らぬ女性2人。一人は、外国籍らしい方で、年末に近所を散歩していた時に見かけた。最初は気にならなかったが、すれ違った時、彼女の歩く速度の遅さに違和感を感じた。
「ん? なんか表情が暗いなぁ元気ないなぁ、それにしても歩くの遅くない?これから、家路に帰るのかな。日本在住ではなくて、コロナで母国に帰れないから元気ないのかな。夫婦げんかでもして悩んでるのかな?」
とすれ違った後も何度も振り向いてあれこれ勝手に妄想してしまった。
もちろん、冷静に考えればただの『お節介』それも道端で転んだわけでもないのに声をかけるなんて……
と思いながらも、
「大失敗。私ってやっぱり優しくないな…」と後悔した。
何よりも、
『声をかけたら、変な人と思われてしまう。もし、何も問題なかったら恥ずかしい』
もう、本末転倒。
こういう自己中な理由で行動に移せなかった自分が情けなかった。
そして、2回目のチャンス。
出勤途中、歩く姿がおぼつかない女性を発見。
「今度こそ!」
と思ったものの、前回と同じ過ちを犯してしまった。
決して普段から、誰かに声をかけたくてキョロキョロしているわけではない。偶然目に止まるからこそ、声をかけたい衝動にかられるのだ。私は、当たり前の事を当たり前にできる、かっこいい同僚の真似をしたかったのだ。ところが、
『仕事に遅れるから、人と話している時間はない』
もう意味不明。
私は何年生きてるんだ。47年目になるのに、まだそんな葛藤をしているのかと思ったら、情けなくなってきた。
ある帰国子女の方のYouTube動画の中で、アメリカと日本を以下の様に分析していた。
「アメリカは他人に興味がないが、人間味のある対応ができる。人と人が対応している。
日本は悪い意味で他人に興味があって距離感が近い。何事にもマニュアルがありロボットみたい」
正直グサッときた。
「人間味のある対応」
簡単なようだが、見知らぬ人に声をかけるとなると、さすがにハードルが高い。
実は、元気な私が落ち込んでいるように見え、大丈夫?と気にかけてくれたのは、外国籍の同僚だったのだ。YouTuberの言う通りなのか……
先日母が、コーラスの練習で一人歌いながら散歩をしていたところ、
「綺麗な声ですね〜」
とすれ違いざまに声をかけられたそうだ。老年の日本人男性。ほら、日本人だって自然とほっこりする対応ができるのだ!
今、世界中が寝ても覚めてもコロナ一色。誰もが初めての経験で、良くも悪くもいろんな情報が行き交う。
みんな不安だし、誰もがパニックになって当たり前の状況。己の事もままならないのに、家族の心配もしなくてはいけない、あれもこれも全てが不確かだけど、毎日生活をしていかなくてはいけない。余裕なんて誰も持ち合わせていないのだ。
それでも、今こそ「大丈夫?」の言葉の威力を発揮させる時ではないか?
それも『お節介レベル』の!
解決しなくてもいい。解決する、しないは関係なく、こんな世の中だからこそ、ひとりひとりが周りにいる人の為に、いつもと違う自分に挑戦してみるのも良いのではないか?
いろんな化学反応を起こすことで、誰も知る由のない穏やかな未来に辿り着けるかもしれない。
***
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