スポーツの力
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:モハメド・アリ(ライティング・ゼミ 平日コース)
2021年4月12日AM6:30 twitterのトレンドトップの「歴史的瞬間」のコメントが事の大きさを物語る。
「がんばれ、日本人の誇り!」
「テレビの前の皆さんの心拍数と血圧が心配になる」
「洗濯機終わったけど、干せない。早くCMにならないかな」
「松山英樹を産んだことにしたい」
僕も、みんなと同じ気持ちだ。
妻が「朝ご飯出来たよ」と声を掛けてきたが、応える余裕もない。
そう、ゴルフの世界一を決める大会の「マスターズ」で松山英樹プロが日本人初、いやアジア人で初めて優勝したのだ。
そして、マスターズ優勝者の証しである「グリーンジャケット」が松山英樹プロに手渡されるのである。
ええええええ!?!?
サイズ、ピッタリじゃない??
優勝者のほとんどが欧米人なのに松山英樹が優勝するのを予測していたみたいじゃんと心の中でツッコんでしまった。
この事をマスターズ日本人最高の4位の片山晋呉氏に聞くと、優勝圏内に近づいてくるとジャケットのサイズを聞かれるそうだ。
このような気配りも「マスターズ」の素晴らしいところか。
朝起きて、ニュースだけを見て知った方には「松山英樹、マスターズ日本人初優勝」とだけ思われそうだが、3:40から見ている僕からしたらナガシマスパーランドの世界最大のジェットコースターを5回ぐらい乗った後のような疲れが残っている。
何度、あの最高部約100メートルから真下に落ちるような感覚に陥った事か。
そして、いよいよ優勝が間違いがないという心地良い風が感じられる所までやって来て、日本人記者も米国人記者に、まだ試合が終わっていないのに「congratulation!」と言われるようになってきたのである。
しかし、このマスターズには魔物がいると囁かれているのだ。
ジェットコースター4周が終わり到着し、安全バーが外れ掛けたその時だった!!
また急発進を始め約100メートルの頂上へと向かっていくのだ。
何なら安全バーも少し緩んでいる状態だ。
もう僕が出来る事は「祈る」のみだ。
しかし、松山選手にはその苦境を乗り越えられる強い思いがあったのだ。
東日本大震災での東北への恩返しだ。
10年前、東北福祉大学1回生だった松山の大学も甚大な被害を受けたのだ。
松山は約1ヶ月後に行われるマスターズに初出場の予定だった。
自身も避難所での生活だったので出場は諦めていたそうだが、出場を後押ししてくれたのが大学のメンバーや東北の方々だったのだ。
色々な方々の支えによって初出場したマスターズはプロではなく、
まだアマチュアだったが、そのマスターズでアマチュアでのトップ成績を示す「ローアマチュア」獲得の快挙を遂げたのだ。
それから約10年後の2021年4月12日、日本人初のマスターズ優勝という大快挙を成し遂げたのだ。
松山の言葉には被災地に向けて感謝のメッセージがあった。
「10年前、ここに来させてもらって、自分が変わることができたと思っている。10年というのは早いのか遅いのかわからないが、そのとき背中を押してくれた人たちに良い報告ができたのは良かったと思います」とコメントを残した。
この一週間、改めてスポーツが持っている力を感じた方も多かったのではないだろうか。
ちょうど一週間前、野球の最高峰であるメジャーリーグにて日本人では当然初めてでメジャーリーグの長きに渡る歴史でも118年ぶりに「2番投手」として出場した。
出場するだけではない。
打っては1打席目の1球目を特大のホームラン、投げては160KMを連発する素晴らしいパフォーマンスだ。
そして一昨日、最も感動をもたらしてくれたのは池江璃花子だろう。
白血病発症からわずか2年での出来事だ。
白血病発症後の彼女の痩せ細った体をみて、病気の恐ろしさを感じた方も多くいた事だろう。
そんな彼女が全種目で優勝し東京五輪の切符を掴んだ。
優勝後のインタビューでの言葉がストレートで心に響いた。
「ただいまという気持ちでこのレースに入場してきた。自分がすごくつらくて、しんどくても努力は‘必ず’報われると思った」
僕自身、コロナを患い苦しみ、13年務めた会社を辞め、でも自分に必要な経験だと言い聞かせ、でも不安になり、1歩進んで2歩下がる事を繰り替えしていたので、かなりの勇気をもらった。
正直、この出来事が起こるまでは東京五輪への興味が薄れていたが(薄れていたというよりやってほしい発信が非常にしにくい世の中だった)スポーツの持つチカラを改めて知った今は違う。
この一年、色々な人が疲弊して、ねじれガチの世の中だったが、この一週間は何か違う。
東京五輪で、多くの人の笑顔が見たい。
「日出づる国」日本。
夜が明けて、未来を感じさせる美しい朝日のように。
***
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