学歴社会の終わりを見せつけたニュース
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記事:北村夏紀(ライティング・ゼミ平日コース)
プロ棋士の藤井聡太さんが高校を自主退学したというニュースに驚いた方も多いのではないだろうか。
もちろん、スポーツ選手やアーティストなど、自分の道を究めたいと思った人がそれに専念するために高校や大学を中退するというのは珍しいことではないのかもしれない。
だが、今回は高校3年生の1月。あと2ヶ月で卒業というタイミングでの自主退学に、なんとか続ける方法はなかったのか、という声も多く耳にした。
私はというと、もちろん初めは驚いたが、すぐに「あぁ、やっぱりな」という妙な納得感を覚えた。
そして、ふと考える。もし娘が自分の夢のために高校をやめたいと言い出したら、心の底から応援することができるだろうかと。
申し遅れたが、私は0~3歳に特化した幼児教育の講師をしている。
0歳からの幼児教育というと、いわゆる「教育ママ」をターゲットにしていると思われがちだが、そうではないのが面白いところだと思っている。
「お勉強ができるようになる」ということを目標としていないのだ。幼児教育なのにどういうこと? と思われた方はぜひ読み進めてみてほしい。
30代前半の私は、「管理型教育」で育っている。
管理型教育とは、学校や先生など大人が決めたことを子どもに従わせる教育のことである。
「先生のいう事を聞く子がいい子、先生のいう事を聞けない子はダメな子」
「学校のテストができる子がいい子、学校の勉強をしない子はダメな子」
こういった評価を下すのが管理型教育の典型的な例である。
学校教育も変わってきているとはいっても、まだまだ管理型教育から抜け切れていないように感じる。
これを読んでいるほとんどの人が管理型教育を受けて育ったのではないかと思う。
管理型教育で育った親は、子どもにも「良かれと思って」管理型の教育をしてしまうことが多い。
「子どもにはいい教育を受けさせて、いい大学に行って、いい会社に入らせてあげたい」と考えがちだが、本当にそれが子どもの幸せにつながるのだろうか。
考えてみてほしい。AIが普及した現代で、テストの問題を解けることがどのくらい役に立つだろうか。
私は暗記科目が苦手だった。特に歴史は壊滅的。高校1年生の試験前数日間、世界史だけに集中して勉強した。今までにないくらい勉強したのに、赤点ギリギリ60点の答案が返された時に、高2の文理選択は絶対に理系にすると心に決めた。
幸いにも、理系へ進むことは私の夢に合致していたのだが、もしもっと違った夢を持っていたとしたら、暗記ができないという理由だけで夢をあきらめなければならなかったかもしれない。
これが管理型教育の恐ろしいところだと思っている。
そもそもAIが普及した今、いくら暗記をしてテストの点数がとれてもAIには勝てっこないのだ。
もちろんAIはまだまだ万能ではない。だからこそ、AIができないことに人間としての価値が発揮される。
AIにできないことのひとつが何か新しいことを生み出すことだと思う。
発想力、これは学校のテストで評価できるものではない。
ここまで読んでいただければ、私が講師をしている幼児教育でなぜ「お勉強ができること」を目的にしていないかはご理解いただけたのではないだろうか。
では何を教えているのか。それは「才能や個性の伸ばし方」である。
みんなが同じスピードで、同じレールの上を1列に歩くのが「学歴社会」、「管理型教育」だとすると、大樹のように縦横無尽に枝葉を伸ばし、空へ向かって大きくなっていくのが「才能や個性を伸ばす教育法」のイメージである。
今までは、才能を生かしていけるのは一部のトップアスリートやアーティストなどに限られていたが、これからは全ての人がそれぞれの個性や才能を生かしていく時代になる。学歴が優先される時代ではない。
学歴社会の終わり。今回の藤井聡太さんの高校中退のニュースは、それを大きく社会へ示すことになったのではないかと思う。
タイトルを獲得している藤井聡太棋士にとって、「高卒」という学歴さえ必要のないものだったのだろう。たとえあと2ヶ月でとれるものだとしても。
私はというと、2年ほど前から新しい視点を持った。「親」という視点だ。
このニュースを聞き、どうしても親の視点から見てしまう。母として、夢のために高校を辞めるという娘に、自分ならどんな声をかけよう。全力で応援してあげられるだろうか。
これだけ学歴社会の終わりについては語れるというのに、心の底から応援できる! と断言できないのが情けない。まだまだ心の準備はできていないという事に気付かされた一件であった。
それでも問題ない。娘が高校に入るまで、まだ14年もある。道のりは長い。それまでに私自身も成長していけばいいだけだ。
娘が自分の才能を生かして進みたいと思った道を、全力で応援できる母になれるよう、全力で成長していきたいと思う。
あなたは子どもの夢を全力で応援することができると自信をもって言えますか?
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