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メディアグランプリ

20年後の自分のために、やりたいことはやっておく。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:森野 亮平(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
小学3年生から始めた野球を大学4年まで続けた。
 
進学も部活選びも迷ったことなんか無い。というより、野球をするために学校を選び、放課後も週末もほとんどの時間、野球をして過ごす。そんな生活だった。
 
大学4年の春に引退をすると、8歳以来ぶりに野球のない生活が始まった。週末に休みがあることが新鮮だったが、何をして良いか分からない。昭和の親父の定年後の心境を22歳で味わった。とにかく何かしようと思い、卒業までの間に短期語学留学に行った。行き先はニューヨーク。英語を習得したかったのか? 多分ニューヨークに行きたかったのだと思う。
 
大学を卒業し、新卒で旅行会社に就職をした。同僚と週5日は飲みに行き仕事の話をして熱くなったり、不倫旅行の予約をされた男性のご自宅に旅行券を送付してしまい奥様から凄まじい追求を受けたり、と目まぐるしい1年を過ごしたあたりから、やはり、もっと情熱的に向き合える仕事は何かと考えるようになった。
 
「何か大きな目標が必要だ」と感じた自分は、「自分で会社をやろう、独立をしよう」と決めた。父親や親戚のおっちゃんが自営業をしており、正月に楽しそうに仕事の話をしていることを思い出し、自分で会社をやるということが身近だったのだ。そして週5日飲みに行っていた友人にその話を打ち明けると、「一緒にやろう」ということになり、友人はその半年後に、自分は1年後に会社を辞め、独立への一歩を踏み出すことになった。
 
「何をしようか?」
 
会社員を辞める数ヶ月間の友人との会話である。「独立」という言葉に酔って、事業内容も具体的な話もほとんど無い。ただ、自分が大学時代や留学時におじいちゃんからもらったカメラを持って写真をよく撮っていたこともあり、「写真の仕事に興味がある」と言ったところ、特に何の事業でも良かった友人が、「それならプリントショップで働くわ」と会社を辞めた。行動力は素晴らしい。「撮る方じゃないねんな」とだけは言った。
 
その半年後、自分も会社をやめた。
 
やはり自分は写真撮影の方に興味があるから、技術を勉強したいと伝え、勉強のためにニューヨークに行こうと思うけど一緒に行かないかと誘った。ニューヨークに日本人写真家が在住しており、その方に教えてもらおうと考えていたのだ。多分ニューヨークに行きたかったのだと思う。友人も技術は必要かもしれないという気持ちと、アメリカに住んでみたいという好奇心から同行することになり、まだ事業内容がはっきりと見えない中、ニューヨーク行きの飛行機に乗り込んだ。
 
ニューヨーク到着から3ヶ月、自分は技術習得のために写真家のもとへ通い、勢いで来た友人は自分探しの旅をしていた。この3ヶ月はじっくりとやるべきことが見えた時間でもあった。自分はやっぱりプレイヤーとして写真を撮りたいと思い、友人は、経営の勉強をする必要があると感じ、コンサルタント会社での仕事を決め、一足先に日本に帰った。
 
半年遅れで帰国をした自分は、カメラマンとして仕事を探すもなかなか決まらず、そんな中、広告代理店での書類整理のアルバイトに応募をし、面接で将来は会社をやります、と宣言したところ、それならちょうどディレクターが辞めるからやってみないかと声をかけてもらい、撮影では無いが、広告作りの仕事をすることになった。アメリカに滞在中、ルームシェアしていた日本人が現地で日本人向けフリーペーパーの発行をしており、制作という仕事にも多少興味があったのだ。
 
当時26歳。
 
広告会代理店でアルバイトから社員になった自分は、そこで2年勉強をして、その後、独立に向けてお客さんと直接取引をする制作会社に転職をしてノウハウを蓄えていった。その時期、仕事をしつつ、当時先輩によく連れて行ってもらったスノーボードにもハマり、一度ハマると本格的に追求したくなる性分の自分は、冬になると雪山にアパートを借りては週末に篭り、インストラクターの資格を取り、1年に50日は雪山で過ごすという生活も送っていた。
 
野球、ニューヨーク、写真、広告にスノーボード。
 
その時その時に関心のあることをやり、興味をもったことを突き詰めて過ごしたと思う。31歳の時にその友人と独立をして会社を作ってからも子供ができるまでの5年間はスノーボードを続け、雪山生活も続けた。30代半ばには広告作りをしながら、あらためてカメラマンに挑戦しようと再度勉強をして、仕事として撮影をするようにもなった。
 
今その友人とは離れ、自分で事業をしている。
 
これからやっていきたいことを考えた時、例えば、野球独立リーグの支援をしたい、ウィンタースポーツの大会を主催してマイナースポーツのために何か協力したい、海外に拠点を作ってみたい、日本の地方にある小さいお店のオーナーに会いに行くぐらいの小さな旅行を企画してみたい。などなど。結局は20年前に自分が思い、行動したその気持ちがこれからの仕事作りのヒントになっている。
 
そう思うと、その時思ったことをやっておくことはやっぱり大切だったんだと思う。
 
それは写真を撮ることに似ているかもしれない。
 
自分が思ったこと、心を動かされたことに目を向け、シャッターを切る。数年後に見返した時に、自分という人間のことを再発見し、再び行動させてくれる。20年後の自分の進み方にヒントを与えてくれる。写真に撮ってなければ何も残らない。
 
司馬遼太郎の龍馬がゆくの何ページ目かに、桜の美しさはその時以外は忘れるが、見たその一瞬だけでも感動することが大事なのだと書いていたように思う。
 
今年45歳になるが、やっぱり今思ったことをやっていこうと思う。
 
65歳になった時の自分の進路でまた活きるかもしれないから。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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