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それは旅の福袋


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:桐生 譲(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
いま、春と夏と冬が待ち遠しい。
 
大好きな秋があれば四季が揃うのだが、その青春18きっぷは、春と夏と冬のそれぞれ1~2ヶ月の限られた期間に販売される。
 
青春18きっぷとは、JRの鈍行電車が5日間乗り放題なのに12,050円で買えるというスグレモノだ。5人で1日使ったり、2人で2日、残りを1人で1日という使い方もできる。
実際、5日間で東北の夏の4大祭り(花笠、竿灯、ねぶた、そして七夕)を巡ったり、その次の年の夏には九州の長崎まで行って帰ってきたこともあった。
 
今の会社に移る2年前以前は、収入もそこそこあって、子どもが小さかった頃は、新幹線で温泉ホテルなど家族旅行が夏のお約束だったが、受験やクラブ活動など、いつしか親離れしてからは、一人旅で日常からのしばしの解放を味わせていただいている。パスポートは一応更新しているが、もっぱら国内旅行派だ。
 
北は札幌、南は、沖縄、奄美大島、屋久島など、一眼カメラと一緒に、旅の魅力は一言では語りつくせない。
 
グーグルマップを眺めながら旅行サイトに思いを馳せ、俄かにマイブームとなったのが、その18きっぷである。マスクで空気のおいしさを感じられない日常にあって、高原や鄙びた温泉町で思い切り深呼吸をしたい欲はいや増すばかりである。
 
最近のそのきっぷを使った楽しみ方は、まず、はっきりと行き先を決めない、泊まるところも大体その日の目的地が見えてきたところで、車中からスマホで予約をする、が基本である。素泊まり2、3千円のドミトリーを中心に、最終日近く疲れがたまったあたりで、アパホテルに4千円の贅沢をしたりする。
 
家族旅行の時代は、ホテルの豪華な大浴場やバイキング料理が定番だったが、一人旅ではその地を歩き回って楽しみ、宿それ自体は目的ではない。お風呂は、日帰り温泉やサウナとかを自由に選べばいいし、食事こそ各種居酒屋よりどりみどりだ。
 
もっとも、その夕飯に関しては、新たなマイトレンドが定着しつつある。
 
歩き回って宿に着くのは、大体20時とか22時で、チェックインして荷物を置いたら、ご当地のスーパーに繰り出す。先月の福島では、イトーヨーカドーの閉店1時間前で、お刺身や総菜がほぼみんな半額だった。居酒屋の刺身盛り合わせの3人分が1人分以下の出費で楽しめるのだ。コロナ禍にあっては、お店で人と話が盛り上がることもなく、であれば、好きなお酒を買ってTVを見ながら部屋でゆったりとその日の疲れを癒すのがいい。程よく酔いが回ったら、夜風にあたって銭湯に行くもよし、宿のシャワーで時間を節約するのもいい。
 
ああ、18きっぷ万歳!
 
ちょっと待って。
 
何かまだ魅力を語り尽くせていない気がする。
 
ただ安く目的地に行くのなら、夜行バスだってあるではないか。
 
ぼんやり車窓から田圃を眺めて、小学生の頃を思い出していた。
両親は共働きだったので、学校から帰るとおばあちゃんが待っていた。
その日の新聞に折り込まれていたスーパーのチラシを並べて、何かメモをしてからボクに聞いた。
 
「買い物に行くかい?」
「うん」
 
歩いて20分くらいのスーパー、たまに弟も加わって、夕方の買い物は楽しかった。
あの時、オダキューOXとユニーが駐車場を挟んで隣接していて、おばあちゃんは、チラシを入念に調べて1円でも安い食材をその両店から買いそろえた。そして、お一人3パックでの玉子などはボクの存在意義が発揮される。おばあちゃんと別のレジに並んで手渡された5百円札で3パック、ゲットするのだ。安さへのこだわりはハンパない。100円差があったら隣駅のスーパーにさえ向かった。そうして、その日は玉子6パック、出費はトータルで30円ほどオトクに、豊かな気分で夕飯を囲んだ。
 
時間を掛けてでも、その1円に幸福感、達成感があった。
 
三つ子の魂百まで。これなのだ!
 
18きっぷは延べ5日分なので、1人1日では2,410円の計算になる。
 
因みに、東京駅から那須塩原まで片道大人2,640円。
先月、姫路から池袋まで、途中、浜名で下車して餃子を食べて、熱海で温泉に入って帰ったが、姫路から池袋までの大人の鈍行運賃は、10,010円。10,010-2,410=7,600円元を取った上に3倍近く追加で得をしたのだ。途中下車したのでそれ以上になる。
 
日帰りで考えると、往復2,410円の半分、1,205円が損益分岐点となる。東京から平塚までは1,170円だが、小田原まで行けば1,520円だ。かまぼこを1枚奮発してリッチな気分を味わうのもいいだろう。
 
この商品は、買った時点では、素敵な出会いが待っているのか、荷物の置き忘れや乗り遅れといったトラブルが混ざっているのかわからないけれども、乗れば乗るほどオトクが増える、旅の福袋なのだ。
 
しかも、普通福袋は正月3が日あたりの初売りが定番だが、この福袋は、春と夏と冬の年3回販売される。
 
福袋といっても、家電、婦人服、高級時計・・・・・・、好みは人それぞれ。でも、この福袋は、健康で元気で旅が好きなら、すごくお勧めだ。12,050円が、5万円にも6万円にも価値がその人次第で後から増えるのである。しかも想い出と一緒に。
 
なんて次回は、島根の「ベタ踏み坂」や、和歌山の「天神崎のウユニ塩湖」などを候補にしつつ、ああ、夏が待ち遠しい。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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