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食べてもいないのに、おにぎりの具が分かるの?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小北采佳(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「Hello! Welcome!」
 
満面の笑顔でそう言って、店員さんは私に英語のメニューを差し出してきた。
 
ここはとあるカフェ。
でも、海外ではない。
東京である。
 
私はよく外国人と間違われる。
もともと色黒で、彫りが深めのはっきりした顔立ちで、背が高いことが主な原因だ。
このカフェに限らず、他のお店に行っても英語のメニューを出されたり、店員さんが英語で話しかけてきたりするのは日常茶飯事で、今まで何度あったかもう覚えていない。
私が日本語で話したら「日本語うまいですね!」なんて言われたこともある。
 
外国人と間違われるのは、もうずいぶん昔からだ。
私は小学校に入った頃から、「ガイジン」とか「黒人なの?」とかいろんな子に言われるようになった。そして徐々に、自分がどうやら日本人離れした見た目なのかもしれないと気づいていった。
普段は「ガイジン」とか言われてもあまり気にしないようにしていたけれど、当時好きだった男の子に「初めて会ったとき、ガイジンだと思った」と言われたときは本当に悲しくて、教室でめっちゃ泣いたのを覚えている。
 
そんなこともあって、当時は自分の見た目が他の子と違うことが本当に嫌だった。
普段机を並べて一緒に勉強したり遊んだりしているクラスメイトに、何かのきっかけで「本当はガイジンなの?」とか言われる。そうすると「この子はずっと私のことを『みんなと違う、正体不明の異質な存在』と思っていたのかな?」と思った。そして、実は相手は自分との間に壁をずっと作っていたのに、それに自分だけが気づいていなかったんじゃなかろうか、という感じがした。
 
しかし……私の家族は先祖代々山形県民なのだ。
私は外国人どころか、いわゆるハーフですらないのである。
だからこの悲しさはどこにもやり場のないものだったし、相談できる人や共感してくれそうな人も周りにいなかった。
 
そんなわけで、小学校を卒業する頃には、
なぜこんなに見た目だけで判断されるのだろう? という疑問や、
見た目だけで人を判断しないでほしい、といういらだちが私のかなり深い部分に積み重なっていたのである。
 
大人になった今となっては、カフェで英語の接客を受けても、いちいち怒りを覚えたり、悲しい気持ちになったりせずに受け流せるようになった。
 
ただ、外国人扱いされた後に飲むコーヒーは、いつもより断然苦く感じる。
なぜなら、私に英語のメニューを出してくる店員さんはみんな、すごく自信満々なのである。
自分が間違っている可能性を1ミリも考えていないように見える。
私はそのことにいつもモヤモヤしてしまうのだ。
 
店員さんからすれば、外国人に見える客に英語で接客するのはサービスの一部なのだろう。そしてそれが相手のためになると思い、善意でやっているのだろう。でも、いくら良かれと思ってやっていることでも、ただ自分の間違った考えを押しつけているだけのことがある。そして気づかないうちに相手を不快にさせてしまう場合があることに思いを巡らせてみてほしい、と感じている。
 
ただ、最近「人を見た目で判断するのをやめよう」という風潮が強くなってきているとは思う。
先日、会社の研修で視聴した「職場の多様性」について考える動画でも、そのことが取り上げられていた。
動画では、ハーフの若手職員が、客から「日本語ができない」と決めつけられてしまうシーンがあった。その若手職員は日本生まれ日本育ちで、もちろん日本語がペラペラであるにも関わらず、見た目だけで能力を判断されてしまうのである。
 
私の周りの友人や職場の同僚を思い浮かべてみても、両親のどちらかが外国人という人は多い。また、両親が外国出身であったとしても、日本で育ったという人もたくさんいる。私の幼い頃よりもグローバル化が進んで、日本社会全体でそのような人々が増えてきているし、これからもますます増えるだろう。
つまり、見た目だけで「日本人かどうか」や「日本語を話せるのか」なんて、もはや判断できない時代になっていると言ってもいい。
 
「人は見た目が9割」とか言われることがある。確かに見た目は、その人の人となりをある程度反映するだろう。でも、目の前の人がどんな人なのかを想像するときに、私たちはあまりにも見た目からの情報に頼りすぎてしまっていないだろうか。
 
実際、見た目だけで人を判断することは、食べる前におにぎりの具を当てるくらいの至難の業だと思う。コンビニのおにぎりみたいにラベルが貼ってあれば簡単だが、ラベルのないおにぎりの具を、あなたは当てることができるだろうか?
 
見た目でおにぎりの具が分からないときは、実際に手に取って、食べてみるしかない。
実際食べてみると、自分が想像していた具と、実際の具が全然違ったということもあるだろう。
人と接するときも同様に、初めから「この人はこういう人だ」と決めつけずに、できれば会話をしてみよう。そうすれば、自分の思い込みが間違っていたことに気づくかもしれないし、相手のことをより深く知ることができるはずだ。
 
おにぎりを実際に食べてみる人がもっと増えてほしい。そして私と同じように、モヤモヤを抱えながら、カフェでいつもより苦いコーヒーを飲む人が一人でも減ることを願っている。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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