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ナノニトダカラの予言


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:佐藤 みー作(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
Facebookの投稿に友人から新刊の書のおすすめが届く。
運動神経が「良い」「悪い」は遺伝なのかどうかを扱っていた。
書籍の帯を書くのを立候補したいくらい共感した!
「遺伝だけで、運動神経は決まらない」
 
思えば私は運動神経の悪い子だった。
 
正確に言うと、「そう」思わされていた。
中学の体育のM先生に出会うまで。
 
4つ上の姉は運動神経が抜群に良かった。
運動会では常にヒロインだった。
かけっこが1等賞なのは当たり前で、常にリレーの選手に選ばれて、誰よりも晴れやかにゴールテープを切りまくっていた。
かけっこだけじゃなかった。
水泳も得意だったし、球技も得意だった。
やがて、彼女は誰もが想像した通り、体育大を卒業し、その有り余る身体能力を生かし、50歳を過ぎた今でもトライアスロンをやり続け、海外の大会に出たりしている。
 
それに比べて、私の方はといえば、運動会が近づくとお腹が痛くなるような子だった。
本人は真剣に誰よりも早く走っているつもりだったかけっこは、かろうじてビリを逃れているような子だった。
母は心配して、近所の公園でかけっこの練習をさせたが、早くなることはなかった。
当然、リレーに選ばれることなんて皆無だった。
水泳だけ人様より若干早く泳げるのが幸いだった。
 
そう、よく言われたものだ。
「Aちゃんの妹なのに……」
 
「わたしは運動神経が悪いんだ」そう信じて、疑わなかった。
自分も、周囲も。
 
ところが、である。
中学に入ると、仲良しのグループができた。
どういうわけで仲良しになったか思い出せないのだが、仲良しグループ5人組の中で2人はバスケット部でエースだった。
お昼休みになると背の高い彼女達に引きずられるように、体育館に連れていかれ、毎日のようにバスケットに突き合わされていた。
吹奏楽部なのに……
 
そんな中、体育でバスケットの授業が始まった。
ゲームをやってみると、意外とシュートが入る。
パスもちゃんと受けられるし、渡すこともできる。
シュートが入ると嬉しくなって、バスケットが無性に楽しくなった。
「あれ? 私、バスケット上手いんじゃない?」そんな風に勘違いし始めた頃だったであろうか。
体育のM先生に「佐藤は、運動神経悪くないんだよ?」と言われた。
 
M先生に、運動神経が悪いことを相談したこともなかったのに、突然そんなことを言われてびっくりした。
M先生は、私が運動にコンプレックスを持っていることを見抜いていた。
でも、それは思い込みで、ちゃんとコツをつかめば運動はできるというようなことを言ってくれた。
 
思えば、友人達に引きずられて、毎日のようにバスケットを練習していたのだった。
背が高く、難なくシュートを決めてしまう彼女達とバスケットをやっているうちに、いつの間にかゴールポストのどの辺にボールを当てるとシュートが決まるか、見当がつくようになっていた。
どの辺まで先回りしていれば、パスを受けられるかとかなんとなくわかるようになっていた。
 
先生のこの一言は、シンデレラに出てくる魔法使いのキラキラした魔法の粉のように私に振りかかり、見事に運動神経コンプレックスを消し去ってくれた。
それからというものの、運動が苦手ではなくなっていった。
あんなに大嫌いだったかけっこも、みんなより遅れてしまうのは、スタートする時に、勢いをつけようと思って、微妙に体を後ろに引いていたことが原因だとわかった。
この変な癖をみつけたのもM先生だった。
変な癖を直したら、むしろ普通より早く走れるぐらいになった。
 
初めて体育の成績が5段階中4になった時、母は言った。
「お姉ちゃんの妹なんだから、当たり前よ」
 
そんな母の期待を裏切ることなく、かつ誰にも期待されていないにも関わらず、その後は運動にはまり、大学生になると冬にはスキーのインストラクターのバイトをするまでに成長した。
母は、「お嬢さん、大学は何学部なの?」と聞かれると、ついうっかり「あ、スキー部です」と回答するまでになった。
法学部だったのに……
 
それからしばらく時は流れ、子供ができた。
息子が通う保育園の園長先生がある日何気なく言った。
「H君(私の子)は、おしゃべりが上手だから、多分脚は遅いわよ」
保育園の先生歴30年を超える園長先生の経験上、おしゃべりが早い子は脚が遅いのだそうだ。
 
頭ではわかっていた。
そんな予言がいかにいい加減なものか。
何よりも私は実体験として知っている。
 
それでも不安になった。
確かに、周りの子が歩き始めている頃に、息子は歩き始める気配もなかった。
むしろ歩くことに興味がないようにさえ見えた。
 
半年違いで先に生まれた姉の子は、やはり遺伝なのか、猿の子のように飛び回っていた。
2人で遊んでいると、「運動神経が悪いのでは?」疑惑は顕著になり、息子はよく、おもちゃを奪われ、泣いていた。
 
ところが、おもちゃを奪われるのが、よっぽど悔しかったのか、ある日、息子は飛び掛かるように甥っ子からおもちゃを奪った。
その成功体験が、息子の運動神経に火をつけた。
 
それからというものの、息子は猿の子に変身した。
飛び回り、駆け回り、数々のケガをした。
ついでによくしゃべるので、保育園の先生泣かせになった。
 
やがて、小学生になると、運動会が始まった。
1年生の時、リレーの選手に選ばれて帰ってきた時に、旦那側の遺伝を無視して確信した。
「うちの子は、私の子だから、そして、なのに、運動神経が良いのだ!」
 
とある研究によると、運動神経は遺伝50%、環境50%で能力が発揮されるらしい。
だから、今、預言に呪われている人がいたら、M先生のように魔法の粉をかけてあげだいと心から思う。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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