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できる上司の仕事術は、一日にしてならず


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:石田友希(ライティング・ゼミ特講)
 
 
新卒で入った会社に勤めること7年、30歳前に転職した今の会社に勤務すること10年。
振り返ってみると、様々な上司のもとで働いてきたことになる。最初のボスだった藤堂さんには、とにかくよく叱られた。よく通る声の持ち主だったので「気が利かない」のひと声だけで身が縮むような思いをしたものだ。とはいえ褒め上手でもあり「よくやった」というリアクションもそれは大きなものだった。私の一挙手一投足に瞬時に反応して、その場でフィードバックしてくれたという意味では、社会人としての在り方を教えてくれたといえるだろう。その後も年下ながら痒い所に手が届く指導が自慢の林田さんや、二日酔いで出勤しても仕事をバリバリこなす鯖江さんなど、個性豊かな上司が多数。みんなそれぞれの距離感で私を含めた部下と向き合い、着実に、けれど時には大胆に会社をもり立ててきた。
 
過去の上司の共通点といえば、とにかく分かりやすかったということに尽きる。普段の行動を見ていれば、こちらも自然と「次はこう動けば間違いないだろう」と先を読むことができたのだ。それがとてもありがたいことだと気づかされたのは、新上司・田所さんのもとについてからである。彼女は今の会社に入社した頃から在籍する、数少ない先輩だ。新人の頃の私には、通常業務をこなしながらも他のスタッフの手助けをする田所さんがまぶしく見えた。同じ1時間でも、私がやっとの思いで対応案件1本を済ませたところで、田所さんはそれに加えて次の案件の下調べまで完了させているという手際の良さだ。
多くを語ることもなければ、他のスタッフと群れることもない。日中は最大限パフォーマンスして、定時になると颯爽と会社を後にするというメリハリのついた働きぶりだった。
指導にもそつがなく、慣れてくると感覚で乗り越えてしまうところを、すべて言語化して説明するという徹底ぶり。新人教育部門の長になったのも当然の流れだった。そんな田所さんの部下になったのは、約1年前のことである。とにかくスキがなく、さらに本人の持つオーラも相まって、機嫌のいいわるいも分からなければ、次に自分がやるべきことも見えてこなかった。最初は「私はこれでいいのか、部署に貢献できているのだろうか、怒らせてはいないか」と、何も言われていないにも関わらず、戦々恐々としていたほどだ。
そんなさなか、同期と話すうちに新しい指導法を試したいと思い、田所さんに提案したところ、運よくGOサインをもらうことができた。実践に向けてフローチャートをA4用紙1枚にまとめ、これで実動できるとホッとしたのも束の間、誰もが同じ内容・レベルで指導するためにもカリキュラムを作るようにお達しがきた。その指示の細かさたるや、気の遠くなるもので、作業の遅い私が作れば何日かかるだろうかというレベルだった。けれど、自分がやりたいと発案したことだ。ほかに任せることなどできないし、これをクリアしなければスタートすらできないと思い、腹をくくった。ところがその翌日、田所さんは「もしかしたら私の指示が分かりにくかったかもしれないから、一通り形にしてみました。これでいいか目を通してみてください」と言い、完成形に近いカリキュラムを私に手渡してきたのだ。中身を見たら圧巻だった。教えるべきポイントがくまなく整理されていたうえ、受講する側の習熟度にそった説明に、感服するしかなかった。アイデアは、ここまで具体的に落とし込んで初めて形になるのだと、身をもって示してくれたのだ。言葉や態度で伝える代わりに、あるべき姿を見せるというのが、田所さんの意思表示なのだと、ここで初めて知ることになった。それを理解したうえで、改めて彼女の仕事のやり方を垣間見ると、方法論や指導の流れをとにかく丁寧に残していることに気づかされた。後を継ぐ人が困らないように、そして自分自身が指導を効率化できるように、手間暇がかかってもノウハウを形にすることもまた、仕事の心得なのだろう。
 
年が明けて社内が新体制となり、田所さんのもとには新たなリーダーが加わった。新リーダーは私が担当する採用業務を受け持つため、さっそく引き継ぎ書の作成に着手した。まずは自社の選考基準に対する考え方を知って欲しいと、失敗事例・成功事例をもとに傾向をまとめあげ、面接で何をどう掘り下げるべきか、体系化したものだ。もちろん方向性を誤ってはいけないので、田所さんへ事前に確認をお願いすると「これまでの経験をしっかり蓄積してきたのが、よくわかる。現場が求める人物像としっかりリンクしているし、読み返すたびに頷いている」と喜んでもらうことができた。ちょうどライティング・ゼミを受けていたことも功を奏したのだろう。課題提出に苦戦しても、少しずつ力がついていると実感できたのは、思わぬ副産物だった。
目下の目標は、田所さんの右腕になることである。まだ足の小指の爪くらいにしかなれていないけれど、田所さんから相談のチャットがくると嬉しくなる。新卒の指導法に、伸び悩む中途社員の底上げなど問題は山積しているものの、これまで孤軍奮闘していた田所さんが、少しでもゆとりをもってチームを引っ張っていけるように、そしていつかは二本柱になれるよう、フルに考え全力で行動していきたい。
 
 
 
 
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2021-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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