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ムスメに生理ちゃんがやってきた!


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記事:山本和輝(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
父親ながら、小学生の娘に性教育をしようというのはオカシイだろうか?
約1年半前のことだ。私は、いろいろ悩んだ挙句、娘の9歳の誕生日にそれを実行した。 日本で子どもにまっとうな性教育をする親はそれほど多くない。
学校でも、生理や妊娠など、動物の生殖のようにそれを教えることはあっても、 恋や愛や命など、人の一生の大事な一部分として教えることはまずない。
なぜかタブーのままになっているのだ。
自分の体の大切な一部分、命を育むために必要なことなのに、その意味を教えないとは何事だ! セックスは本来、みだらなものや不潔なものでは無いのに、正しい情報を一切伝えないとは!
私はムスメに、おっぱいも性器も生理もけっして恥ずかしいものでは無いということをしっかり教えたかった。
そして、12月の誕生日のその日、用意した児童向けの性教育の絵本を読みながら、 ムスメが生まれるまでの事、生まれてきてどれだけ嬉しかったのかなど、 ゆっくり時間をかけて話をしたのだ。
 
それから1年が経ち、ムスメの身長は10㎝近く伸び、胸も膨らんできた。
そんな様子を見てか、妻も何か思うところがあったらしく、12月のある日、1冊の本を買ってきた。
 
「生理ちゃん」というマンガ本だ。
 
私とは、まったく違うアプローチをする妻。
ゲーマーでマンガ好きの彼女らしいとは言えるのだが、私の脳裏に浮かんだ言葉はこうだった。
 
「おい、マジかよ……」
 
生理ちゃんは、4年ほど前に流行ったマンガで、女性の生理を擬人化した「生理ちゃん」というキャラクターが登場するものだ。その登場シーンはこんな感じだ。
 
ある女性の家のチャイムがピンポーンと鳴る。
「はーい、誰かしら?」
玄関のドアが開いて声がする。
「どーも、生理です」
そこには、ハート型のボディに短い手足、無表情なパッチリおめめと、分厚い唇。鼻はなぜか白十字という姿の謎のキャラクターが。
女性は思わずこう言う。
「せ、生理ちゃん…… もう一カ月たったの?」
それからしばし世間話をしたあと「生理ちゃん」は女性に一言。
「じゃあ、そろそろいつものを…,,」
女性は叫ぶ!
「きゃー、まってタンマ!」
そして、生理ちゃんは女性の腹部を「ドゴッ!」「バキッ!」と殴る、蹴る。
さらに、バカでかい注射器で血液を吸い取って、女性はもうろうとする……
 
女性ならではの生理あるあるを擬人化した傑作で、ネットでも結構話題になった。大人なら笑って済ませられるのだが、子どもに見せるのはちょっとどうかと思ってしまう。
 
そんな私の心配をよそに、ムスメは大好きなマンガということもあり、妻と一緒に「生理ちゃん」読みだした。
 
意味はよくわからなくても、何か変なキャラクターが暴れたり、毒を吐いたりするお話は、 子供向けのギャグ漫画のように思えたのかも知れない。ムスメは結構すんなり受け入れていた。
 
でも、私はやはり心配でしょうがなかった。
だって、生理=痛い、つらい的な表現が満載なのだから。
 
私は少し焦って、Amazonで「生理ちゃん」のアグレッシブさと、現実を埋める丁度いい本を必死で探した。 これが、結構みつからないのだ。1年前に子供に見せたのは、小学校低学年向けの絵本だった。 ムスメはもうそんな精神年齢ではない。初潮が間近に迫っている少女なのだ。
 
検索の結果、私はある本にたどり着いた。
そのタイトルは、「セイリの味方スーパームーン 生理なんでもハンドブック」
こっちの本のキャラクターは「スーパームーン」というらしい。
お月様のような真ん丸な黄色い顔に、ニコニコ笑顔がついて、顔から手足直接生えている。 何のひねりも無いけど、ちょっと可愛げではある。
 
本の主役は、小学校6年生のハナちゃんという。ある日、ハナちゃんが学校の帰りに「お漏らしをしたかも?」と悩む姿を、スーパームーンが見つけて助けるところから始まる。 初潮を起点としたマンガなのだ。
でも、ムスメに与えてみたがどうも受けが良くない。やはり不気味な生理ちゃんのキャラクターのインパクトが強すぎるのだろう。
 
そしてあろうことか今度はNetflixで、実写版「生理ちゃん」の映画を探し出してきてこう言った。
 
「パパこれ一緒に見よう!」 そこまであっけらかんと言われては断るわけにはいかなかった。
映画はそれなりに面白かったが一つだけ困ったこともあった。
「性欲くん」という、男性の性欲を象徴するキャラが登場することだ。
ムスメに「せいよくってなに?」 と聞かれたときは、さすがに答えに窮してしまった。
「男子は女子のおっぱいが好きでしょ? そんな感じの気持ちかな~」
とっさにテキトーな答えをしてしまった。
まあいい。
ムスメに男性の性器や、性欲のことを説明するのは、もう少し先でいいだろう。
 
さて、そうこうするうちに、年が明け2021年を迎えた。
そして1月ついにムスメのところにも本物の「生理ちゃん」がやってきた。
妻はひそかに準備していたナプキンや生理用ショーツをさっと取り出し、ムスメに適切な対処方法を教えたようだった。こうなると、男性である私の出番はほとんどない。ちょっと疎外感を感じたがまあ仕方ない。
 
その日の夜、ムスメは「生理ちゃんが来たよ」と私に報告してくれた。実にあっけらかんとしものだった。何も予備知識が無かったら、血が出て病気かも知れないと悩んだかも知れない。そして、この時私「スーパームーン」の本も役に立っていたことがわかった。私が知らないうちに、だいぶ読んでいたらしい。
 
そして、過激だと思っていた「生理ちゃん」のマンガだが、こちらも何気に良い効果があったことを付け加えておきたい。ムスメにも生理特有の痛み、体のだるさ、イライラなどが症状として出ていた。その時、彼女の頭の中にはあの一風変わった「生理ちゃん」の顔が浮かぶらしい。痛みの原因が擬人化されることで不安に感じることがなくなり、ギャグ漫画のタッチでつらい痛みも笑いに変えることができているようなのだ。妻の予想外のファインプレーだった。
 
何はともあれ、私と妻、それぞれ違ったアプローチではあったが、初潮を迎えたムスメへの性教育はベストなタイミングで、うまく着地したようだ。
そして、同じような年頃の娘を持つ方が居たら、ぜひ早めの命の授業、性教育をお勧めする。できれば小学校2~3年の純粋な頃から少しずつアプローチするのが良いと思う。それが、親が命の大切さを教えることのできる、またとない機会だと思うからだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-05-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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