自分の「人生を変えたくて」もう一度、その扉を開けようと思った
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:まるこめ(ライティング・ゼミ超通信コース)
思えばずっと、他人の顔色を伺ってばかりの人生だった。
10人いたら、10人全てに好かれていないと不安で仕方がなかった。1人でも、私のことを悪く言っている人がいようものなら、夜は不安で眠れないなんてことは日常茶飯事だった。
だから、少しでも嫌われないよう「万人受け」できる人間になれるように努めていた。
勉強はそこそこできるくらいには維持していたし、どんなジャンルでも浅く知識だけは入れるようにアンテナを広げていた。大人になってからもそれは変わらなくて、営業の仕事をしていた時は「日常会話」には困らなかったことだけは良かったなぁと今でも思う。
ただ、そんな「他人のため」の人生を数十年生きてくると、弊害が生まれてきた。
「あ……ごめん、全然大丈夫なんだけど……なんかごめん」
自分の感情を「言葉」に変換するのに、とても時間がかかるようになってしまった。
時間がかかるだけなら、まだ良い方だった。吐き出そうとする思いが強ければ強いほど、自分がそう願ってなくても、まるでゲリラ豪雨のように、大粒の涙が私の頬を駆け落ちていった。
「どうありたい」「どうしたい」と口に出す前に、シャッターがすぐに下りてしまう。
「こんなことを言ったら、この人はどう感じてしまうんだろう」
そんなことが、頭の中をぐるぐると駆け巡ってしまって、脳から口に戻る頃にはいつしか「当たり障りない模範解答」が規則正しく吐き出されるだけだった。
そんな生き方が私を蝕むのは、まるで小さなコップに水が溜まり、溢れていくように至極当然のことだった。それは結婚しても、子供を産んでもなにも変わらなかった。
外では一生懸命「できる人間」でありたいと願っていたけど、中の人は絶望するほど「不器用」で、小さなコップの水が溢れては「だから、どうしてほしいの!?」と怒られた。怒鳴り声を聞けば聞くほど、想いを伝えようとすればするほど、声はどんどん出なくなり
「もういい……」
と、口からどうにか絞り出すことがようやくできる程度だった。
そんな時に、偶然「人生を変える書店」に目が止まった。
お店のスタッフさんや、ライティングゼミを受講しているお客様が書く「記事」を片っ端から読んでいるうちに、私の中でふつふつと「これだ!」と根拠のない確信が湧いてきたのだ。
「口に出せないなら、書けばいいんだ」
ライティングゼミを受講するのは、敷かれたレールの上を走るくらいにあっさりと始まった。ただ「書く」ことは、口に出すことよりもとても難しかった。自分の強い感情を「言葉」に変換するだけで、蛇口を捻って水を出すように涙を出す私にとっては、思いを「カタチ」にすることは、まるで人前で着ている服を一枚、一枚脱いでいくのとなんら変わらなかったからだ。自分の裸をまじまじと見つめていくのはとても辛かった。
「うわ……私って」
こんなに卑しい人間なんだと、何度も思い知らされた。
常に誰かに認めて欲しくて、愛されていたくて……いい歳したアラサーなのに、これじゃただの「メンヘラ」じゃないかと、自分自身に引いた。
文章を書き始めて程なくして、三十路を過ぎた。
ちょうど、その辺りからだろうか。自分自身の生き方に疑問を抱くようになった。
「ライティング」を始めてから、自分の正直な気持ちを世間の目に「形に残る」状態で曝け出すようになってから、見える景色がどんどん変わっていった。
「あれね、私もすごいよくわかるわ」
素っ裸の自分を晒しても、思った以上に嫌われるどころか、むしろ晒したことで共感してくれたり、理解してくれる人が増えた。ああ、私ずっと1人で勝手に思い込んで、空回りして、首を締め続けていたんだ……って気づいたら、10人いても別に10人に嫌われてもいいや、って思うようになった。私、この人たちのために生きているんじゃない。自分のために生きてるんだから。
そこから、私の人生は一気に流れが変わった。
結局、2年近く「ライティングゼミ」からは離れることになったけれど「人生を変える書店」に出会って「自分の人生をより良いものに変えたい」と願った私の人生は、だいぶ変わってしまった。「天狼院書店」の扉を開けるときに、自分が数年後に離婚する人生なんて想像してなかったし、シングルマザーになっても元気にバリバリ仕事しながら生きてるなんて全く考えられなかった。昔の私だったら、周りの目が気になって仕方がなくて、きっとどんな選択をしたとしても、どこかで疲れきっていたと思う。
最近、ようやく仕事と育児のバランスが上手く取れてきた時に
「そろそろ、書くこと再開しませんか?」
と、ライティングゼミを一緒に同期受講していた名古屋天狼院の松下さんから連絡が来て
「あ……書きたい」
以前は、誰かに認めて欲しくて文章を書いていた。
今度は「自分のため」に思いを「言葉」にできるようになりたい。
私は「私の人生を変える」ために、もう一度「天狼院書店」の扉を開いた。
扉の向こうの人生はどんな世界が広がっているか、これから楽しみで仕方ない。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
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