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「意識高い系」だった私が、本当に意識の高い人を目指す話


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記事:望月まりえ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「望月さんって意識高いですね」
かつての私は人からこう言われるたび、非常に気恥ずかしい思いをしていた。本来「意識が高い」というのは褒め言葉のはずである。私に「意識高いですね」と言ってくれた人も、多分純粋に褒めてくれていたと思う。でも、数年前に「意識高い系」という言葉が流行ったことから、勝手に揶揄する響きを感じ取ってしまった。
 
「意識高い系」というのは、大きなことを言う割には中身がともなっていなかったり、見掛け倒しだったりする人のことを指す。就活で自分を大きく見せようとする大学生を揶揄する言葉として使われはじめたそうだ。
 
私は、自分が多分に「意識高い系」の要素をもっていると自覚していたからこそ、褒め言葉として素直に受け止めることができなかったのだろう。
 
一応ことわっておくと、私は自分を実力以上に大きく見せようと過剰演出するタイプではない。しかし、いかにも意識高い系らしく自己啓発本やセミナーが大好きで、いまもある心理学系のセミナーに通っている。
 
そのセミナーで最近気づいたことがある。それは「わかっている」ことと「できる」という段階には雲泥の差があるということだ。
 
たとえば、コミュニケーションについて学んだり、心理学をちょっとでもかじったことがある人なら、「相手と信頼関係を築きたいなら、まずは相手の承認欲求を満たしてあげましょう」という話を聞いたことがあると思う。
 
ちなみに私は、これまでにこの話を何十回、何百回と聞いてきた。自己啓発系のセミナーではだいたいこの話がメインテーマだったし、本屋に行けば「相手の心をつかむ極意」みたいな本があふれていて、その手の本には大概「自分の欲求を満たしたいなら、まずは相手に与えよ」と書かれているからだ。
 
なので、いま通っているセミナーでこの話を聞いたとき、「またこの話か。とっくに知ってるよ」と思った。でも、知識として知ってはいたけれども、まったくできていないからこそ、私はこうやって何十万という高いお金を払ってセミナーに通い続けているのだという事実を認めないわけにはいかなかった。
 
多分私だけじゃなく、皆もわかりすぎるくらいわかっているのだ。相手といい関係を築きたいなら、まずは相手の承認欲求を満たしてあげるのが一番手っ取り早いと。誰だって、自分に興味をもってくれたり、自分の話を一生懸命聞いてくれたりする人を求めている。そして、そんな人が近くにいたら、好意を持たずにはいられない。だったら、自分がそんな人になればいい。いたって簡単な話だ。
 
けれども、それができない。自分のことを一旦横において、相手の話を聞こうとすると、「ウッ……」となってしまうからだ。この「ウッ……」は抵抗感のあらわれだ。なぜ自分が下手に出て、相手の欲求を満たしてあげないといけないのか? まずは相手から私に歩みよってきてくれてもいいんじゃないのか? まずは私の承認欲求を満たしてくれないだろうか?
 
この「ウッ……」に抵抗し続けながら相手の承認欲求を満たそうとすると、相当なエネルギーが必要になる。そして、自己承認欲求の満たされなさで喉がカラカラに乾いていた私には、そんなエネルギーは残されていなかった。
 
***
ノウハウってお金のようなものだと思う。お金持ちの人ほど、「お金の増やし方より、使い方を大事にしている」という話を聞いたことはないだろうか。宝くじに当選した人がかえって不幸になったり、自己破産したなんて話は、「お金の増やし方より、使い方が大事」という話の正しさを証明していると思う。人が使いこなせるお金の額はその人の「器」で決まるから、棚ぼたで大金を手に入れても使いこなせないということだろう。
 
ノウハウも同じだ。いくら「他人の承認欲求を満たすことが大事」という知識があって、そのためのノウハウを知っていても、それらを使いこなせるだけの「器」がなければ意味がないのだ。
 
じゃあ、器を得るにはどうすればいいのだろう。結局、器は「経験」することでしか育たないのだと思う。たとえば、他人の承認欲求を満たせるようになるには、まずは自分の承認欲求をある程度満たす必要があるだろう。飢餓状態のときに、人のことを思いやることなんてできないからだ。そして、自己承認欲求を満たすには、ときに傷ついても人と深く関わったり、人に認められるようなスキルや実力を磨くといった努力が必要になる。
 
あと、「自分、自分」だと他人とうまく関係を築けないことを知る経験も欠かせない。失恋で人が成長するのは、愛情を与えることの大切さを身をもって知るからだろう。
 
そういう、なんらかの成功体験とか挫折だとかを繰り返しているうちに、いつの間にか人は、他人の承認欲求を満たせるような器を手にしているんだと思う。
 
私はかつて、知識やノウハウはあるのに行動がともなわない「意識高い系」の自分が嫌いだった。でも、いまはそんな自分が嫌いじゃない。知識やノウハウが照らしてくれる道しるべに沿って、行きたい方向に向かっていると思えるようになったからだ。
 
「意識高い系」でなく、本当に意識が高い人になれるその日まで。色んな人と関わって、さまざまな経験を経ながら、自分の器を磨き続けたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-05-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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