こんなときだからこそお散歩に行こう
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:山﨑陽子(ライティング・ゼミ特講)
「趣味は何ですか?」
「お散歩です」
そう聞かれたら私は迷いなく答える。
他にも趣味と言えることはあるけど、たぶんお散歩をしている時間が一番長いし、その時々で風や日差しによって季節を感じることもできる。
歩くことに夢中になって気が付いたら三時間ぐらい歩いていることもあるし、駅に降りて、目的地先が3km、4kmぐらいなら歩いていこうと思っているぐらいだ。
そんなことを友人に話したら、
「なんでわざわざそんなしんどいことするの?」
「バスとか、電車とか、車とか、なんでも手段があるやん」
というような反応が返ってくる。
確かにその意見もごもっともなのだが、私にとってお散歩はどこか宝探しゲームのような感覚に似ていてワクワクしてやめられない。
歩くことを日常的にやっていると、何気ない街並みの中においしそうなお店や、楽しそうなイベントのポスターや、ひっそりと建つお寺や神社が目に着くようになる。
ある時、歩いていたらどこからかコーヒー豆の挽きたての香りが漂ってきた。目には見えないその香りの出所がどこなのか私は気になって仕方なかった。コーヒーが大好きな私は麻薬犬並みに鼻をクンクンさせて辺りを探し歩いた。そして最後には香りの出所を突き止めたのだった。
そこは看板がひっそりと掛かっていて地元の人しか知らないようなコーヒー屋さんだった。店内は満席に近い状態で、いかにもマスターと呼ばれていそうなお髭の男性がカウンターの中で笑っていたのだった。
車や自転車で通っていたら、きっとこんなお店は気が付かないだろう。そんなお店を発見できたことになんだかとっても嬉しくなって、この嬉しさを誰かと共有したいという衝動から友達に「今度一緒にここのコーヒーを飲みに行こう」とお店の写真を送り付けたこともあるのだ。
また別の日。今度は街中で日本に居ながらアフガニスタンを感じられる場所を見つけた。
普通の住宅街を歩いていたとき、小さな看板に「ヒマラヤの山と人写真展」と書いたものを見つけた。
でもどう見ても普通のおうちなので私は本当にこのおうちの中でやっているのかキョロキョロと見渡したがこのおうち以外にない。恐る恐る、おうちのドアに手をかけて思い切って開けてみた。
「こんにちは」と言いながら入ってみるとおうちの中はギャラリーになっていた。そこにはヒマラヤ山脈で撮った写真のパネルがたくさん並んでいた。
「はーい。こんにちは、どうぞ」と声をかけてくれたのはここのギャラリーを運営している女性だった。白髪が混じった長い髪を三つ編みにして、丸眼鏡をかけた雰囲気からやさしさがにじみ出ていた。
声をかけてもらって安心した私はそのギャラリーの奥に進んだ。
そこにはあったのはヒマラヤ山脈を登頂した日本人グループと現地の人たちとの写真だった。日本人グループの写真の中にこの女性のご主人がいた。
現地の生活や風景がずらりと並んであって、日本とかけ離れたその写真の中に引き込まれて私は思わず見入ってしまった。
そんな私に女性が
「主にアフガニスタンの女性が着ているブルカという服がありますが、着てみませんか?」と言ってくれた。一体どんな服なのか想像もつかなかったので「はい、着ます」と即答して着せてもらった。アフガニスタンの女性は公共の場では肌が露出した服を着てはいけないという理由で頭から足首まで一枚のワンピースになったような服を着ている。目元が網目状になったその服を着てみて私は
「なんて視界の狭い生活をしているのだろう。これは不便だよなぁ」と思った。
最近では日本でも女性軽視した発言をして組織を辞任した人もいた。
今の日本以上に女性の地位がまだまだ低い国があるということを三つ編みの女性から聞いた。私には初めて聞く話がたくさんあって興味津々で聞いた。地元に居ながら遠くアフガニスタンの話を聞いて「こんな世界があったんだな」と感じた。
私があの時思い切ってドアを開かなければ聞けない話だった。
今ではお散歩をすることで自分の世界観が広がっていると思っている。
これだけネット情報の社会となった今、いろんな情報から自分に合っているものを探して選ばなければならない。だからこそ、自分の足を使ってその場所に行き、自分の目で見て感じたものこそ本物ではないだろうか?と思ってしまう。
コロナ禍で思うように出かけられない今だからこそ、自分の身の回りや地元の情報に敏感になってみるのもいいと思う。
意外と自分の欲しい情報を持っていた人が実は知り合いにいるかもしれない。
遠くまで行かないと得られないと思っていたものが、意外と近くにあったりするのではないだろうか?
だから私は思うのだ。
お散歩は宝探し。
あなたの地元という地図にたくさんのお宝があるかもしれない。
ぜひ、自分の足で探し歩いて、目で見て、感じ取ってほしい。
そこから広がる人とのご縁や、知識はあなたにとってきっとかけがえのない宝物になるだろう。
***
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