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「少しずつ慣れていけばいいよ」の罪


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記事:櫻井和博(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「少しずつ慣れていけばいいよ」
「分からないことがあったら何でも聞いて」
 
新入社員教育の定型文だ。これらの定型文が新入社員をだめにしていく。新入社員を安心させようとしているのかもしれない。でもそれは、「良い先輩、良い会社でよかった」と思わせたいだけではないだろうか? 「会社に行きたくない」とか、「俺の先輩(会社)、最悪」などと、同期との間で言われないようにとか、教育担当である、あなた自身のための言葉になっていないだろうか?
 
わたしは、36歳の会社員だ。後輩として教育され、また、先輩として後輩を教育した経験がある。わたしが初めて教育を担当した後輩は伸び悩み、部署移動した。その後輩は、新たな教育担当のもと、ポテンシャルを開花させ、結果を出し、見違えるように成長した。
 
わたしが勘違いしていたこと。それは、「必ず結果を出す」と決意していなかったことだ。当時、研究開発の部署に所属しており、「イノベーションの成功確率は1000分の3」とか、ユニクロの柳井さんの「一勝九敗」などと言った言葉を、「失敗してもいいから挑戦しよう」とゆるく解釈していた。「失敗してもいいから成功しよう」には、「成功するまで」が抜けているのだ。正しくは、「失敗してもいいから『成功するまで』挑戦しよう」だったのだ。成功するまで挑戦する覚悟、決意がベースにある。1000分の0、零勝十敗ではだめなのだ。
 
わたしたちは、そんなに多くの回数を失敗しても挑戦を続けられるほど、強くない。
「失敗ではない。うまく行かない方法を一万通り発見しただけだ」
そう思うことができたから、エジソンは偉業を成し遂げた。でもわたしたちはエジソンではない。やる気のあるうちに、さっさと結果を出さなければ、挑戦することをやまてしまう。何をやってもうまく行かない。そんな状況では、どうせ行動してもムダ、と考えてしまうようになる。これを「学習性無力感」というそうだ。
 
新入社員は、「学習性無力感」を持った状態で配属されることはない。信頼関係よりも大事なのは「学習性無力感」を発動させないことだ。わたしが過去失敗したように、「少しずつ慣れていけばいいよ」などと、口がさけても言わないほうがいい。「分からないことがあったら何でも聞いて」などと言ってはいけない。そんなことはあたりまえだ。大人なのだから。分からないことは調べて、仮説を立てて、検証するのはあたりまえだ。大人なのだから。
 
努力すれば成し遂げられる結果と、その結果を生み出すための行動を指示し、その行動をやりきらせる。言われたとおりに行動したら結果が出た。結果が出れば仕事は面白くなり、自分の頭を使ってプラスアルファの行動を提案し、認められ、実行し、より大きな結果を出す。結果が先、成長は後だ。
 
わたしは、初めての後輩を任されたとき、うまくいかなかった。その経験から、たくさんの本を読み、考えの甘さ、勘違いに気づき、上辺をなぞるような、どこかで聞いたことのあるような考え方を改め、自分の発する言葉を変えた。そしていま、70人の新入社員をまえに、教育講師を任されている。「少しずつ慣れていけばいいよ」などと言うつもりはない。
 
「やり方がわかりません」「スキルがないからできません」「セミナーを受けたい」「勉強になりました」という言葉はすべてNGワードだと思っている。ここは会社だ。勉強をするところではない。一人前になるまで教育はするが、その教育は投資であって、教育を受けた分は結果で返さなければならない。結果を出せば、知識、知恵、自信は後からついてくる。「必ず結果をだす」という決意がないと、恥ずかしげもなく、「結果を出すことはできませんでしたが、勉強になりました」などと言うようになる。
 
新入社員は各自の職場に配属された後、上司から「失敗してもいいから挑戦しよう」と言われるかもしれない。この言葉は、上司から部下に使う言葉であって、部下から上司に使う言葉ではない。「失敗するかもしれませんが、挑戦させてください」そんな部下が結果を出せるわけがない。
 
採用は、結婚と同じと聞いたことがある。だとすれば、新入社員教育とはなんなのだろう?
会社の歴史に裏付けされた、共通に知識、こうすればうまくいくというノウハウを、効率よく共有するシステムだ。信頼などは関係なく、ともに生活する仲間、ともに戦うことのできる戦力になるために、高速で済ませるものなのだ。最小限の投資で最大限の利益を得る、その状態を継続するのがビジネスだ。
 
「少しずつ慣れていけばいいよ」
この言葉は罪だ。勉強は学生時代でもう終わり。ここは生き残りをかけた戦場だ。そんな思いをもって、新入社員の前に立つつもりだ。
 
みなさんは、どんな言葉で新入社員を迎え入れますか?
 
 
 
 
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2021-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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