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行き詰ったとき


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:古田綾子(ライディング・ゼミ平日コース)
 
 
全然いいアイデアが浮かばない。さっきからずっと考えているけど、同じところをぐるぐる回っているだけでちっとも進まない。とりとめのない考えで頭がいっぱいだ。そろそろアレの頃合いかもしれない。
 
私は椅子から立ち上がり、コードレス掃除機のスイッチを入れた。
 
掃除機をかけながら部屋中を歩き、脱ぎっぱなしの服をたたんでしまう。ずれているカーペットを直して、机の上に置いてあった空のコップを流しに持って行く。
 
こうやって部屋を片付けていると、頭の中も整理されてくるから不思議だ。
 
この方法を知ったのは、中学2年生の男の子の家庭教師をしていたとき。
いろいろな教え方も試したし、すごくまじめな子だったけど成績は横ばいだった。
 
そんなとき、東大生の書いた勉強法の本に「部屋が片付いていない人は頭の中も整理されていない」と書かれていた。
 
言われてみれば、部屋がぐちゃぐちゃだからという理由でその子の授業はいつも客間だった。物は試しと、翌週から自分の部屋でやることを提案。
これが本当にうまくいった。3年の秋には志望校の推薦がもらえる成績になった。
 
もちろん、彼がそれまで努力してきたことが、たまたまこの時期に成果となって表れただけかもしれない。本人も志望校に行きたがっていたし、まじめに勉強に取り組んでいたからだ。
 
それでも、テストの成績を上げるには、覚えた情報をうまく取り出すことが大事だ。そのためには、どこにその記憶をしまったのかを把握していないといけない。部屋を片付けながら自分で物を分類して置く場所を決めたことが、頭の中を整理するヒントになったのかもしれないと思う。
 
その姿を目の当たりにした私。彼を実験台にしたようで申し訳ないが、考えがまとまらないときには、頭の中を整理するために部屋を片付けることにしている。
 
とはいえ、休憩のたびに片付けるところがあるほど、広い家に住んでいるわけではない。片付けは最後の手段として取っておく。
 
まずは、タイマーを25分にセットして仕事にとりかかり、鳴ったら5分休憩するというサイクルで集中力を維持する。これを2回繰り返したら、一度椅子から立ち上がる。このとき、特に用事がなくても必ず立ち上がることにしている。そうしないと文字通り痛い目にあうからだ。
 
以前、仕事に追われ、毎日10時間以上ほぼ座りっぱなしで作業を続けていたことがある。ある日、立ち上がると右のふくらはぎがつって激痛が走るようになった。足のつりを防ぐカルシウムやマグネシウムを補給したけど痛みは治まらず、3日目の夜、ふくらはぎが1.5倍に腫れた。
ネットで検索すると、可能性があるのはエコノミー症候群。血栓ができていて最悪死んでしまうかもしれないとある。翌日、慌てて整形外科に行った。
 
「ここ数日、1日10時間以上座りっぱなしで仕事をしています」という私の説明を聞いた医師はすぐに、「ああ、それは腰から来ていますね。腰の血行が悪いだけです」と言った。治療も薬も不要。渡されたのは、自宅でできるセルフストレッチのパンフレットだけだった。
 
命にかかわる事態だと思って病院に行き、激痛に足を引きずりながら診察室に入った自分が恥ずかしかった。あんな思いは二度としたくない。以来、こまめに立ち上がることにしている。
そうすれば、リフレッシュできるし、集中力も戻ってくる。
 
それでも頭が回らなくなったら、いよいよ掃除の出番。
部屋中を歩きながら、片付けに集中する。
最初は、「まったくもう。花粉が入らないように、この時期は窓も開けてないのに、よくこんなにホコリがたまるなあ」とか思っているんだけど、いつの間にか考えるともなくいろいろ考えている。そのうちに、自分が今やっている片付けと頭の中の整理整頓がリンクし始める。すると頭が回り出し、別の視点で考えてみようとか、そもそもの目的は何だったのかもう一度洗い直してみようとか、いろいろなアイデアが浮かんでくる。
 
百発百中で成功するわけじゃないけど、部屋が片付いて困ることはないので、いい方法だと思う。
 
Apple創設者のスティーブ・ジョブズ氏は、何か重要な話をするときや考えをまとめるときに、とにかく公園や道路など、あちこちをよく散歩していたという。やはり、考えをまとめるには、歩くのが効果的なのだろう。
 
そして、欲張りな私はさらに、歩くだけではもったいないと片付けをプラスする。
片付けながら頭の中も整理し、歩きながら思考を進めるのだ。
 
 
 
 
***

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2021-04-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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