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船旅のススメ


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記事:森本 有美(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
コロナ禍となって、早1年。ダイヤモンド・プリンセス号で始まったのではないかとも思う日本のコロナ禍。今、船旅のイメージは大層悪い。避けるべきだと考える人も多いだろう。
 
そんな中、私は、コロナ禍の前に船旅にはまり、そして今、状況が落ち着いたら、また船に乗りたいと思っている人間の一人である。
 
私が初めて経験した船旅は2年前。ゴールデンウィークが天皇陛下の退位と皇太子さまの即位により10連休となり、長旅をしたくなったことが発端である。当時、娘が3歳。最初はパッケージツアーでハワイまで飛行機で行こうと考えたが、7時間も子どもと飛行機の中で缶詰になっているということが到底無理だと思え断念。しかしなかなか他の案が浮かばず、色々調べていたときに新婚旅行で船旅をした後輩の話を聞き、また、その後輩が子連れで船旅はいいと思うとお勧めしてくれたので、10泊11日でサイパン・グアムまで行くことにした。船にはドレスコードがある等、出発前は色々不安なこともあったが、予想以上に楽しく快適で、まさに「はまってしまった」のである。
 
船旅の良いところは色々あるが、アクティブな人、のんびりしたい人、男の人、女の人、子どもも全員が楽しめるように考えられていて、本当に至れり尽くせりなのである。食事は3食付き。上げ膳据え膳。内容はフレンチもイタリアンも和食もあり、飽きさせない工夫がある。夜食だってスイーツだってある。飲み物も基本、飲み放題(私が乗った船は、お酒は別料金)。子どもをシッターに預け、ゆっくりお食事することも可能である(我が子は嫌がったが)。
 
船旅の最大の魅力は、飛行機のように座っていなくても目的地に着くことである。特に子どものいる親にとっては有り難い。椅子に縛りつけることなく、自由にさせておけば良いのだから。
 
ただし、デメリットもある。時間がかかること。サイパンまで3日強かかる。飛行機だと直行便で4時間ぐらいだろうか。飛行機の約20倍。それを無駄という人もいるだろう。だが、乗客を飽きさせぬよう、船には沢山の工夫やイベントがある。映画やフィットネスルーム、クラフト教室や社交ダンス教室。私が乗った船では、ミニ運動会や夏祭りまであった。三世代で乗っている家族も多く、老若男女楽しめるようになっている。出発前、船の中で子どもが退屈するのではないかという私の心配は杞憂だった。娘は、クラフトの先生とシッターの方が大好きに。毎日キッズルームに遊びに行っていた。
 
のんびりしていたら、サイパンに到着。ビーチを散歩したり、買い物したり。オプショナルツアーを事前に申し込めば、バスで観光することも可能だ。食事は船に戻って頂いても良いし、現地レストランで食べるのも良い。観光したくなければ、船でのんびりしていればいい。選択肢が多いことが何より魅力だ。
 
数日泊まるつもりで、トランクに荷物を詰め込んで、とてもとても大規模なスーパー銭湯に行ったと想像して欲しい。ただしそこは、ひとたび入場したら、出口はドラえもんの「どこでもドア」になっているのだ。時間になると、「どこでもドア」は開く。そこは、目的地であり、未知の世界なのである。
 
船旅の最大の心配事、そして、最大のデメリットは、船酔いである。日本近海から、遠洋に出る境あたりがよく揺れるらしい。夏場より冬の海の方が荒く、船酔いで船医を訪れる人も多いと聞く。私も娘も乗船2日目は体調が悪く、とても辛かった。だが、だんだん慣れてきたこともあってか、その後は大丈夫だった。酔い止めの薬は忘れないようにした方がいい。
 
しかし、そのデメリットよりメリットが上回るほど、私は船旅が好きになった。
 
あと2つほど、メリットを語りたい。
 
旅行代金は高いのだが、それは船の中での3食の食事や夜食、スイーツ代等を含むため、旅行中、お金をあまり使わない。お土産と、寄港地での買い物だけである。旅の間、食べ物や飲み物の心配をしなくてよいことが、どんなに楽か、皆さんも是非体験して欲しい。
 
もう一つは、都市間の移動でも泊まる場所が同じなので、現地で荷物のパッキング・アンパッキングをしなくてよいことである。旅行中、ずっと同じ部屋で、同じクローゼットを使えるわけだ。これはとても楽だった(ただし、降りる日は必死にトランクに荷物を入れるわけだが)。
 
船旅に慣れている人は、クローゼット用のプラスティックの収納ケースで荷物を宅急便で持ち込んだりと、工夫しているらしい。
 
船の中では、様々な出会いがある。家族だけで話をしているというよりは、客同士、気軽に話をする機会も多い。私は次の旅で、もう少し荷物の工夫の仕方を聞いてみたいと思っている。
 
最後に。
 
コロナ前は、船旅が流行り、外国船も沢山乗り入れているらしいと聞いていた。現在はコロナ禍の影響で休館となっているようだが、新しい客船用埠頭「東京国際クルーズターミナル」が2020年9月にオープンしており、コロナ禍さえ落ち着けば、今までより選べる船も増えるだろう。船により、料金もシステムもお食事も設備も色々らしい。色々乗り比べて、お気に入りの船を探してみるのもよいのではないだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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