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大腸検査便乗型ファスティングのススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:北林美沙子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
この記事は、ちょっと揺れ気味なお腹や、ちょっとたるみ気味なあごを抱えつつも、おやつから逃れることのできない日々を送っているアナタに贈る記事である。
 
何を隠そう、私もそんな一人である。
パソコンに向かうと、ついうっかり甘いものをテーブル脇に置き、つまみながらの仕事が止まらない日々。健康の為にも痩せたい!と思ってるのになぜか止まらない頂き物のお菓子達。
いつかファスティングをやりたいが、子供も夫もいるのに自分だけ食べないなんてできない……
 
いつの頃からか、断食道場をネット検索しては、ここに行けば自動的にファスティングができるのでは…と想いを馳せたり、SNSで友人がファスティングした!と見ては、どうやってやったの?と問い合わせる程にファスティング熱は高まるものの、行動は一切しないありさまであった。
 
そんな私がファスティングに挑戦する日は突如訪れた。
 
それは、ある大腸検査の前日の夜。
大腸検査を受けたことがある方はお分かりだろうが、検査よりも事前の下剤祭りの方が数十倍も苦しい。ポカリスエットをドロドロにした生ぬるい液体を1リットルから2リットル飲み続けるという苦行が待っている。ポカリスエットと聞くとおいしそうに思われてしまうが、まぁそういう方は一度体験してみることをお勧めする。
 
あまりの苦行についうっかりおススメしたい大腸検査をディスってしまったが、まぁその苦行の最中に意識をこのドロドロの液体から逸らすために私は考えた。
胃も腸も空っぽにするというのは、私は今ファスティングと同じことをしているのではなかろうかと。
 
そして液体と格闘しながらネットで検索した。
「大腸検査 ファスティング」
 
すると情報が出てくる出てくる。
なんでも某医師によると「大腸検査をする為に事前に内臓を空っぽにすることは、ファスティング3日分に相当する」等と書いてあるではないか!
 
ファスティング3日分!!
この下剤を2時間ほど頑張るだけで、ファスティング3日分に相当するとは!!
 
ここら辺でテンションの上がってきた私は、今度は大腸検査からどのようにファスティングを続け、どのように終了させるのがいいのかを再びネットで検索しまくった。
下剤を飲み、ファスティングをググり、トイレに駆け込む。
エンドレスループに思われるこの工程の最中、私の脳内は「ファスティング3日分!」でいっぱいなのであった。
 
そして翌日の午前中。
無事に大腸検査が終わり、痔と共存していたことを医者から伝えられた私は、知らない間にいらっしゃった体内の仲間にこそばゆい気持ちになりながらも、意気揚々と本物のファスティングに突入した。
目指すはプラス1日食べない事。
 
その日の夜は毎週のお楽しみ「親子で実家に行き、家事育児全般を放棄するDAY」だった。実家にたどり着くと、強敵の香りが漂ってきた。
「今夜はお好み焼きだよ~!」
私は身構えた。濃厚なソースと鰹節の香り、そしてプリプリの牡蠣まで入っている豪華版だ。
しかし不思議なことに、全く「食べたい欲」が湧かず、いいにおいを楽しみながらもお水だけで過ごすことができた。
 
これはすごいことなのである。
いつも「食べたい欲」に負けている私がにおいを楽しむ余裕まであったなんて!
通常のファスティングでは、初日に「食べたい欲」と格闘する辛さについてしばしネット上の記事などで述べられているが、私の場合はその工程を下剤祭りですっ飛ばし、一気に3日分を進めたからか、全く辛くなかったのだ。
 
そして翌朝。
朝といえば低血圧。
朝といえば目覚ましのスヌーズ機能が怒りだしそうなくらい何度も止めては寝続ける。
朝といえばベッドから降りてリビングの絨毯に倒れこむのが定番。
そんな私が、目覚ましが鳴る前にシャキーンと起き上がり、子供たちの為にサラダとメインとフルーツまでつけたリッチな朝ご飯を作り、なおかつ掃除までルンルンと始めたのだ。
 
体が軽い。
体重の軽さというよりは、細胞が軽いのだ。
食べていないのに。いや、食べていないからか。
さらに、体が軽い事で心も軽くなり、どんな問題も「なんくるないさ~」な気持ちで過ごせてしまったのだ。子供たちもびっくりの1日ずっと笑顔なお母ちゃん。迷いがないので仕事もビシバシ進む。何だこの無敵感は!!
そしてそのまま私の軽やかな一日は進み、夕飯からおかゆを食べ始めたのだったが、この軽やかさはこのまま数日続いたのだった。
 
結局体重は2キロ減り、またすぐに1キロ戻った。
が、なんといっても大きな魅力は、指示されるがままに胃と腸を空っぽにすれば、その後にやってくる細胞の軽さを体験できることだ。
起こる現象全てがポジティブに見え、何でもどんとこいの無敵な一日を過ごすことができるのだ。
 
また味わいたい。
しかしながら空腹に耐えるプロセスは私には乗り越えられそうにもない。そうだ、やはり大腸検査便乗型しかない。単細胞な私は、すっかりあの苦行を忘れ、また2年後の大腸検査の際にはプラス3日ぐらいやりたいものだ、なんて計画を立てている。
 
人生も折り返し地点に差し掛かってくると、体にガタがやってくる。
大腸検査でしっかり自分の体をチェックしながら便乗してファスティングをし、細胞を生き返らせてみるというのはどうだろうか?
 
 
 
 
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2021-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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