「円空仏を家族に迎えてみませんか」 仏像を彫ってみたいと思っているあなたへ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:黒木里美 (ライティング・ゼミ日曜日コース)
「いつか、仏像を彫ってみたい」
はじめてそう思ったのは、手塚治虫の『火の鳥』を読んだ中学生の頃のことでしょうか。
ところが、その後はこれといったきかっけもなく、あれよ、あれよと20年の月日が流れてしまいました。
先日、何気なくFacebookを見ていると、仏像づくりワークショップの広告がありました。ページを開けてみると、あらびっくり。
なんと、今週末に開催だと書いてあるではありませんか。
早速、ワークショップに申し込みをして、2月最後の日曜日、仏像を彫りにいってきました。
作った仏像は、「円空仏」といいます。
円空仏とは、「円空」というお坊さんが作った木彫りの仏像のことです。
会場には作務衣姿の先生と、テーブルに円空仏が飾ってありました。
合掌をした立ち姿、風にたなびく衣をまとい、にっこりと微笑む円空仏。
手に取れば、しっくりと馴染む大きさに、ぬくもりを感じる肌触り。
いい香りがするので、木材について尋ねると、樹齢200年の檜だと教えてくれました。
姿も然ることながら、樹齢200年の檜にもありがたみを感じずにはいられません。
「本当に私が彫っていいのだろうか?」
不安は募るばかりですが、作業はどんどん進んでいきます。
木材に下書きが終わると、いよいよ木材にノミを打ち込み、割っていきます。
「やばい、しょっぱなから失敗した!」
さっそく、木肌にデコボコの筋がたくさん入ってしまったのです。
マスクをしていてもわかる、しかめっ面だったのでしょう。
ところがすぐに寄ってきてくれた先生の目はニッコニコ。
「いいね、これがいいんだよ。みんな、デコボコの木肌になると、失敗したっていうんだけれど、そうじゃないの。ツルツルがいいと思うでしょう。でも、違う。ツルツルは人工的に作ることができるけれど、デコボコの筋は絶対に作れないからね。完成したら、いい風合いが出て、必ずよかったって思えるから、安心してね」
この時は、お客さんへのリップサービスかなと、先生の言葉に半信半疑な気持ちでした。
幸いなことに、もう一面は、スパンっと気持ちよく割れてツッルツル!
鉛筆で線を引くのも楽々、彫刻刀もすんなり入ります。
反対に、デコボコと筋の入った面には苦労させられました。
書きにくい、彫りにくい。
「仏像だから左右対称に作りたかったなぁ」
木肌を削る道具があれば、カンナか、サンドペーパーが欲しいと思うほどでした。
帽子と袈裟を彫り進め、いよいよクライマックスの「お顔」を彫る時間です。
作業を始めてから4時間が経過しました。
参加者6名全員が、水も飲まず、トイレにもいかず、ひたすら彫り続けました。
最後の力を振り絞り、全神経を集中させてお顔に彫刻を入れていきます。
「あっ、お母さんだ!」
完成した円空仏は、なんと母親の顔にそっくり!
初めて作った仏像が、私の創造主に似ているなんてと、思わず笑ってしまいました。
そして木肌ですが、先生が言っていた通り、デコボコの方が味わい深い色を醸し出していました。
手触りも断然こっち! といえるほど、デコボコが手にしっくりと馴染できました。
最後に参加者全員の円空仏を並べると、一人ひとり個性的なお顔と姿がだと改めて感心しました。
思い返せば、仏像を彫りにいかなかったのは、きっかけがなかったから、ではなかったのかもしれません。
仏像という神聖なものと向き合う自信がなかったのでしょう。
「私のような未熟者が仏像を彫っていいだろうか」
「仏壇もない家で、彫った仏像を大切にできるのだろうか」
仏像を彫り終わった今思うのは、「案ずるより産むがやすし」ということです。
ふとした瞬間に見てしまうほどの愛おしさ。
もう私の部屋になくてはならないと思えるほど、しっくりとしています。
私は、あらためて円空仏について調べてみることにしました。
江戸時代、円空は、旅をしながら仏像を彫り、貧しい人々に手渡していました。
病に掛かっても医者を呼べず、薬も買えない人々が、仏壇に飾ってある円空仏を床の中で握りしめ、回復を祈ったそうです。
人々の祈りの一番近くにいてくれた、仏像、それが円空仏だったのです。
もし私と同じように、仏像を彫りたいけれど迷っているという方には、ぜひ円空仏づくりおすすめです。
仏像だからと気負わなくても大丈夫。
心を込めてつくれば、きっとあなたの大切な家族になってくれますよ。
***
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