ゲームはビュッフェのおかずに過ぎない話。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:ayumi(ライティング・ゼミ平日コース)
最近の外出制限で、Nintendo Switchが爆発的な売上を記録しています。
2020年12月までの間に累計販売台数は7987万台を突破。
4年間で7594万台を売り上げたニンテンドー3DSと比べても、1.5倍近い驚異的なスピードです。
私は現在夫の仕事でベトナムに住んでいるのですが、ベトナムのゲームショップでもSwitchが売られており、多くの日本人が購入していると聞いています。
……ですが、私はゲームに対してあまり好意的な目を向けていませんでした。
別にゲームが嫌いなわけではないのですが、一度ハマると止められなくなる中毒性が苦手なのと、どうもゲーム自体が『与えられたステージをこなしていくだけの作業』に思えて、「もっと頭使うことに時間使った方が絶対良い」と漠然と思っていたのです。
何を偉そうに、と自分でも思うのですが、思ってしまうのだから仕方ありません。
なので、Switch発売以来夫からは幾度となく「Switch欲しいなぁ~~」と聞かされていたのですが、私は知らぬ存ぜぬを貫き通してきました。
ところが、そんな私に今月事件が起こりました。
旧正月を採用しているベトナムでは、2月に『テト』というお正月休みが10日間ほどあるのですが、今年のテトはコロナのせいで家に引きこもらなければならなくなってしまったのです。
在宅ワークをしている私は仕事をすることにしましたが、問題は夫です。完っ全にやることがありません。
そして、恐れていた事態が現実となりました。
「Switch買おうかなって思って!」
仕事中の夫から、電話でそう言われてしまったのです。
ついにこの時が来てしまったか……。私は覚悟を決めました。
「2人で楽しめるように桃鉄とかマリカーとかやろうね!」
私の複雑な心境を分かってか、私のテンションを上げようと必死な夫の言葉。
はいよーと返事をした夜、ゲームショップに寄って帰ってきた夫の両手には、Switch本体の他、ガッキーのCMでおなじみの『リングフィット』なるものなど、様々な付属品が。
「全部で10万円近くした!!」
10万円!?!? まじかよ!!
実はテト中にベトナム国内旅行へ行く予定だった私達。
コロナで旅行には行けなくなったけど、旅行代浮いたなーなんて思っていたのですが、Switchで一瞬にしてパーになりました。
『Switchよ、果たしてお前に10万円の価値があるのか私が品定めしてやる……』
勝手に心の中でSwitchに宣戦布告し、いよいよテトに突入しました。
私が在宅ワークをしている傍ら、夫がプレイするのは、『ドラゴンクエストビルダーズ』。
詳しいルールはよく分からないけど、どこかから壁の素材や土壌などを運んできて、自分の家やお城などを作るらしく、
「食堂ができた!」
とか
「国旗ができた!」
とか、嬉しそうに報告してくるのが日課となりました。
本人が楽しそうだから良いかー、と思いながらも、やっぱりというか案の定というか、すっかりSwitchにハマった夫は、朝6時や7時までドラクエをするようになってしまいます。
まあ、仕事も無いし、どこに行くわけでもないから好きなように過ごしたら良い。
…良いんだけど、そんな時間あるなら仕事の勉強もした方が良いんじゃないの?というか運動もしたら?…など、口には出さないけど『ゲームしてる時間があったら…』という思いが私の中にモヤモヤ~と溜まっていくのを感じていました。
そうして数日経ったある日の夜。
夫の後輩2人と一緒に、我が家でタコパをすることになりました。
そこで夫が提案したのが、みんなでSwitchで遊ぶこと。
特に夫が「絶対盛り上がる」とイチオシの桃鉄をやることになりました。
私は最後に桃鉄をやったのは20年以上前で、もうルールも覚えていません。
しかもゲーム自体にネガティブなイメージを持っていたので、正直あまり乗り気ではありませんでした。
ですが夫の後輩2人がいる前で盛り下げることはできません。とりあえず流れに任せてプレイすることにしました。
サイコロを振って一発目。6が出た私は青マスに進んで数千万円ゲットします。
「おお! 幸先良いなー!」と喜んでいたのも束の間、なんといきなり『スリの銀二』が登場。
全財産を持っていかれていきなり一文無しになってしまいました。
20年以上ぶりの桃鉄で一発目にスリの銀二に出会う。何という悲運でしょうか。
その後もなかなかゴールに近付けず、1年目ではビリになってしまいボンビーこと『貧乏神』に取り憑かれてしまいました。
ふざけんなよ桃鉄、全然おもしろくねー!と心の中で叫びながらも、旅は続きます。
貧乏神とは10ターン以上も一緒にいたので、神様がお金を恵んでくれました。
着々と貧乏神に不動産を売られながら、なんとか2年目は1位でゴール。ずっと一緒だった貧乏神とお別れすることができました。
ここから私の運は上向き始めます。
さっき神様が恵んでくれたお金と、1位でゴールした時にもらったお金を元手にじゃんじゃん不動産を増やし始めました。
着々と資産が増えていき、なんと3年目も1位でゴール。3年決戦が終わってみたら総合1位で終了していました。
いきなりスリの銀二に遭遇し、貧乏神に取り憑かれながらも1位になれる桃鉄。
私の中には「え……桃鉄おもしろいじゃん……」という気持ちが湧き始めていました。
もう一度3年決戦で勝負すると、今度は夫の貧乏神が『キングボンビー』に変身。
みんなでキャーキャー言いながら夫から逃げ回り、唯一“同僚”じゃない私もちゃっかり溶け込むことができました。
最後に『ボンバーマン』をやって解散した時に心に残っていたのは、幾千もの修羅場を共に潜り抜けたような達成感。
ゲームの“良さ”が確実に分かった気がしました。
そもそも、こんなに楽しいゲームをなぜ私は敬遠するようになったのだろう。ゲームを終えて、改めて考えてみました。
もちろん冒頭で述べたような中毒性や“創造性の無さ”みたいなのも理由の1つですが、今改めて考えてみると、ゲームをすると頭が悪くなるみたいな、漠然とした世論もあったように思います。
だけど、今回調べてみたら、ゲームの種類にはよっては思考力が高まったり、状況把握能力が高まったりすることもあるみたいです。
しかも私は勝手に創造性が無くなると思い込んでいたけど、なんと私が敬愛するお笑いレジェンド松本人志さんも、幼少期はゲームにハマり、大人の今でもスマホゲームをやっているそうではありませんか。
これでもう『創造性が無くなる説』は崩壊です。
たしかに中毒性は否めないけど、私が思うに、ゲームってビュッフェで並んでいるおかずの中の1つみたいなものな気がします。
他にも『読書』とか『スポーツ』とか色んなおかずが並んでいて、それぞれ栄養素も味も全然違うし、それを好きな人もバラバラ。
どれもおいしさが違うのだけど、同じのばっかり食べていると栄養が偏るからバランス良く食べたら良いっていう話なのかなって。
最近のゲームは栄養バランスもすごく改良されているみたいですけどね。
私も、夫のゲームに目くじら立てていないで、ビュッフェのおかずを増やして色んな味を一緒に楽しんでいけたら良いなって思います。
***
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